2008年08月08日

Out Of The Sinking

Paul Weller "22 Dreams" Tour In Japan 2008
At the SHIBUYA-AX 7.8.'08


「走馬灯のように巡る極私的ないくつかの出来事」

TS3E0062[1].jpg

数ヶ月前にウェラーの新作『22ドリームス』がリリースされ、その好評も
冷めやらぬ内の今回は来日となった。

通常海外のミュージシャンが新作に合わせて来日する場合と言うのは、
先ずはマストであろう自国の全国ツアーを中心にスタート、そこに英国の
ミュージシャンの場合なら、フランスやドイツなどその他主要欧州国や、
更には北米ツアーなどを優先して回り、その最後のほうに極東である
日本などにやってくると言うパターンが少なくない。

まぁこれはある程度仕方の無いことで、ウェラーのように英国ではレジェンドでも、
北米での成功を収めていないミュージシャンなどは、いよいよ日本ではある意味
マイナーな存在になるので、本国との差異が激しく、ミュージシャンによっては
本国で大きなホールが当たり前のミュージシャンがわざわざ日本まで行って
ライブハウスみたいな箱なんかじゃやりたくないよと言う姿勢も有って余り
お目にかかれない人も少なくは無い。

過去のウェラーもややそんな部分があり、ソロ以降で最も成功を収めた3rdアルバム
『スタンリー・ロード』のツアーでは、結局日本には来てくれなかった。

イギリスではロイヤル・アルバート・ホールなんかでライブを行ったりしているが、
他にロイヤル・アルバート・ホールで思い出されるのが、クラプトンな訳だから、
彼は英国では乱暴に言えばクラプトン辺りと遜色の無い存在なのである。
しかしながら、日本でクラプトンとウェラーの知名度が同等とはとても言い難い。

しかし、今回は恒例になった夏のイベント、『サマーソニック』に合わせての来日で、
特別に一日では有るものの、単独公演も行ってくれるとのことで、フェス嫌いの自分も
安心して、アルバム発表直後の鮮度の高いライブを観に行く事が出来た。

結果からすると、数十年に渡るドラムのパートナーであったスティーヴ・ホワイトと
袖を別ち、新しいバンドでのサウンドはまだまだ発展途上だが、青臭さも悪くないと
感じたり(近年のマッカートニー・バンドと何処か共通点も)していたが、次第に
音楽そのものよりも、僕は色々な想いが心をよぎり始めた。

いつもはなるべく音楽的な事を中心に僕は感想を書いているつもりで、そこには
勿論半官贔屓な所も大いに有るのだけど、私的なレビューと言うスタンスである。

しかし、物心ついた10代から彼のサウンドのみならず、スタイルにも感化され、
淡々とファンで有り続けた自分と、そして相変わらずの格好良さとパワフルさを
見せるウェラーも気がつけば50台になったのを視覚的にも多少は感じるのを
見るにつけ、改めてだいぶ時間が経ったのだなと、お互いに。

お互いなんて言ってもそれは僕の勝手な思い込みであるし、僕が数年おきの来日に
足繁く通って、勝手な”再会”を果たし続けていることなんて、彼は一生知ることは無い
だろうし、それで構わない。僕が勝手に”今回も観に来たよ”と心で問いかければいい事である。

でも、そういうファンらしい感情を通り越して、どこか”感傷”に浸っている自分があった。

それは彼のライブに行った時の若き日の自分がフラッシュバックしたからかも知れない。
これも長年のファンらしい事なのだけど、今回は特にそういう想いにふけりながら
彼の歌声を淡々と聴いている自分が居た。

だからいつものように音楽的な感想が思うようにすらすらとは出てこない。

同世代位のサブカルチャー黄金期を過ごしたファンたちを見ていても、何だか
色々と思ってしまう自分もいた。歳を重ね、サブカルチャーの見た文化的な
”働かない”思想は、もろくも崩れ去り、そしてやや老いて崩れた体系に
くたびれたフレッド・ペリーやベン・シャーマンを着ているのは果たしてモッドな
行為なのか。いや、全く違うだろう。そんな事も思いつつライブを聴いていた。

最も自分を客観的に見つめることは出来ないので、自分も同じ穴のムシナでしか
無いのかもしれないけど。

何だか自分の話ばかり長くなってしまった。

ライブ本体は前述の通り、長年のバンド・メンバーであったスティーヴ・ホワイトと
デーモン・ミンチェラを、アルバムと同じく欠いた事により、ベースとドラムが入れ替わった
ので、大きくグルーヴが変わっていた。

ドラムは若くて性急で、まだまだ青さが残る。「22ドリームス」や
「フロム・ザ・フロアボーズ・アップ」辺りでは疾走感溢れる感じが良かったが、
基本的にミドルテンポが多いウェラーの楽曲全体ではまだまだと言う部分も多かった。
スティーヴ・ホワイトがしつこいくらいロールを入れてくるタイプなので、それもほとんど無く、
まだまだ新作の曲数が多くない現状では、以前の曲はやり辛いのかも知れない。
今回はオーシャン・カラー・シーンのオスカー・ハリスンのような選択肢があっても
良かったかもしれない。

