2015年10月25日

日々の自動車論 〜Dセグメント ステーション・ワゴン編〜 その2

-主なモデルと特徴-

・メルセデス・ベンツ Cクラス[W205/S205](セダン・ワゴン)[ドイツ]
〜ドイツ、そして世界でも随一のプレミアム・ブランドが放つ本気の"Dセグ"〜

・2014年度輸入車モデル別売上 2位(19,465台)
・2013〜2006年までの売上推移 5→3→4→6→5→3→4→8
・9年間平均順位 4.4位
・価格帯 539〜738万(ワゴン)

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Cクラスに限らずとにかく売上絶好調のメルセデス。
今年の半期はVWを3000台近く上回り32680台を記録、
何と15年連続輸入車の販売1位だったフォルクスワーゲンを
16年ぶりに抜いて首位に立った。

これは凄いことだと思うし明らかに経済状況も変化してるのだろう。
輸入車でも実用車が多いVWをプレミアム路線のメルセデスが抜いたのは
そういう事なんだろうと思う。それも単に景気回復とかそんな事ではなく
格差社会が一層進んでるのではないかと、そんな風にすら感じる。

昨年のモデルチェンジでこれまでのコンサバな印象からアグレッシブで
押し出しの強いデザインに。走りの方も"アジリティ"を全面に打ち出し
スポーティなセダン、ワゴンという方向性で売り出されている。

Cクラスに限らず近年のメルセデスはCセグのAクラス、その派生である
クーペスタイルのセダン、シューティングブレイク(ワゴン)のCLA
そして近年大人気のコンパクトSUVに属するGLA、Eセグのラグジュアリー
クーペと言えるCLSシリーズ辺りから押し出しの強い
ちょいワルオヤジ層やマイルドヤンキー的富裕層辺りに訴求しそうな
アクの強いセンスで勝負に出てきており、実際それは大きな成功を
収めているのは冒頭で書いたとおり。

そんな中でCクラスのモデルチェンジと相成った訳だが、元々は
同セグメントのライバルの中でも大人し目でともすればやや
「ダンナ仕様」感の漂う雰囲気だったのだが、一気に若返ったというか
上記クラスと同様に押し出しの強いデザインに。

それでもCクラスはCLAなどに比べればもう少し大人で普通のセダン
ワゴン的な方向性は残している。あとは質感の向上は著しい。
元々メルセデスはあくまでCクラスを「メルセデスのFRセダン入門編」的に
捉えてるフシが有り、前モデルまでは内装はライバルに比べて質素と
言われていたし、ちょうどこの10年位はアウディの躍進が目覚しいので
やや影に隠れている印象も有ったが、モデルチェンジを機に
派手さと押し出しの強さはA4や3シリーズを上回ったと言えるだろう。

値段設定は実質プレーンなC180は受注生産なのでラグジュアリーな
オプションを含むC180アバンギャルドの540万からと言ってよく
これはアウディA4 2.0TSIやBMW320iに内外装のラグジュアリー
パッケージを付加したモデルと大差はない。

だが、C180はエンジンが1.6Lの直噴ターボに対して、アウディ
BMWは2Lの直噴ターボ(A4、320i共に180馬力強のスペックを持つ)。
メルセデスはパワーも若干劣る(156ps/5,300rpm)。
一つ上のC200アバンギャルドならスペックも装備もほぼ同等になるが
値段は570万となりややライバルより高めの価格設定と見て良いだろう。
この2グレードの燃費は1.6LのC180、2LのC200の何れもJC08モードは
16.5km/Lと同じである。これは何れにしてもサイズからすれば優秀だが。

※ボルボの話の繰り返しになるが、これをだらだらと数ヶ月休み休み
書いている内に遂にCクラスにもクリーンディーゼルが投入された。
今回からEクラスのように"E220 Bluetec"と言う表現ではなく
"C220 d"とBMWのようにディーゼルとわかりやすいネーミングに変更。
(既にCLSでは上記と同じ命名規則になっているが)
遂にアッパーからミドルクラスに降りてきて、本気で3シリーズの
牙城を崩しにかかっている。

