2007年12月12日

Just Say, Just Say

”胸に詰まるほど美しい永遠があるのなら”


仕事に忙殺されてジョンの命日すら寝ないで仕事をしていてまともに
ジョンを想う事すらままならなかった。

最近音楽を聴くのは通勤の時か、仕事で集中したい時は
仕事中でもヘッドフォンをしてターミナルを開いているので
全て流し聞きである。

最も以前よりもゆっくり聴けないなと思うのは車通勤ではなくなった
からであろう。車だってながら聴きなのだが、やはり個人の空間なので
じっくり聴きたければ大音量で、歌いたくなったら口ずさめば良いのだ。

良く、「車が好きだよね」と言われる。
確かに運転は得意な分野に入るだろうし、嫌いではない。
但し僕は車を運転している以上に、車と言う私的で小さな空間が好きだ。
どうしようもなく落ち込んだりすると、夜中に一人でドライブしたりするのは、
運転そのものよりも、大好きな音楽を聴きながら、移り行く夜の景色を
観ている事で少し心が落ち着くからという理由もある。

結局一人の時間の作り方の方法に過ぎないのだ。



さておき、表題はマーヴィンとダイアナ・ロスの余りに有名なデュエット・アルバムである。

僕は、と言うか、恐らくマーヴィン・ファンの大半は、女性とのデュエット作なら
間違いなくダイアナとの作品ではなく、タミー・テレルとの作品を選ぶだろう。
勿論基本的には僕もそうである。実際以前にもタミーとのデュエット作品について
このブログで触れている。

勿論ダイアナとのデュエット作は名作なのだが、それはお互いにモータウンの代表と
して、恐らくは商業的な理由も絡んでのデュエット・アルバムであったはずだ。

実際に、今では”ニュー・ソウル”と呼ばれるような70年代の洗練されたソウルの薫りと
あくの少ないダイアナの歌声が、そう言ったショービズ的な要素を一層際立たせる。
勿論この時期のマーヴィンも60年代に比べると随分ソフィスティケイトされている。

そんなイメージもあり、アルバムを持ってるし、その曲のどれもが素晴しい楽曲であり、
更に二人による熟練のヴォーカルも中々良い雰囲気なのだが、余り深く注視した事が無かった。

でもこの前、前日遅かったので少し遅めの電車を待ちつつiPodをランダムで
流し聞きしている時に耳にすっと入ってくる楽曲があった。

それが「ジャスト・セイ、ジャスト・セイ」だった。

シンプルだが折り重なるように響く少しメランコリーなギター・リフ。
これだけでもとっても胸に響いてくるものがあるが、更に二人のソフトな
ヴォーカルが優しく入り込んでくる。

陳腐かもしれないけど、どうしてこんなにも美しいのだろうと思わされていると、
曲が開けていき、ソウルらしい盛り上がりを魅せる。しかしそれも派手過ぎない程度だ。
この部分が、ともすればメランコリーに傾きすぎるこの楽曲を引き締めてくれる。

そしてこの曲の控えめなホーン・アレンジが素晴らしい。
実は自分は余りホーン・アレンジを好きになれないと言う変な部分があるのだが、
ここで聴かれる気の利いた音色とフレーズは素晴らしいの一言に尽きる。

この曲の美しい余韻に浸ろうとすると、更にアルバムのハイライトで、既に
ソウル・ファンには基本といってよい名曲「ストップ、ルック、リッスン」に
続くのだから堪らない。

この2曲が続いているのが奇跡的だし、この流れがニューソウルで最も美しい瞬間
なんじゃないかと僕は思えて仕方ない。

このアルバムはショービズで、日和主義なモータウンの産物だったのかもしれないけど、
僕はそんな日和であれば喜んで受けたい。

少し疲れた自分に奥まで響く優しいメロディとエバーグリーンなもの。
そんな癒しがこのアルバムにある事に気づいた様な気がする。


ジョンも勿論だけど、マーヴィンもこの世にいないのだけは事実だ。
posted by cafebleu at 03:02| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | Marvin Gaye | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月24日

Ain't Nothing Like The Real Thing

「最高のデュオとニューソウルへの架け橋、タミーの愛らしさ」
by Marvin Gaye & Tammi Terrell ('69)


マーヴィン・ゲイが60年代に後半にタミー・テレルと
発表したいくつかのアルバムは今でも最高のデュオとして誉れが高い。
実際にマーヴィンはその後、
モータウンの歌姫ダイアナ・ロスともデュオ・アルバムを発表しているが、
それがタミーとのコンビには敵わないのは皆が知っていることである。