ベースはリッケンバッカー4004を構える”如何にも”ブリティッシュなチョイスのミュージシャン。
ベースは前のブログの通り、デーモン・ミンチェラやヨランダ・チャールズのような馴染み以外の
者が来ると、嫌な思い出しか無いので不安材料だったが、思ったよりは安定したプレイを披露。
リッケン4004も基本はソリッドながらも音色は多彩で、指からピックまで使い幅広い音を
出していたように思う。サブに置いてあった4001も1曲披露。やっぱ音硬いな4001は。

いかんせん弾きすぎてしまうきらいが有ったものの、及第点は与えられるか。
でも個人的なウェラーバンドのベスト・ベーシストはヨランダ・チャールズである。
黒人女性の弾くグルーヴィーなベースは本当にクールである。
それに視覚的に格好良いしモッドだよなと。

オープニングにぴったりな「ブリンク・ユー 〜」で始まり、かなりアップテンポな
「22ドリームス」「フロム・ザ・フロアボーズ・アップ」が息つく間も無く続く。

序盤でピアノに向かい、ジャム時代の人気曲「カーネーション」を披露し、
新作でもキラキラとした仕上がりが印象的だった「エンプティ・リング」もサイケで良かった。

「プッシュ・イット・アロング」の力強い出来は素晴らしく、これはアルバムよりも
ライブで聴いて良さのわかる楽曲と言えるか。

今回のライブはジャムやスタカンの曲も前回より抑え目で、ソロ以降の曲も
おそらく初めて1stソロと2ndの『ワイルド・ウッド』から1曲も演奏されなかったのが
印象深い。

それに加え、前回のツアーではアコースティック・コーナーなども設けてバラエティに
富んだステージを披露していたが、今回はバンドのせいもあるだろうが、ストレートな
選曲、演奏が多く、ウェラーは結局一度もアコースティック・ギターを弾くことが無かった。

だから新作『22ドリームス』の楽曲も披露したほとんどがアップテンポなナンバーで、
このアルバムの特徴になっていたアコースティックであったりジャジーな側面は
ほとんど伺えなかったのが少々残念言えば残念だったかもしれない。

むしろ決め所で快活だった前作『アズ・イズ・ナウ』のナンバーが配置されていたので
まるで『アズ・イズ・ナウ』のツアーみたいにも見えた。そんなハードなウェラーも悪くないけど。

個人的にはわざわざMCで「1曲だけ”ヒーリオセントリック”から演るよ」と紹介して
披露された「ピッキング・アップ・スティックズ」が好きなナンバーだったので嬉しかった。

「ウィッシング・オン・ア・スター」は最近、クラドックによる切れのあるギターの見せ所に
なっていて、前回はアコギで技巧的なソロを、今回はエレキで長尺なソロを披露。
クラドックは良いギタリストである。

もはや定番のバラード、「ユー・ドゥ・サムシング・トゥ・ミー」ではかなりの歓声が。
この曲、回を追うごとに人気が高くなっているような気がする。

確かに渋いながらもメランコリックかつ控えめなアレンジが聴けば聴くほど良い曲で、
ファンにとってじわじわ浸透している曲なのだろうか。

新作からの変拍子ナンバー「エコーズ・ラウンド・ザ・サン」はかなりハードで
アレンジも相当に格好良かった。

ジャムからの代表曲「イートン・ライフルズ」で場内が絶頂に達したところで
最後には『スタンリー・ロード』からの長尺ナンバー、「ワールプールズ・エンド」が。

この曲を観ていて改めて思うのが彼のバランスの良さである。
この曲のハードさや長さを味わっていると、まるでハンブル・パイのマリオットのようにも
思えるときがあるのだが、でもそこまでくどくは決してならないのだ。

でもスモール・フェイセズよりは明らかに熟しているし、かと言ってウインウッドのように
優等生過ぎることも決して無いのである。このバランスのよさは本当に毎度思うところで、
彼が”モダニスト”として絶妙のバランスを保ち続けていることを感じさせてくれるのである。

この後アンコールで代名詞の「チェンジング・マン」1曲を披露してあっさりとステージは終了。
後はサマソニでのお楽しみと言ったところだろうか。僕は行かないけど。

何よりも自分が歳をとったせいか、涙腺が弱くなったり、感傷的になって、昔ほど
淡々とライブを観れなくなったのかも知れないけど、まだまだウェラーは十分に健在で、
これからも意欲的なアルバムやライブを見せてくれるだろうと思った夜であった。


「また応援しに行くからその時まで元気で」


-SET LIST-

1. Blink And You'll Miss It
2. 22 Dreams
3. From The Floorboards Up
4. All I Wanna Do (Is Be With You)
5. Out Of The Sinking
6. Sea Spray
7. Carnation
8. Empty Ring
9. Porcelain Gods
10. Push It Along
11. Peacock Suit
12. Picking Up Sticks
13. Wishing On A Star
14. Broken Stones
15. Have You Made Up Your Mind
16. Speak Like A Child
17. Invisible
18. You Do Something To Me
19. Echoes Round The Sun
20. Come On / Let's Go
21. The Eton Rifles
22. Whirlpool's End