VWの排ガス不正問題の最中、ブレることなく堂々とディーゼルモデルを
発表したメルセデスの姿勢は評価に値するし、その強気は売上の好調さ
からも来ているのだろう。ここぞとばかりにネガを言う評論家やユーザも
居るし、それも一理は有るのかもしれないけど、高速巡航だけでなく
日本みたいなストップ・アンド・ゴーが多い社会でもエンジンを無駄に
回すことなく大トルクを生み出せるディーゼルは本当に使いやすいのである。
燃費も確実に良いし、何より軽油価格の安さはお金に困ってない人だって
ジワジワ効いてくると思う。

さておき、メルセデスの場合、エンジン性能云々よりは近年「半自動運転」
ともうたわれている安全装備がBMWやAudiよりも優秀だろう。ステレオカメラ
とミリ波レーダーによる追尾クルーズは勿論、ステアリングも部分アシスト。
ステレオカメラならではの衝突軽減ブレーキの機能は高い評価を得ている。
他にも車線変更の死角検知や縦列駐車のサポートなども標準装備だ。
それを踏まえると、御三家の価格は大差なく、後はどこをユーザが
重視するかなのかもしれない。

噂では遠くないうちにEクラスにも近頃導入された2.2Lの
ディーゼルモデルも登場するという話も。そうなると
クリーンディーゼル人気を押し上げた320dへの大きな対向車と
なるだろうし、特にワゴンにはベスト・モデルと成り得るだろう。
(前述のとおり2015年9月にディーゼルモデルも発表された)

以前は「メルセデスはEクラスからがメルセデス」と言う評も有ったが
外観や内装はCクラスだけでなくCLAやAクラスでもグッと高まった感はある。
特にほぼ車格が同じで同社内モデルでの食い合いすら起きてるであろう
CLAシリーズとの境界はやや曖昧化してるが、FRと縦置きエンジンという
伝統はCクラスからなので(CLAはFFベース)そういう意味ではメルセデス
らしさを味わえるベーシック・グレードとしてより品質を磨いたのが
新しいCクラスと言えるし、そこはAや派生のCLAでは享受出来ない
プライオリティの一つだと思う。

今モデルから"アジリティ"を売りの一つにしていることは前述のとおりだが
ここは賛否ある模様。元々鷹揚さが1つの売りであったメルセデスがBMWに
近いアプローチをしているのだが、その辺りは好き好きか。
逆に3シリーズはややラグジュアリーなカラーを強めて、スポーティさは
1、2シリーズなどに譲っている印象も有るが。

何れにしても500万を超える価格帯でありながら、この10年モデル別ベスト10
から外れたことのない定番車種の一つであることは確か。


・BMW 3シリーズ[F30,31](セダン・ワゴン)[ドイツ]
〜BMWをメジャーに押し上げた02シリーズの系譜にして、BMWとDセグのベンチマーク〜

・2014年度輸入車モデル別売上 5位(13,533台)
・2013〜2006年までの売上推移 2→4→7→4→2→2→2→2
・9年間平均順位 3.3位
・価格帯 505〜796万(ワゴン)

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このクラスのベンチマーク的存在とも言えるのが3シリーズ。
BMWはこの車格からスタートしたブランド言って良いので
やはり完成度は高い。Dセグメントにもスペース効率の兼ね合いから
FFが増える中、FRと前後の荷重バランスの50/50にこだわり続ける姿勢は
車好きからも一定の支持を受け続けている。
(その不文律を遂に破ったのは昨年登場したアクティブ/グラン・ツアラー)

このF30世代で特に日本において話題となったのは数十年ぶりの
ディーゼルグレードの投入だろう。これまで燃費や燃料費等実用的な
面のみでしかチョイスする層が居なかった、と言うか8〜90年代の
ディーゼルで見受けられた環境への問題からディーゼル自体が
日本からは消えていた中での復活は話題となった。

そのディーゼルに対するイメージをマツダとともに大きく覆しつつ
有るのがBMWのディーゼル・ラインアップである。もちろん環境対策は
抜群で、欧州の排気ガス基準"EURO6"は勿論の事、世界でも厳しさは有数と
言われる日本のディーゼル基準にももちろん対応、CO2排出量は多くの
ガソリン車に勝る「クリーン」なディーゼルだ。

