2006年02月05日

Do You Remember Walter?

「過大評価せずに英国風刺感覚を楽しむ」 by The Kinks('68)


キンクス、そして中心人物のレイ・デイヴィス。
英国を代表する作曲・作詞家の一人なのは僕が言うまでも無い。

僕も彼らが全盛期の作品はほとんど持っているが、
愛情はほどほどと言ったところか。

必要に迫られて彼らのCDを買ったと言うよりは、
少なからず60年代の音楽にのめり込めば
キンクスを無視する事の方が難しいし、
曲がりなりにもモッズをかじれば最初の方で
すぐに名前は出てくるものだ。

たまにコアなファンの人たちの意見を目や耳にすると
色々考えさせられる。

「レイ・デイヴィスはポール・マッカートニーやブライアン・ウイルソンと比肩する、いや、それ以上のアーティストである」

ポールやブライアンが最高の「ポピュラー作曲家」かどうかは別として、
少なくともレイ・デイヴィスを最高の作曲家とするのは
彼のコアなファンだけであると僕は思う。

勿論メランコリックかつメロディアスな作品を多く残しているし、
名曲「ウォータールー・サンセット」などは掛け値なしに美しい
"ブリティッシュ・ポップ"史に残る代表曲の一つである。

レイ・デイヴィス及びキンクスは確かに絶頂期に
セールスで躓き続けるという不遇を囲ったし、
そんな「売れなかった」作品群も今では高く評価
されているのだからそう言いたい気持ちもわからなくはないが、
むしろレイを高みに祀り上げて評価するよりは、レイの英国生活に根ざした
皮肉の利いた歌詞世界とややとぼけた感じの楽曲、
ヴォーカルをじっくりと味わえば良いのではないかと僕は思う。

ジョンの宗教性、ポールの変態的なポップセンス
ブライアンの危うい美しさはある意味万人に
評価されるものだろうけど(この手の音楽が好きな万人という意味)
レイにそういうものは無いと僕は思う。
歌詞はある意味上に挙げた彼らより秀逸であるが、
本当にその秀逸さを知るには英国で生まれるしかない。
これはフーにも言える事ではあるが。

そして音楽的には初期のガレージ志向の後、
恐らくはラヴィン・スプーンフルにレイは大きな
影響を受けたのでは無いかと思う。
そんな「グッドタイム・ミュージック」を英国人の目で解釈した
のがレイの楽曲世界なのではないか?
勿論「サニー・アフタヌーン」「ヴィレッジ・グリーン」
「トゥー・シスターズ」のようなマイナー展開のうらぶれた作曲も
レイは多用しているが。

意外に音楽の根っこには米国の影響を感じるのが僕の私見だ。
そんな色は後の『マスウェル・ヒルビリーズ』で顕著になるのだが。
(音楽的という点では僕はこれがベストだ)

そして現在ではもっとも評価が高いであろうアルバムが
『ヴィレッジ・グリーン・プリザヴェイション・ソサエティ』だろう。

粒揃いの牧歌的な楽曲、コンセプチュアルなアルバム作り、
何処か長閑で美しいメロディなど聴き所は多い。



このアルバムに収録されている楽曲は良い曲が多いが
「Do You Remember Walter?(ウォルターを覚えているかい)」は
美しさという点でかなり秀逸な楽曲だと思う。
イントロからAメロ辺りまではかなりとぼけたような
メロディだがいきなりサビで開ける展開は僕が弱いところだ。
つまらないAメロと魅力的なサビ、ポップスの基本的な作曲手法でもある。

一番好きな楽曲、実はこれではなく「ピクチャー・ブック」である。
見事なまでの「フォーク・ポップ」だ。ただ恐らくこのアルバムを
楽曲単位で取り上げれば、これが一番有名だろうから
敢えて僕が多くを書く必要もないだろうと思った。

そう言ってしまえば「ウォルターを覚えているかい」
だって同じ事だが。

余談だがキンクスは何故か女性の心を捉えるようだ。
僕はこれまでこの手の音楽を好むような
女の子とは人生で何回かは出くわしているし、
勿論そういう女の子たちも60年代のものが
好きだといったって好みは千差万別なのだが、
何故か皆キンクスは大好きだった。

女性に持て囃されるポップバンドというのは
僕が音楽をやるにあたっても大事な要素にしている。
だってポップは商業的で愛らしいものだとも思うからだ。
そういった意味では女の子にちやほやされる秘訣を
是非レイ・デイヴィスに聞いてみたいものだ。

とは言え10人を超えるほどリサーチしたわけでも無いので
「レトロ・サブカル娘はキンクスを聴いてます」
と言い切れるわけでも無いけど。
posted by cafebleu at 07:35| 東京 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | The Kinks | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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