-Encore-
23.Changing Man


-Albums-
『22 Dreams』

『As Is Now』

『Stanley Road』

『Heavy Soul』

『Heloocentric』

『Studio 150』
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2008年03月08日

25年目の ”時をかける少女”

”A型知世さんの気遣い『ラスト・ワルツ』風味なスーパースターショウ”

2008/3/1 Live at Garden Hall Ebisu "Music & Me Live Tour Final"

- SET LIST -

〜第一部〜

1.Cruel Park
2.きみとぼく
3.Tell Me Why
4.Wonderful Life (with オニキユウジ)
5.I Will (with キセル)
6.《キセルの歌》
7.菩提樹の樹 (with 鈴木慶一)
8.空と糸 -taking on air- ( 〃 )
9.《鈴木慶一の歌》

〜第二部〜

10.Are You There (with 高橋幸宏 Dr)
11.《高橋幸宏の歌》
12.(Unknown Song)
13.Aie (with 高木正勝)
14.シンシア
15.色彩都市 (with 大貫妙子)
16.彼と彼女のソネット"T'en Va Pas 日本語詩バージョン" (Main Vo. 大貫妙子)
17.ロマンス
18.ノスタルジア

〜encore〜

21.くちなしの丘 (with キセル)
22.Moon River (with 大貫妙子・鈴木慶一・高橋幸宏)

23.時をかける少女


3/1は原田知世の5年ぶり新作となった『music & me』ツアーのファイナルだったので
観に行ってきた。いや、そんな生易しいものではなく、当初アナウンスされていた2/28
ファイナルの予定が、すぐにSoldOutしてしまい、追加公演として3/1が組まれた。
そしてそれすら先行予約でも抽選と言う有様で、ようやっとチケットをゲットしたわけだ。

う〜ん、ポールのときでも記憶の無い話である。

容姿(アイドル性)とサブカル的音楽性を同居させている人ってあなどれない。

実際に客層もこれでもかと言うほどファン層がわかり易く二分されていた。

一つは90年代後半、スウェディッシュ・ポップ・ブームの頃に原田知世に触れた
キッチュなポップを愛する所謂”下北的サブカルチャー”な人々。
その頃多感な年頃で、多少歳はくったが、まぁ名残はそれなりという人々。

強いて言えば「ロマンス」世代とか「トーレ・ヨハンソン」時代のファンである。
当然僕もそちらのカテゴリーに入る事になる。

もう一つは昭和50年代半ばに、角川の看板娘として薬師丸ひろこらと共に
アイドルとして人気を博していた時代からの筋金入りのファンたちだ。
”筋金入り”と言う言葉がこれ程似合う人たちもいないだろうと言う風情であり、
そして実年齢にも年輪を感じる世代の人たちだった。
間違いなく「時をかける少女」世代の人たちである。

考えても見れば原田知世は15歳であの映画に出ているのだから、
芸能活動が今年で25周年になっているのである。その内アイドルとして、
ミュージシャンとして、人気のベクトルや知名度はともかく2度のブレイクを
経験しているのだから、おのずとファン層の幅は錯乱気味になるものである。

そして今回のツアーは自らの25周年記念のライブツアーでもあった訳で。

メモリアルなイベントのファイナルでも有る訳だから、ゲストの一人くらい出ても
それはそれでありそうな事だが、それどころか、ゲストのオンパレードであった。

オニキユウジ、キセル、鈴木慶一、高橋幸宏、高木正勝、大貫妙子の面々である。

はっきり言って多すぎである。

キセル辺りのサブカルな若手もそれなりには興味深いが、何よりも強烈なのが
鈴木慶一、高橋幸宏、大貫妙子の重鎮たちだろう。

3人とも何らかの形で原田知世の楽曲に携わってきた人たちである。
こう言った有能なベテランたちに加えて、サブカルの優れた中堅が
原田知世の1ライブに集結してしまう。

この辺がミュージシャンとしての原田知世がどれだけ恵まれた環境にいるかを
明示していると言っても良いだろう。

これに今回は出演しなかった(地理的にできないと言った方がよいだろうか)、
スウェディッシュ時代を支えたプロデューサーのトーレ・ヨハンソンと、
「ロマンス」「シンシア」と言ったその時代の名曲郡を提供したコンポーサー、
ウルフ・トゥレッソンが参加したらどんな事になっていただろうか。

いや、少なくともウルフには参加して欲しかったな。
彼ほど原田知世の素晴らしい楽曲に貢献した人は居ないだろうから。

ライブ自体はアルバムの1曲目「Cruel Park」でスタート。
アルバムの導入としても印象的なこのワルツは、ライブでも実際に
幻想的で美しく、更にドラムも加えてダイナミックな仕上がりだった。

2曲目で新作の佳曲である「きみとぼく」が出てきた時には、
このライブはどんなヒットパレードになるのだろうかと思ったが、
実際のライブはその予想とは更に違ったものになっていく。