燃費も320dツーリングで19.4km/L(JC08モード)と、同セグのハイブリッドに
迫る値を叩き出し(レクサスHS250h→20.6km/L、IS300h→23.2km/L)
パワーやトルクではそれらを上回る動力性能を持っている。
特に高速巡航では20km/Lを超える燃費を記録する事があるのは雑誌や
WEBのレビューでも言われている通り。

このディーゼルの良い所は環境性能だけではない、スペックも
184ps/38.7kgmと馬力はガソリンモデルに劣らず、トルクに至っては
3.5Lエンジン並みの高トルクを1750回転から発生するパワフルさも受けて
今や3シリーズ・ツーリングの売上の8割はこの320dであるというから
その評判は高い。実際自分もこの320dのオーナーだが
素晴らしいエンジンだと思う。

前作のE90がその柔らかいデザインから日本でも人気が高く常にゴルフに
次ぐ売上2位が定位置だったが、F30世代以降はライバルの追撃や折からの
SUVブームなどの煽りを受けやや上下動が激しくなってきているものの
実際にはクーペやオープンモデルが3シリーズから独立して4シリーズと
なったことや、実売台数は相変わらず堅調に推移していて、5位になった
2014年でも4シリーズと合わせると17,790台売れておりモデルチェンジ
直後で有るCクラスとの差はそれほど大きくは無い。

とにかくBMWはプレミアム・クラスの中でも一番独自の道を行っていて
それがFRと50/50とか"シルキー・シックス"と言われた直6エンジンなんか
に集約されるわけだけど、好きな人はずっと乗り続けるし、嫌いな人
マッチしなかった人には敬遠される事が多い。

例えばF30のデザインなんかは癖は強いが近年の日本車や高級車に
見られるようなでかいグリルと大きなブランドマーク路線とは異なり
何というか爬虫類系的なデザインで、アウディのようなスムースさには
欠けるし、Cクラスのような如何にもゴージャスという雰囲気も無い。
それは安っぽくは無いけど取り立ててゴージャスという雰囲気も少ない
内装のデザインにも言えることだ。

元々BMWはスポーティさを売りにしていて、プレミアム・ブランドの中
では最も"見せる"事よりは"駆け抜ける"事に歓びを見出すブランド
だろう。それでも近年では足回りやシャーシも以前ほどガチガチでは
無くなったし、それこそ低回転でのトルクが売りであるディーゼル
モデルに乗っているとユルユルとトルクに身を任せて鷹揚な気持ちで
クルージングしているのが一番楽しかったりするのだが、そんな
ドライビングでも楽しく感じさせるマジックが有るのがBMWだと思う。

確かに長年の御三家ブームが築いてきたプレミアム感は有るけど
今となっては外観や内装において、メルセデスほどのこれでもか的
高級感や、アウディ辺りのスムースでわかりやすく上品な佇まいは
BMWでは望めない。やっぱり乗ってる本人が一番ほくそ笑んでるのが
BMW、特に3シリーズ位まではそうなんだと思う。

走りを大事にしながら、ガソリン、ディーゼル、ハイブリットと
知らぬ間にバリエーションも多様になってそういう所もしたたかだ。
唯一マニアが嘆いてるのが"シルキーシックス"こと直6エンジンが
かなり上の排気量モデルにしか積まれなくなりつつ有ることだろうか。

上位モデルと言える328iも以前のような直6ではなく2L4気筒直噴
ターボのハイチューン版だ。そこにはやはり時代を感じる。

ただ、E90世代でノンターボや6気筒にこだわりパワーや燃費で
明らかにVWアウディに遅れをとっていたBMWにしてみれば
近年アウディの猛追を受ける(一部モデルでは逆転されている)
身としては土俵に乗らないわけにもいかないのだと思う。
MINIのようなコンパクトカーも持っているわけだし。

ダウンサイジングも本気で開発した結果がF世代ではしっかり
実を結んでいる、そう考えて良いだろう。勿論BMWらしく
燃費や環境に配慮しながらも"駆け抜ける歓び"は失ってない
そう言って良いと思うのである。

