2006年01月06日

Swans

「天体観測が似合うピュアなラブ・ソング」 by Prefab Sprout('97)


プリファブ・スプラウトの『アンドロメダ・ハイツ』
とはそういうアルバムである。ドリーミーで、美しくて、
クラシカルで、ピュアで、既にロックとは遠いところにあるもの。

簡潔に言えばディズニー音楽のようでもある。
ディズニーランドやディズニー映画で
流れる音楽って夢がある、そんな感じだ。
実際に影響も受けてるようだ。

このアルバムはジャケットから音楽まで
「アンドロメダ・ハイツ」に連なるコンセプトがあり、
一曲一曲を取り上げるよりもアルバム全体で
味わっていた方が良い気もするのだが、
特に「スワンズ」の凛とした美しさは聴く度に胸を打つ。

ヴィヴラフォンの美しいイントロから静かに、
必要以上には盛り上がること無く曲は
展開していく。そして作者でもあり、
ヴォーカルも取るパディ・マクアルーンのややハスキーな
歌声が心の深いところに入り込んでくる。



ブラーをはじめ、近年ではオーディナリー・ボーイズ辺り
まで多数のジャケット・デザインを手掛ける
英国のデザイン・グループ、スタイロルージュの
内容を的確に表現したジャケットが素晴らしい。
スタイロルージュは90年代以降のヒプノシスと言える事が出来るだろう。
(ヒプノシスはピンク・フロイドやレッド・ツェッペリン等のジャケットデザインを担当した)

プリファブ・スプラウトとは稀有の存在だと僕は思う。

音楽的には「英国的現代のソフトロック」と
言えるかもしれないけど、必ずしも所謂「ソフトロック好き」な
人たちが聴く音楽とも違う。いや、
もうある意味ではロックやポップという枠からも
少々外れているのかもしれない。
ブライアン・ウイルソンやポール・マッカートニーの影響だって
パディ・マクアルーン本人は認めているけど、
その楽曲やアルバム・コンセプトに至る細部までの拘りは彼らを超える。

好き嫌いが結構分かれる音楽だと思う。
この人たちにロックの持つグルーヴだとかダイナミズムを
求めてるのが間違いだし、そういうのが好みならば
それこそレッド・ツェッペリンとかを聴けば良い訳だから。

パディ・マクアルーンにダイナミズムがない訳では無い、
しかしそれは
「作曲やアレンジで魅せる、聴かせるダイナミズム」だ。
息を飲む曲展開、作曲の妙技。
これだって立派なダイナミズムだ。クラシックがそうであるように。

どのアルバムもそれぞれ聴き所があるが、
その中でも最も「美しいラブソング」が散りばめられているのが
『アンドロメダ・ハイツ』だろう。
ラブソングが嫌いだった当時の僕はこのアルバムを聴いて自分が
いかに音楽に対して間違った考えを持っていたかわかった。

永遠に色褪せないものがあるとすれば、
そういう表現に値する価値を持つ音楽、それが
プリファブ・スプラウトの『アンドロメダ・ハイツ』だと思う。

今までこのバンド、そして中心人物である
パディ・マクアルーンに心酔していながら
ほとんどコラムやレビューを表で書いたことが無かった。
余りに寡作な人なので待ちわびている内に
こちらも書きそびれてしまう。

因みに『アンドロメダ・ハイツ』の次作にあたる
『ガンマン・アンド・アザー・ストーリーズ』
今度は西部を舞台した少年の夢を描いた
素晴らしいアルバムであることも付け加えておく。

またディズニーランドの例えになるが、
宇宙がテーマになってるゾーン(アンドロメダ・ハイツ)から
ウエスタンをテーマにしたゾーン(ガンマン・アンド・アザー・ストーリーズ)
に移動したような、やはりそんな夢のある「西部」の世界だ。
posted by cafebleu at 13:34| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | Prefab Sprout | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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