3曲目に前作の地味な楽曲である「Tell Me Why」が出てきたものの、
実際のところ過去の楽曲はこの後一部を除きほとんど出てこない事になる。

4曲目で早くも最初のゲストであるオニキユウジが登場。
いつも通りの”元祖萌え声”で場のテンポをまったりさせてしまう辺り
さすがはアイドル?と思ったが、全くかみ合わないトークから新作の
オニキ提供曲「Wonderful Life」を演奏。

アルバムの中では、普通にポップなのが逆に癖の有る楽曲陣の中では
かえって目立たないのだが、中々心地よい曲である。

5曲目で続いてキセルの登場。早速アルバムでデュエットしたポールの
「I Will」を披露した後、キセルが最新アルバムからのチューンを披露。
知世さんは、ちょっとコーラスを歌っただけであった。

この時点では、ニッチな人気を確立しているとは言え、まだまだマイノリティな
キセルを広く知ってもらうための特別コーナーかと思っていたのだがそれは
甘かった。

更に、原田知世の音楽の父と言って良い鈴木慶一が登場。
ここでのトークでは、音楽をちゃんとやりたくて原田知世が鈴木慶一を
尋ねていったと言うエピソードが語られた。

その中でも、好きな言葉をちゃんと選別して歌詞にする作業を学んだとか、
スタジオでのバッキング録音で、原田知世本人は楽器を弾かないのにも
関わらず、トラック完成まで実はほとんどスタジオに居て、
彼女は音楽家に向いていると鈴木慶一が感心したと言う話も出ていた。

まぁ可愛くて熱心なら相思相愛と言った所だろうか。

そして新作からの鈴木慶一提供曲や、前作提供曲で携帯のCMにも
使われた、「空と糸」も披露された。

ここでの歌は本来に無いデュエットで歌われたのだが、個人的には
改めて鈴木慶一の歌唱力には相容れないものが有るなと感じた。
音程すら危ういのは味なのか、ヴォーカル向きで無いのか、
評価が分かれるところである。

そして共演3曲目では鈴木慶一新作からの後半がほとんどインストと言う
プログレッシブな曲を披露し、ほとんど知世さんが何もする事が無く
そのまま第一部が終了してしまった。。

微妙に鈴木慶一はKYなんじゃないだろうかと心配になる楽曲だった。。

15分ほどのインターバルを挟み第二部がスタート。

幕開けはこれも新作からのバカラック・カバー「アー・ユー・ゼア」で
これもまた格好良いオープニングで有ったが、明らかにドラムの音圧が
違うなと思ったら、このカバーの編曲者である高橋幸宏がドラムセットに。

打ち込みに溶け込みつつもかなり打力のあるシャープなドラムと
ジャストなタイム感。僕は初めて彼のドラムを生で聴いたが、
思った以上に音圧があり、かつジャストなタイム感も
逆に独特で、タイトなドラムを堪能させてもらった。

そして高橋幸宏とのトーク、さすがに芸能面にも秀でている彼は
話し上手で、まったりしている原田知世を上手くリードしていた。

そして、その中で高橋幸宏と原田知世がバンドを結成する事を発表。
"pupa"と命名されたそのバンドであるが、何とメンバーの一人に
高野寛がいると言うから驚いた。クラムボン、ポラリス、ハナレグミなど
近年のサブカル寄りミュージシャンの仕掛け人としても知られ、本人も
地味ながら良質なポップアルバムを作り続けている高野寛の参加に
よって、より一層原田知世の音楽的世界は恵まれたブレーン達に
囲まれていくと言っても過言ではないだろう。

他にもくるりや木村カエラのサポート、そして06年のサディスティック・ミカ・バンド
の再結成にも参加した堀江博久や、高橋幸宏や細野晴臣のサポートはもとより
前述したハナレグミのライブでもギターを弾いていた高田漣など、高橋幸宏の
弟分たちが集結したかのようなメンバー構成である。勿論高野寛も幸宏チルドレンで。

恐らくブレーンである高橋幸宏や高野寛がバンドという形態でどのように原田知世の
キャラクターを生かすのかが興味深いし、是非聴いてみたい。

閑話休題、その後またしても高橋幸宏の歌を挟み(既にこのとき知世さんが
この曲中何をしていたか思い出せない)、4曲目には新作でもヨーロッパ映画的な
情緒を漂わす「Aie」を提供した高木正勝が登場。

個人的にこのようなシンプルかつダークなトーンの楽曲を歌わせる事で原田知世に
新境地を提供したのではないかと思える程評価しているし、アルバムでもベストの
楽曲だと思っているのだが、ここでの高木正勝のサポートは前に
出るわけではなく、繊細なピアノ演奏で曲に彩りを添えたと言うもの
だったので、安心して原田知世の楽曲を堪能することが出来た。

その後、ジャズアレンジされた「シンシア」を挟み、
(やはりオリジナル・ヴァージョンの方が曲の良さが生きる気がする)
大貫妙子の登場である。

大貫妙子は原田知世がアイドルの頃から楽曲提供をしており、
その後もフランス詩曲「T'en Va Pas」の日本語詩ヴァージョンである
「彼と彼女のソネット」などの作詞を担当している。