そして、今でもCセグメントの基準がゴルフなら
Dセグメントのベンチマークは3シリーズで成り得ている。

・アウディ A4[B8](セダン・ワゴン)[ドイツ]
〜ゴルフと並ぶFFのパイオニアと縦置きエンジンの独自〜

・2014年度輸入車モデル別売上 15位(5,279台)
・2013〜2006年までの売上推移 12→12→11→8→7→7→11→14
・9年間平均順位 10.8位
・価格帯 467〜835万(ワゴン、S4含む)

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古くはアウディ80シリーズから続くミドルクラス・セダン、ワゴンの
定番モデルがA4シリーズだろう。アウディはFFベースだが、エンジンを
縦置きにすることに拘っており、それを味わえるのはこのA4からと言う
事になる。A3はゴルフのプラットフォームをベースとした横置きエンジン
のFFカーである。

モデル末期で既にニューモデルも公開され間もなく発売というタイミング
もあり(アウディ全体でライフスパンが長いと言うのもあるが)昨年は
15位まで後退しているものの、16年にはニューモデルも出るので
巻き返すだろう。

しかし、改めて順位だけ見ると思ったより3シリーズやCクラスに差を
付けられてる印象も。都内だと3シリーズより見かける時がある気が
するのだが。実際アウディはA3の方が売れているのだろうか
(こちらもA4以上によく見かける)と思い調べてみると
6→14→18→15→11→9→10→15→16位(2014〜2006年)
とA4と大きく変わらずやや下という感じ。これは意外な結果である。
少なくとも夏に軽井沢辺りにいくとアウディだらけなのだが。。
ウチの集合住宅にもアウディA4のオーナーさんは居る。

S4を含んでないのかもしれないが、それにしてもスポーツ・チューンで
一般向きでないS4は余り台数を稼がないだろうから全国ではこのくらい
なのかもしれない。むしろ全体での売上やSUV(Q3,Q5)の売上が
アウディ全体のイメージを高めていると言えるか。少なくとも
都内ではこの順位以上に見かけるのは確かである。

さておき、それでも500万以上の価格帯が実情のDセグで輸入車全体でも
ベスト10付近をモデル末期でキープする人気はスムースで美しいデザイン
と清潔感のあるブランド・イメージからだろう。過去にはやや大人しすぎる
と言われたデザインも"シングルフレームグリル"がついた辺りから強さも
見せ始め、このバンパーを横断するデザインはこの後各社のグリルに
大きな影響を与えた。
とは言えアクが強すぎない所も日本人に好まれた一因か。
(近年では余程日本車の方がアクが強いが)

一つ心配事は親会社であるVWの排ガス不正問題だ。基本同じパワートレインを
利用しているのでアウディでも問題になったエンジン系では同様の不正が
欧州では発覚している。アウディの場合、少なくとも国内販売において
今のところクリーンディーゼルの投入という話は聞かないが、恐らく年内に
予定されているVWパサートのクリーンディーゼル投入というのは大きく
考えればグループにとってディーゼル展開の試金石だったはずである。
これで成功すれば単にゴルフとかだけでなく、アウディでも展開のシナリオ
は有るはずである。特にA4辺りはBMWもメルセデスもボルボもジャガーも
同クラスにディーゼルモデルが有るわけだから余計である。

最もパサートの投入予定モデルは問題になったEURO5基準のディーゼルではなく
EURO6基準で最初から作られたエンジンなので中止にする予定は今のところ
無いというアナウンスは出ているが、イメージの低下は避けられないだろう。
ただ、日本ではアウディってVWグループだと知らない人も多いので先に
アウディで展開するなんて事も考えられなくないが。。

閑話休題、現在のA4のラインアップはざっくり言って2タイプで
FFのベーシックモデルとアウディの特徴の一つ、フルタイム4WDの
"クワトロ"に分かれる。何度かのマイナーチェンジで現在エンジンは
何れも2L直噴ターボだが、チューンが若干異なる。

