2005年12月30日

King Harvest (Has Surely Come)

「最高でしょう、それだけで十分」 by The Band


70年代というのは「ライブの名盤」が多い。
恐らくは録音技術と演奏技術が良い頃合で
高いレベルになってきてこういう現象が起きたのだと思う。
また、録音技術が高いと言っても後で修正できる箇所なんてのは70年代では
コーラスを加えるとかちょっとギターを一本足しておく位しか出来なかったので
その質の高い「実況盤」に信憑性があったのだろう。90年代辺りになってくると
ライブの音源を元にいくらでも「お色直し」が出来る時代になってしまったので
「ライブ盤」と言ってもどの程度本当に「ライブ」なのか?という感じもしなくはない。
つまりは70年代の音楽背景が「ライブ盤」と合っていたのだと思う。

全く好みでは無いがディープ・パープルやチープ・トリックのライブ盤なんて
異様なくらい評価されている。ピーター・フランプトンに至ってはライブ盤が
今でも「最高のアルバム」という事で落ち着いてしまい、晩年には第二弾まで
リリースしている。

ストーンズの『ゲット・ヤー・ヤー・ヤズ・アウト』『ラブ・ユー・ライブ』辺りも
評価は高い。後者の方、個人的には演奏が荒すぎて付いていけないが・・。
ダニー・ハザウェイのライブもいまだフェイバリットに挙げる人が後を絶たない。
少し前にも紹介したが、ウイングスのライブ盤だって明らかにスタジオ・テイクより
出来の良いものが多い。70年代は『サンフラワー』と一部を除いてロクなアルバムを
リリースできなかったビーチボーイズですらファンキーなリズムセクションを得て
中々引き締まったライブ盤を発表している。

他にも挙げたらキリがないが、
イーグルス、マーヴィン・ゲイ、レオン・ラッセル、エリック・クラプトン、
デイヴ・メイソン等それなりに充実したライブ盤を発表している。

で、ザ・バンドだ。

ザ・バンドのライブ盤としてはなんと言っても有名なのが『ラスト・ワルツ』だろう。
僕もこれを観て初めてザ・バンドに触れたのだが確かに素晴らしいと思う。
でも、『ラスト・ワルツ』は解散コンサート的な趣旨があって、
ゲストとの共演に重きが置かれた企画物である。
ではザ・バンドの「ライブ」を本当の意味で閉じ込めたアルバムは?というと
これは間違いなく『ロック・オブ・エイジズ』であろう。

先に書いておくと、個人的に一番好きな「ライブ盤」は?
と聞かれたら、僕は迷わずこれを挙げる。

はっきり言って初めて聴いた時は「衝撃」だった。

演奏に定評のある、
しかも今では「ルーツ・ロック」
なんて言われ方もする米南部寄りの音楽を
奏でたザ・バンドのライブ、
僕は聴く前にレオン・ラッセルやデラニー&ボニーのような熱いものを
勝手に想像していた。
しかし一曲目「ベイビー・ドント・ドゥー・イット」
での人を喰った様なカバーの幕開けで
そんな想像はすっ飛んでしまった。

演奏はどこまでもクール、
いやもう熱を逆に感じない。彼らは淡々と各自のパートをこなす。
そしてスタジオ版以上に引き締まった演奏とヴォーカル。

それ以上でもそれ以下でも無い、そうとしか言い様が無い。

僕はこんなライブ盤を他に聴いた事が無い。

物語性の強い2ndで後半に怪しい存在感のある
「キング・ハーヴェスト」もこのライブでの
余りのタイトさっぷりでまるで僕にはファンクのように聴こえる。
こんな凄いリズムでこの曲は出来ていたのかといつも感心させられる。

この時期のライブで収録から漏れた曲に
「アイ・シャル・ビー・リリースド」があるのだが、
当初これが漏れたのはロビー・ロバートソンの
リチャード・マニュエルに対する嫌がらせかと思っていた。
このテイクはリチャードの命を削るかのような
ファルセットが胸に刺さるテイクだったから
何故収録されなかったのか疑問に思っていた。

でも良く聴いてる内にこの「情」が
このアルバムのクールさとやや異なるような気がして少しは
納得できるようになった。
リマスタリングCDが発売された際にボーナス収録されたのは良かったが。

ザ・バンド、
この自信に満ちたシンプルな名前がこれほど似合うグループは他にいない。



ザ・バンドをアルバムで、と言うなら月並みだが僕は『ビッグ・ピンク』が好き。
こちらは逆に聴いた瞬間から違和感だらけで何度も繰り返して聴いていた、
そういう麻薬的な名盤。細かい解説はピーター・バラカン氏のライナーノーツで。
posted by cafebleu at 00:34| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | The Band | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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