新作でも彼女の「色彩都市」における秀逸なカバーを原田知世は披露していた
ので、出演は自然な流れだったのかも知れない。

ここではその「色彩都市」と「彼と彼女のソネット」を二人で歌ったが、
やはり大半のヴォーカルは大貫妙子が担った。

ここまでゲスト主体の楽曲が続くと、正直誰を見に来たのか自分でも混乱
してしまう部分があり、少々このライブ構成にも疑問を感じたのは事実だ。

本人楽曲である「色彩都市」はともかく、「彼と彼女のソネット」などは
原田知世の代表的な楽曲の一つと言っても良く、ここでも余り歌わない
彼女をライブで見ているというのは何だか消化不良になってしまう。

僕が冒頭で"ラスト・ワルツ"風味と言った意味は、あのライブ映画を
知っている人ならわかってもらえるだろうか。

ただ、ザ・バンドとの最大の違いは、彼女は演奏者ではないことである。

楽器を演奏できるなら今日のようなゲスト主体のフォーマットでもまた
違った一面をかいま見れたのかも知れないが、やはり本人のライブで
彼女が後ろで立っているだけと言うのは何とも勿体無い気がしてしまう。

また、ゲストのほとんどが彼女よりミュージシャンとしての地位や力量、もしくは
経験などが一歩も二歩も上の人達であるので、この手のフォーマットでは
相手に合わせざるを得ないのもまた事実で、そう言った意味でも25周年の
ライブでこれだけの人達が集ってくれる人徳はさすがであるが、それが
逆に本人を脇役に追いやってしまうと言うのも皮肉ではある。

それでもアイドル出身でこれだけ意欲的な取り組みをする彼女の意図は
評価してあげたい気もしつつ、終盤はヒット曲「ロマンス」で場を盛り上げメインステージを終えた。

その後アンコールでは再度キセルが登場し、新作からのスマッシュ・チューン
である「くちなしの丘」を披露したり、もう一度”重鎮”である3人を
呼び寄せ、「ムーン・リバー」を皆で歌ったり
(これはさすがに弁護しようのない酷い出来だった)
した後、ギターの独奏による「時をかける少女」でライブは幕を閉じた。

この曲は彼女の代名詞と呼べるような代表曲だが、少なくとも彼女が
ミュージシャンとして形を残してからは公の場で演奏されることはここまで
無かったので、そう考えると25年の時を経て再演されたこのテイクは
なかなか味わい深くも感じ、彼女も何処か回顧的に歌っているような
感じがした。

原田知世は40歳になったが、この日も真っ白なノースリーブのワンピースに
色白な美しさは健在で、体型も相変わらず華奢であった。
おおよそ歳相応の格好ではないのだが、それでもそれを軽く越えてしまう
少女のような佇まいと、実力派のミュージシャンを大挙呼び寄せてしまう
オーラはまさに”時をかける少女”そのものなのかもしれない。

そしてこの曲の再演を、筋金入りである年季の入ったファンの人達は
どんな想いで耳にしたのか、そんな事を思いながら帰路についた。
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2006年03月31日

Running On Spot

”Paul Weller 『As Is Now』Tour 2006”
at Nakano Sunplaza 29.03.06

Vocal, Guitar, Piano : Paul Weller
Guitar, Chorus : Steve Cradock
Bass : Damon Minchella
Drums : Steve White

「格好良い事、愛嬌がある事、クールな事、熱気がある事、それだけの事が素晴らしい事」


ポール・ウェラーにとって中野サンプラザは思い出の場所だった。
それは彼がとても嬉しそうに
「26年前に初めて来日した時にここで演奏したんだ、あんま覚えて無いけど」と
照れながら話していたのを聞いて、
今回は古典的なホールである中野サンプラザの公演日を
選んで良かったと思えた。
それ以降も彼はスタカン〜ソロで何度も日本に訪れているが、
少なくともソロになってから中野サンプラザで
ライブを行うのは初めてだったはずである。

そう、彼が中野サンプラザで演奏するのは
ジャム時代に初来日して以来26年ぶりの事だったのだ。

英国では揺るがぬ人気を誇る彼だが、
米国で成功して無いミュージシャンが日本でアリーナ・アクトに
なるのは稀な事である。日本の洋楽は米国中心の社会なのである。
近年こそ必ずしもそうとは言えなくなって来たが。

米国で大きな成功を収めてないミュージシャンが
それなりのハコでやった記憶と言うと、
僕の知る範囲ではブラーが武道館でやったこと
(これはアメリカで全く成功して無いミュージシャンとして画期的だったようで、話題になった)
後はジャミロクワイやオアシスも大きなハコでやっていた。
最もオアシスは直後にアメリカでもチャートで成功を収める。
近年ではタトゥーやらフランツ・フェルディナンドも大きなハコでやっているが・・。


話しがそれたが、そんな事もあって、
本国では間違いなくロイヤル・アルバート・ホールなどで
演奏するポール・ウェラーを日本では
「大型ライブハウス」位のハコで観れる。
これは幸せな事だ。過去にも今は無き赤坂BLITZや
渋谷AXでも彼を観てきた。
一番大きな会場でも確か東京国際フォーラムだったと記憶している。