FFモデルは180ps/32.6kgmでこれはBMW320iやメルセデスC200とほぼ近い。
値段帯もラグジュアリーやスポーティなものを付けていけばそう大きく
三者に差はないだろう。但しミッションはCVTで、この辺りはやや
前世代感であることが否めないところだろうか。VWアウディでDCTが
選択できない事は車好きとしてはどうにも惜しい感じがする。

クワトロモデルはエンジンもハイチューンとなり211ps/35.7kgmとなる。
これは大体メルセデスC250に近い。
(BMWは328iは245ps/35.7kgmでよりハイチューン)

これ以上のハイチューンはS4だが、これは価格もパワーも飛び抜けるので
マニア向けのモデルだろう。ライバルもC450や340iと極端になる。

何れにせよモデルチェンジで最新のパワートレインが乗るだろうから
そこで巻き返してくるだろう。それにこのクラスに乗るユーザは何も
スペックばかりを追っているわけではなく、相応の額にふさわしい上質さ
やデザインを求めてくるものである。そこに関してアウディはモデルを問わず
デザインの共通言語感が強く、一定の近似感がどのモデルにも存在する。

特にやや丸みを帯びたスムースで美しいデザインと、内装の上質な高級感は
御三家の中では最も高いと感じるので、アウディが良いという一定のファンは
常にいると思う。新型も最近公開されたが、アウディらしくコンサバティブな
モデルチェンジで、性能や軽量化には磨きをかけたものの、さらっと見た限り
では大きなスタイルの変更は感じられない。

VWアウディが誇る定番セダン/ワゴンの1つで有ることは確かだし
同クラスのVW版と言えるパサートと安易にアーキテクチャやコンセプトを
一緒にしてない所も含めて価値観を作り出していると言える。

続く
posted by cafebleu at 02:38| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | Automobile | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

日々の自動車論 〜Dセグメント ステーション・ワゴン編〜 その1

7月頃から書き始めていたが、忙しいのと相も変わらず
長くなったので時間もかかっている内にどんどんモデルサイクルが
起きたりしてるので加筆訂正してるとまた時間がかかる。

という訳でセグメント毎の話がようやく始まる。

-定義-

ミドル〜アッパー・クラスのセダン、ワゴンが中心だがグローバルには
SUVなども含むとされている。特に道路の狭い日本ではセグメント単位でも
大型化してきている中でのイメージとしては「中型高級車」車種でそれを
見ることが多いだろう。

今回はステーション・ワゴンと一部のセダンにスコープを当ててるので
諸説あるが、ひとまず大枠で以下のサイズをDセグメントと定義する。

全長:約4,600mm〜4,800mm

全幅:約1,700mm〜1,900mm
(セグメントの考えに全幅は通常含まないが、実際には上記値がDセグ・セダンやワゴンの範疇である)

排気量:2,000cc前後
(2.5Lや3Lのモデルも多いが、近年はダウンサイジング化でBMW328iでも2Lのエンジン、ベンツC180は1.6Lで有ることから大凡2,000cc前後のモデルとする)

Dセグメントは下位のCセグメントやEセグメントともオーバーラップ
することが多く、特にCセグメントのハッチバック車種がワゴンを
出した場合などは全長が伸びるのでほぼDセグメントに値することも多い。
これらは一部でCDセグメントとも言われたりする。

具体的には標準のハッチバックモデルで全長4.2m程度のCセグメントの
ど真ん中に位置するVWゴルフはワゴンモデルである"ゴルフ・ヴァリアント"があり
この場合4,575mmとなり、例えば1世代前のベンツ・Cクラス(W204)なら
全長は4,585mmから存在しほぼ同じサイズだし、現行のBMW3シリーズのワゴンである
"ツアラー"でも4,625mmとゴルフ・ヴァリアントとの差は5cm程度しかないのである。
(同車格のアウディA4は4,725mmあるのでこちらの差のほうが大きい)
なので、ここではCDセグメント言われるCセグのワゴンモデルも含むものとする。