マーヴィンとタミーのデュオはアメリカでは勿論、
当時英国でも評判だったようで、
『ブリティッシュ・モータウン・チャートバスターズ』
なんていうコンピにも彼らの代表曲は収録されていた。
彼らのオリジナル・アルバムは結局3枚リリースされたが、
最後のアルバムになるとタミー・テレルが体を悪くしてしまい、
歌うこともままならなかったので実際はこのデュオの楽曲、
大半を作曲したヴァレリー・シンプソンが代役を務めたようである。

それにしたってタミー・テレルのとマーヴィンの
デュオはいつ聴いても素晴らしい。タミーの歌声は
ソウルフルとかではないのだけど、何だか愛らしくて僕は大好きだ。
モータウンらしいキャッチーな歌が多いのもとても良い。

アシュフォード/シンプソンの作る楽曲も
改めて最近素晴らしいと感心しきりだ。
彼らの作曲スタンスはまだニューソウル的な
サウンドが開花する以前にその雰囲気を
既に感じ取ってるように思える。
僕は勉強不足でアシュフォード/シンプソンの活動自体は
余り知らないのだが今後更にチェックして行こうと思っている。

マーヴィン&タミーのアルバムでも
「プリ・ニューソウル」的傾向は2枚目くらいから
顕著になってくるようになる。
タミーの死後、マーヴィンは暫しの沈黙の後、
美しきニューソウルの傑作、
『ホワッツ・ゴーイング・オン』を作り上げる訳だし。

「エイント・ナッシング・ライク・ザ・リアル・シング」は
恐らく「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」と
並んでマーヴィン&タミーの代表曲だろう。
どちらも甲乙付けがたい位素晴らしい曲だけど、
「エイント・ナッシング・ライク・ザ・リアル・シング」の
ややもったりと曲が始まりつつ、曲の流れを
突然変えるかのごとく切れ込んで来る
タミーのソロ・パートが何度聴いても格好良い。
楽曲、ヴォーカル共に最高水準にある一曲だと思う。


ジャケット・デザイン的には上記のベストが好きなんだけど、
最近では彼らの活動をほぼ全てまとめたコンプリート盤が
出ているのでマーヴィン&タミーの全軌跡を知りたいのなら下記の2枚組を。



タミー・テレルは24歳の若さで亡くなってしまったらしい。
マーヴィンとの活動で彼女自身にもソロでのチャンスが
あっただろうに大変に勿体無い話だ。
そして今はマーヴィンもこの世にはいない。
posted by cafebleu at 08:41| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | Marvin Gaye | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月16日

Is That Enough

「愛の不和という重いコンセプトと斬新な音像」 by Marvin gaye


『ヒア・マイ・ディア(離婚伝説)』、
こんなコンセプトのアルバムが最初からリスナーにとって
魅力的だったとは到底思えない。

この時期マーヴィンは前妻との離婚へ向けた調停中で、
金銭的にも慰謝料などでもめていた。その示談策の
一つとして「新作の印税収入などを前妻に全て渡す」という条件の下、
このアルバムは製作された。
だからといって慰謝料代わりの新作が「前妻への恨みつらみ?」で
構成されたコンセプト・アルバムである必要もある筈は無く、
普通のアルバムでも良かったわけで。

でも結局この苦悩が音楽への
インスピレーションになってしまうのもマーヴィンらしく、
そして余りに赤裸々な内容も、また彼らしいのかもしれない。

全体的に内省的で、キャッチーさにも乏しく、
「離婚」がそのままテーマになったコンセプトというのも
『ホワッツ・ゴーイング・オン』のようなものと違った意味で重々しい。

楽曲自体もダルなビートとさまようような
メロディラインが全体的にぼやけた感じ。
この時期ソウル・ミュージックは
アース・ウインド&ファイアのようなアッパーなディスコ・サウンドが
台頭していた時期でもあるのでこのだるさは
時代とも噛み合わなかっただろう。

僕個人としても離婚というテーマにはのめり込めないのだけど、
このアルバムの魅力はまた違うところにあると思う。

特にアレンジが秀逸だ。こ
こで聴けるアレンジは今聴いてもかなりモダンな部類に入る。

このだるいビートと細かいリズムの刻みや
キーボードの音響的な使い方はこの後の
ブラコン的サウンドに繋がっていく気がする。
キャッチーさの無いメロディもある意味無機質に
受け取れ、とてもモダンな感じがするのである。

だから今聴くとビージーズや
アース・ウインド&ファイアより古臭く感じないのである。

「イズ・ザット・イナフ」は
後半しつこいくらいインスト部分が続くぬるいグルーヴが気持ち良い。

この「ぬるさ」はアルバム『離婚伝説』全体を貫くものでもあり、
一聴では弱いこのアルバムを聴き込んで行くと、
「ぬるさ」が何とも良い塩梅になっていくのである。


posted by cafebleu at 13:56| 東京 ☁ | TrackBack(0) | Marvin Gaye | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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