日本でそこそこの人気ミュージシャンが演奏する
ホールとして中野サンプラザは昔から
利用されてきた。凄く伝統のある場所だと思う。
僕はあの古典的な雰囲気が好きだ。
近年こそライブハウスの大型化もあり、以前ほどは行われなくなった。
過去にはここでB.B.キングやレイ・チャールズなども観た。
ただ最近はまたこの聖地が使われ始めてる気がする。
去年はブライアン・ウイルソンも中野サンプラザで
『SMiLE』のツアーを行っている。

そんなゆかりのある場所にウェラーがま
た戻ってきて何だか嬉しそうにしているのを観ると
こちらも自然と心が綻んでしまう。
僕は26年は年齢的に追えないので途中からだけど、
それでも気づけば10年以上彼を追い続けている。
時間の流れを実感したりした。

今回の公演、あまり理屈は言いたくない。
一言「素晴らしかった」で十分だし、
本当に彼は格好良い。男でも惚れてしまう様な存在感がある。
結局僕は彼が大好きなんだと言う事が
改めてわかったりした良いライブだった。
が、それではレビューにもならないので僕なりに感じたことを。

バンドも過去の来日の中では一、二を争う良い面子で
来日したのもかなり大きかったと思う。
ドラムはいつものようにスティーヴ・ホワイト(更に一回り太った)、
ベースは近年ずっとウェラーをサポートしている
元オーシャン・カラー・シーンのデーモン・ミンチェラ、
リード・ギターとコーラスは現在もオーシャン・カラー・シーンの
核として活動を続けているスティーヴ・クラドック。
正直これ以上望みようの無い面子が揃った。特にスティーヴは
オーシャンの活動が活発になってから、
本国でのツアーこそウェラーを基本的にサポートしたが、
日本にはフェスなどの例外を除いてウェラーのツアーの
ためだけに来日することは無くなっていた。
具体的には『ワイルド・ウッド』辺りのツアーを最後に
ウェラーと共に来日することは無くなっていた。
なのでこれはとても嬉しかった。
キーボードはいなかったが、最高の4ピースだと思うし、
この面子で来てくれた事を感謝したい。

前にも書いたが、『ヒーリオーセントリック』のツアー時には
ギターはウェラーだけで、後は若いベースと若い?ハモンド奏者、
そしてスティーヴ・ホワイトという布陣だった。
この時のバンドの出来がかなり悪く、
正直ベースには閉口してしまったのでライブ自体も
一番心に残らないものとなってしまった。

今回のツアーはその時から引きずり始めたモヤモヤを
一層してくれる素晴らしい「バンド」のグルーヴを見せ付けてくれた。
単に演奏が上手いとかだけでない「和」と言えば良いか、
決めどころ、引きどころをもう長年のコンタクトで
得ているような息のあったコンビネーションを
見せてくれたのは本当に最高だった。

考えても見れば、少なくともこの面子は『ワイルド・ウッド』
辺りからアルバム全てとは言わなくても
良く見られた組み合わせだ。
しかも内二人は別のバンド(オーシャン・カラー・シーン)で長らく
共に演奏してきた仲だ。密度の高いグルーヴを見せて
当然だったのかも知れない。しかしながら日本では
中々この組み合わせでは観れなかったので本当に有難かった。

近年、彼のライブ選曲には徐々に変化が起きていた。
過去にジャムやスタカンの曲はソロ初期の曲が少ない頃を
除けば演奏される事は無かった。
正直に言ってソロ活動でも素晴らしい曲はあるので
僕はそれを不満に思ったことも無かったし、
『ヘヴィー・ソウル』ツアー時にソロ後の曲だけで
2時間のステージを大歓声でこなした彼は誇らしげにも見えた。
でも、ジャムやスタカンの曲を書いたのは紛れも無く彼であり、
それをやってはいけないと僕は思わない。
実際にアコギ一本弾き語りツアーの時に披露された
「イングリッシュ・ローズ」などは表現力が増して素晴らしい
仕上がりになっていて、この曲の良さに改めて気づいたりした。

セットリスト全てを書くのは少し後にするとして、
今回は2曲目にいきなりジャムの曲が飛び出した。
「ランニング・オン・スポット」だ。比較的マイナーな
曲だけどこれは良い選曲だった。

他にも「引き裂かれぬ仲(Thick As Thieves)」みたいな
中期頃の曲もやったのはちょっと嬉しかった。勿論
モータウン・ビートの名曲「悪意と言う名の街(Town Called Malice)」もやった。
この曲がオーラスだったのは何だか格好良かった。

スタカンの曲は一曲だけだが「ロング・ホット・サマー」を
ニューソウル風に披露。ウェラーの弾くエレピが心地良かった。

他には「ポーリシャン・ゴッド〜ギルテッド・スプリンター」の
”ニューオリンズ・メドレー”はインプロビゼーションも長く、
濃厚な仕上がりで、何だかウェラーがハンブル・パイ時代の
スティーヴ・マリオットのようにも見えて微笑ましかった。