また、ここでは主にヨーロッパのDセグメントかつワゴンを中心とし、
アメ車や日本での流通のない車種は基本含まない。


-総論-

2014年度(14年4月〜15年3月)メーカー別輸入乗用車登録台数

1.フォルクスワーゲン(62,439/22.26%) 前年度1位
2.メルセデス・ベンツ(61,827/22.04%) 前年度2位
3.BMW(43,339/15.45%) 前年度3位
4.アウディ(30,821/10.99%) 前年度4位
5.BMW MINI(18,831/6.71%) 前年度6位
6.ボルボ(12,380/4.41%) 前年度5位
7.Jeep(6,800/2.42%) 前年度9位
8.フィアット(6,171/2.20%) 前年度7位
9.プジョー(5,515/1.97%) 前年度8位
10.ポルシェ(5,408/1.93%) 前年度10位

上記はDセグメントだけではなく、純粋にブランド別の2014年の
登録台数を挙げたものになるが、初回なのでまずこの辺りの話から。

まず日本における輸入車の登録数で特徴的なのがドイツ勢の
強さだろう。勿論世界に自動車を輸出している国自体が
ドイツ、日本、フランス、イタリア、アメリカ、韓国
辺りに絞られるわけだけど、少なくとも日本においては
ベスト10中6ブランドがドイツのメーカー製だ。
(MINIはイギリスとも言えるが実質はBMWが作るドイツ車なので含んだ)

更にフォルクスワーゲンと御三家、そしてBMWのスモールセグメント
を担っているMINIを合わせるとそのシェア率は77.45%、つまり約8割を
占めることになる。

そしてこの内実はVWとアウディは同じグループ、BMWとMINIも同様
メルセデスはSmartを傘下に含むものの近年Smartは台数を著しく
落としているので(2014年は846台しか登録がなく20位)これは
ともかくとしても、三社で8割は偏りが有るだろう。

実は10位のポルシェもVWアウディグループなので、大雑把に言って
日本で買えるドイツ車はこの3グループの何れかだと言える。
(唯一GM系だったオペルはとっくに国内販売から撤退している)

例えば欧州ではフランスもかなり健闘していて、プジョーや
ルノーはメジャーなブランドの一つだし、実際世界での販売台数と
なると、熾烈な首位争いを繰り広げているトヨタとVWはともかく
ルノーニッサンは4位、PSA(プジョー・シトロエン)は9位で
BMWグループやメルセデスの居るダイムラーは世界販売では
11位以下で台数も200万台に達していない。

ただメーカーというのは台数だけでは測れないところが有る。
BMWやメルセデスは元々シェアや台数よりはプレミアム・ブランド
としての品質管理やブランドイメージの構築に腐心している。
それらは高価な故、成功すれば利益率は高いのである。
よってそれを非常に上手くコントロールしている二社は経営も
堅調である。

逆に世界的には販売実績3位のGMは実質の倒産を経験している。

日本でもセダン中心時代の90年代前半くらいまではメインセグメントの
一つだったのがこのDセグメントである。但し現在ではSUVやミニバンを除くと
そもそもミニバンやトールワゴン(特に軽)大国の日本では決して車種の
多くないセグメントだし、欧州でも自動車の本命セグメントは一つ下の
Cセグメントが主流と言って良いだろう。

その理由の一つは大型化である。このセグメントの代表格
BMW3シリーズは70年代後半から今まで途切れること無く続いている
BMWの代表的モデルだが、例えば8〜90年代に日本でも流行って
「六本木のカローラ」なんて言われたE30世代の3シリーズは全長4.3m台
全幅1.6m台と、日本の5ナンバーの範疇にすっぽり収まるサイズだった。
(この取り回しの良さも日本で流行った理由の一つだろう)

それが今や全長は4.6m以上、全幅は同セグメントの派生である
4シリーズも含めて軽く1.8mを超えてしまう。30年の間に30cm×20cmも
大きくなってるのだ。このサイズは当時のセドリックやクラウンの
一部モデルより大きいくらいである。最近では全長4.8mを超えてるのに
「Dセグメント」と称されるモデルも増えておりC、Eセグメントの境界は
曖昧になりつつ有る。逆にE30は現在のCセグメントに収まってしまう
サイズで全幅なんかは現行のミニよりも小さいくらいである。

理由は衝突安全基準の強化でボディやフレーム、ピラーが大きくなっている事
そしてモデルチェンジを繰り返す毎にライバルとの熾烈な争いの中で高級感
居住性を少しでも高めようとしている内にこうなってしまうのだろう。
同車種の大型化はほぼ全ての車種で避けて通れない問題で、売れてるモデル
ほど直面する課題でも有る。