最近は定番のアンプラグド?タイムでは名曲
「ユー・ドゥ・サムシング・トゥ・ミー」で歓声を
受けていた。渋いけどこの曲は皆好きなようだ。
他にも『スタジオ150』でカバーした「ウイッシング・オン・ア・スター」を
アコギ中心に、スタジオ版よりもさらに洒落た感じの
「フォーキー・ソウル」風に解釈していやらしいセンスを
見せ付けていたりもした。

今回は敢えてソロ以降の定番曲をリストから
外していたような気がする。「サンフラワー」「イントゥ・トゥモロウ」
「キャン・ユー・ヒール・アス」「ヘヴィー・ソウル」「ピーコック・スーツ」
などは演奏しなかった。新作からもそれなりにやったが、
結構渋い曲中心だったと記憶している。
ソロ以降名作の一つ『ワイルド・ウッド』から一曲も
(厳密には英盤のみに入っている「フット・オブ・ザ・マウンテン」は演奏した)
演奏しなかったのは初めてではないかと思う。
これは彼なりの挑戦でもあったのだろう。

それでも全体的には充実期である
『スタンリー・ロード』『ヘヴィー・ソウル』辺りからの選曲が
多かったのはやはり彼がこの時期の作品に自信を持っているからだろうか。
逆に『ヒーリオーセントリック』『イルミネーション』からは一曲も無し。
これは何となく予想していた。それにしても、
これだけ引き締まった音を聴いたのは久しぶりだった気がする。
近年観るミュージシャンは比較的ポップ寄りな人たちが多く、
それはそれで良いのだけど、やはり陳腐だとわかっていても
「ロックのダイナミズム」をしっかりと表現できるバンドを
観るとこちらも学ぶところが多い。
4人で表現できる事って一杯あるんだなって思わされた。
え、ストーンズ観たでしょって?やっぱり僕はこっちの方が10倍感動した。
チケット代は半分以下だったけど。

絶え間無く変化し、消費され、消えていく音楽界の中で、
彼は今でも格好良いし、いくら斜に構えたところで
やはり彼が躍動している姿を観ると、
こちらも無条件にその世界に引き込まれていく。
それは宗教的なのかもしれないけど、
少なくとも彼を信じていてそんなに嫌な思いはした事が無いので
これからも彼を僕は応援し続けていきたい。
学び続けている彼から得れる事はまだあるはずだから。



Set List

1.Paper Smile
2.Running on the Spot
3.Out of the Sinking
4.Science
5.All on a Misty Morning
6.Hung Up
7.Savages
8.Fly Little Birds
9.Wild Blue Yonder
10.Up in Suzes' Room
11.From the Floor Boards Up
12.Porcelain Gods〜I Walk on Gilded Splinters
13.The Start of Forever
14.Roll Along Summer
15.Wishing on a Star
16.You Do Something to Me
17.Long Hot Summer
18.The Pebble and Boy
19.Come on / Let's Go
20.Amongst Butterflies
21.Foot of the Mountain
22.Changingman
〜アンコール〜
23.Broken Stones
24.Thick as Thieves
25.I Wanna Make It Alright
26.Town called Malice
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2006年03月23日

You Can't Always Get What You Want

”The Rolling Stones A Bigger Bang Tour 2006”
at Tokyo Dome 22.3.06

「余裕ある人への慰安公演」 ローリング・ストーンズ日本公演・初日


22日は親戚が券を余らせたので、ひょんな事から
ローリング・ストーンズのライブを観に行く事になった。
親戚家族がストーンズのファンなので
毎回の来日ごとに券を大量入手してはだぶつかせてる。
なので下手に音楽を知ってる僕は毎度頭数が
足りなくなるとストーンズの宴に駆り出されるのだ。

正直に言って現在のストーンズの活動自体に全く興味が無い。
新作も聴いてない。それであるにも関わらず、
僕が複数回観ているミュージシャンで最多記録を持っているのは
このストーンズと言う事になる。
90年代初頭の来日からこれまで少なくとも来日毎に一回は
観ている。初来日前後の頃は少なからず
伝説に足跡を残したバンドを観ておこうと、
自分の意思で観に行っていたが、
途中からは完全に「招待」みたいなものである。
そんな僕が毎回アリーナで観ているのだから、
ストーンズの主たる客層の真実が見えてくるというものだろう。

自分の話は後に回すとして、今回の公演だ。
今回も大掛かりなステージ・セットは組まれていたものの、
90年代初頭の頃に比べれば幾分シンプルにまとまってきているか。
ステージ・セットの中に特等席があり、
ここの券を買えばストーンズを上から見下ろして観る事が出来る。
ただ、席数が少ないのと値段が一般販売でも
55.000円するので財力のある方向けだろう。

今回の仕掛けで一番凝っているのはずばり「動くステージ」か。
演奏しながらドラムセットとその周辺がそのまま
ドームの中央まで動く仕組みになっていて、
以前までは離れに設置されていた「2ndステージ」的な
ものまでストーンズ達が移動せずとも
ステージごとドーム中央まで動いてくれるのだ。