近年では特に欧州でデザイン的に"ワイド・アンド・ロー"が流行ってるので
全幅もこの10年ほどでどんどん幅広になっていってる。比較的コンパクトな
SUVとされるレンジローバー・イヴォークだが、確かに全長は4.3m台と
それ程でもないのだが全幅は1.9mまでに達していて、日本車では考えられない
ディメンションなのである。これはエルグランドやヴェルファイアのような
大型ミニバンの全幅すら遥かに超えている。

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「レンジローバー・イヴォーク」日本でも大ヒットしているコンパクトSUV

そんな訳で現在におけるDセグメントはプレミアム車種のベース・セグメントと
言っても良いと思う。特に日本ではそんな感じでその車種はかなり限定されるし
具体的にはマツダ・アテンザ、ニッサン・スカイライン、トヨタ・マークX辺りの
ややラグジュアリーとされる車種が挙がるが、これらは日本ではもはや
メインストリームとは言えない車種だろう。実際アテンザとスカイライン
(欧米ではインフィニティQ50)は欧米市場をメインターゲットとしているモデルだ。

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「マツダ・アテンザ・ワゴン」車格やディーゼルなどのラインアップはそのままBMW3シリーズやメルセデスCクラス、そしてボルボS/V60などと相対する。日本が作った欧州車と言っても良い。

世界的な代表格はメルセデス、BMW、アウディら"御三家"が要するCクラス
3シリーズ、A4と、ある意味プレミアム・セグメントの中型車の主軸モデルだ。
欧州ではこの辺りが今でもメインストリームの一つだし、大型化した結果
北米でもこのサイズはかなり見受けられるようになった。
(但し排気量の大きなグレードが主である)

プレミアム路線でこれらに追随するのは今年発表されたイギリスの
ジャガーXEだろう。新モデルにはまだワゴンは無いものの
FRという特徴、性能、サイズ共に特にBMW3シリーズとスポーティな
セダンとして真っ当なライバル関係に有るように思える。

特にインドのタタ・モーターズが買収して
"ジャガー・ランドローバー"を設立してから両車のクオリティ向上は
フォード時代に比べて著しいものがある。年末にはタタ・モーターズ
新体制後の純粋な新作エンジンであるインジニウム・コンセプトの
クリーンディーゼルも登場予定なので、その辺りも含めて3シリーズ
とはガチンコの関係だと言える。ワゴンもクーペも出そうな感じ。

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「ジャガーXE」クラシカルなデザインから一気にモダンに。何となくアウディとBMWを意識した感も。

フォード時代にDセグメントで勝負するために発表した"Xシリーズ"は
見た目こそクラシカルなデザインだったがフォード・モンデオのFF
プラットフォームをそのままにボディだけ載せ替えたやり方にジャガー
ファンからも批判が高く、当時の3シリーズやA4を脅かすほどの成功は
収められなかったが巻き返しなるか。実は当時のXシリーズもメカマニア
以外には手頃なサイズでクラシカルなジャガー風味が外観上味わえるので
隠れファンが居たりするのだが。
(自分も少し憧れていたが、いかんせんワゴンだとリアが普通なのだが)

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「ジャガー Xタイプ」フォード時代に作られたFFベースのジャガー。クラシカルな見た目はややパイクカー的だが悪くない。

ここにスウェーデンのボルボV60/S60シリーズも切り込んでくるだろう。
特に近年のボルボはコンサバティブなスクエア・デザインを止め
ドイツ車以上にセクシーでスポーティなデザインを上記モデルで展開
しているし動力性能も高い。そう言えばボルボ・カーズも中国の
浙江吉利(ジーリー)が実質の親会社である。

この記事をしたためている内に何と、ボルボからもほぼ全車種に
クリーンディーゼルとダウンサイジングを施したモデルを発表した。
デンソーやアイシンAWなど日本の技術もふんだんに含まれるボルボの
最新スカンジナビアン・ディーゼルにも俄然注目は集まるだろう。

そして小型車の印象が近年強いイタリアからもアルファロメオが久々に
"ジュリア"のネーミングを復活させ、FRスポーツ・セダンを発表
したばかりである。逆にと言うのが適切か分からないが
アルファロメオの所属するフィアットグループはフェラーリや
ランチアを含むイタリアの主要車種を束ねる大企業だし、今やアメリカの
クライスラーすら実質の傘下に含める一大自動車企業の一つである。

他にはVWパサート、プジョー508やシトロエンC5なども含まれるが
これらメーカーだとこの辺りがセダン、ワゴンの最大サイズのモデルとなり
エンジンだけでなく車格のダウンサイジング化も進んでいる昨今、特に
ヨーロッパもイギリスのような小さい島国や国単位では決して大きな国土
ではない所も多いので、この辺りが落ち着きどころなのかも。

現代のDセグメントは基本的に日本と欧州においてだと
繰り返しだが"プレミアム・セグメントのベースライン"と
言って良いだろう。

御三家だけでなく、パサートだって贅沢な装備は付いてくるし
シトロエンなんて今やC5が最大サイズで、既に唯一の
ハイドロ・サスペンションを搭載した生き残りになってしまった。
間もなく終売してしまうようだが。。

タイプも様々で、典型的にはFR(フロントエンジン・リアドライブ)が
主流だったが今ではFF車種も多いし、エンジンも縦置き、横置き様々で
形もセダン、ワゴンだけでなく、マルチパーパス(ミニバン、トールワゴン系)
やSUVも含まれる。(SUVやミニバンは別であるという考えもある)

排気量も中心は2000ccだろう。過去には2500ccも3000ccも多く有ったが
それらはダウンサイジング化してるのは前述の通りで、今では一部の上位
モデルに限られ始めている。逆に1.6Lやそれ以下のエンジンでも十分に動く
時代になったので燃費やエコロジー対策も含めて小排気量化が進んでいる。

勿論クリーンディーゼルも多くの車種で搭載モデルが存在し、むしろ
欧州ではディーゼルがメインなくらいである。日本の販売グレードだと
BMW位しか積極的に見えないかもしれないが、特に欧州ではその傾向が顕著で
各社のUKサイトなんかを見ると、ディーゼルしか設定のない車種なんてのも
存在するくらいで、例えばVWパサート・ヴァリアント(UKではPassat Estate)
なんて全グレードでディーゼル・モデルしか存在しない。つまり日本で
売っているガソリン・モデルは無いのである。

これは燃費の良さ、CO2排出量の少なさ、トルクの大きさに起因する高速巡航の
良さが大きいだろう。既に振動や特有のディーゼル音のネガよりも享受出来る
メリットのほうが遥かに大きいのが実情だろうと思う。
最も日本人ほどそういう事に神経質ではないお国柄も有りそうだが。

日本だと代表格はレクサスのISシリーズだろう。FRとスポーティなセダンと
いうコンセプトはやはりBMW3シリーズを意識してると思われる。
レクサスHSやトヨタのSAI辺りもFFだがサイズとしてはこのセグメントだ。
後はニッサン・スカイライン。特に新型はISやBMW3シリーズ
ベンツCクラスに近い路線だ。

トヨタのマークXもISのトヨタ版的なスペックだが、佐藤浩市のCMにも
見受けられる通り、如何にも40代以上で中間管理職上位以上を意識した
プロモーションが展開される辺り中年向けラグジュアリー・セダンって
位置づけなんだろうと思う。
(SAIの真木よう子のCMも大人のアヴァンチュールを想起させるような演出だったような)

マツダ・アテンザは3シリーズとクリーン・ディーゼル・セダン
(ワゴン)としてよく比較対象にされるモデルだ。実際デザインも
スペックも欧州的。実際の価格帯としてはフォード・モンデオ
(日本では現在導入されてない)やトヨタ・アベンシス
(日本ではワゴンのみひっそり売られている)
そしてVWパサートあたりが競合か。

こんな風に値段もタイプもかなりバラエティ豊かなのが
Dセグメントでは有る。

長くなったので続く。
posted by cafebleu at 01:22| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | Automobile | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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