まぁ仕掛けについては詳しいわけではないので
これ以上は書きようも無いが、他にもCGを効果的に
導入したりして曲を盛り上げたりと
いくらか現代的な意匠も取り入れられていた。

曲自体は説明も要らない定番の
「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」でスタート。
新作からは恐らく2〜3曲しかやってない。これもまぁいつもの事だ。
後はここで書く必要も無いほど有名な曲が盛り沢山。
特に今回はストレートな選曲が多かったように思える。

確かにストーンズのツアーに「ジャンピン・ジャック〜」や
「ブラウン・シュガー」が無ければ成り立たないので
それは構わないのだが、そんな中でも、
ツアー毎それなりにはっとさせられる選曲があったりした。
いつだかなんてネット投票で選ばれた「今日の一曲」なんていうのも
やっていたりした記憶もある(恐らくやらせだが)。
それも今回は控えめで次々これでもかと
ど真ん中の曲で攻めていた感じだった。

個人的には「スウェイ」のカバーが嬉しいところだった。
この曲は70年代前半、黄金期のアルバム
『スティッキー・フィンガーズ』に収録されていた
ミック・テイラーの素晴らしいギターが冴える
ロッカ・バラードだったが、僕はこの曲が彼らの曲の
中でも3本の指に入るくらい好きだったので
この選曲は良かった。
しかし残念ながら後半のロン・ウッドのソロは・・・。

後は今回のツアーで初めて60年代のジェントリーな曲
「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」を披露したのも
印象的だったか。更に60年代の初期物だと
「ゲット・オフ・マイ・クラウド」の掛け合いの様なサビが
何だか愛らしく聴こえて中々良かった。

今回が初披露ではないが「ペイント・イット・ブラック(黒く塗れ)」も
中々ダイナミックな仕上がりだった。ロンがエレクトリック・シタールを
用いて雰囲気を出していた。このイントロを聴くと、インド風の服を着て
シタールをビンビン鳴らしていたブライアン・ジョーンズの姿を思い出す。

まぁ個人的にはここら辺の選曲が楽しかったか。

ただ、いつも思うことは何だかやっぱり楽しみつつも
この豪華絢爛さ加減に傍観してしまうのである。
ここにあるのは演奏してる本人達、
いくらかかってるかわからないくらいのセット、
そしてそれを観に来ているオーディエンス・・・。

たまたま券を購入していた従兄弟がそういう
金満でいけ好かない人間なので僕は毎度アリーナで観ているが、
周りの観客は業界人と思われるような人間ばかりだ。

そしてそれも頷けるようなチケット代の高さ、
先述した特別席は数えるほどしかないのでともかくとしても
通常のS席が18.000円もすること。これは高すぎる。
ハコが小さいせいなのか、さいたまスーパーアリーナ公演では
なんと35.000円で席が発売されていたのだ。
これも余ってるらしく従兄弟に誘われたが、
もう結構ですと丁重にお断りしておいた。

そもそもドームという余りに大きな「ハコ」の中で
音楽を聴覚だけでなく、視覚でも満足させるのは
難しいものである。エンターテイメントに
走るのが嫌だからと言って飾り一つ無いモニターもない
ステージでは観てる方は何も伝わらないだろうし、
そこに実在しているのかも疑わしくなる。
過去に見てきたドームでのステージで
エンターテイメントとリアルさが同居していたのは
U2の『ポップ・ツアー』の時だけだったような気がする。
彼らにはどれだけステージでエンターテイメントを
やっても真摯に伝わる「何か」があるような気がした。

どちらにせよ、僕はハコが小さければ良いとは思わないが、
ストーンズのそれは確実に金持ち中高年を対象にした
「慰安公演」に見えてしまうのが複雑だ。
今回はやらなかったが、彼らが「ギミー・シェルター」のような
終末的な思想を歌い、そしてそれを皆が合唱するとき、
そこに歌詞本来のシリアスさや説得力は全く無かったりするのである。

何だか斜に構えた意見ばかりになってしまうが、
ミック・ジャガーは2時間を越えるステージで
休むことなく広いステージを走り、客を鼓舞し、
歌い続けた。彼は60歳も半ばを迎えている初老の人だ。
私的な話だが自分の父親より年上だ。
その父にミック・ジャガーと同じを要求したら身が持たないだろう。
というか既に故人だったりする。
勿論プロだから、と言ってしまえばそれまでだが、
そのプロフェッショナリズムには頭が下がるし、心をうたれる部分もある。

彼らのヒット曲と言うのはここでどうのと書くような
思考的なものではなく、まさしく気分で聴くもので、
そしてそのリズムに合わせて楽しめば良いものなんだろうとは思う。
アーシーなバラード
「ユー・キャント・オールウェイズ・ゲット・ホワット・ユー・ウォント」を
アンコールに持ってきたのも中々良かった。

それでも「欲しいもの全てを手中に収めるのは難しく」
「満足出来ない」と合唱するこの
レディース&ジェントルマンなパフォーマーと
観客に足りないものは何なのだろうか?

その答えは歳を重ねるほど難しくなっている気がした。
posted by cafebleu at 11:06| 東京 ☁ | TrackBack(0) | Live Report | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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