2015年10月25日

日々の自動車論 〜Dセグメント ステーション・ワゴン編〜 その2

-主なモデルと特徴-

・メルセデス・ベンツ Cクラス[W205/S205](セダン・ワゴン)[ドイツ]
〜ドイツ、そして世界でも随一のプレミアム・ブランドが放つ本気の"Dセグ"〜

・2014年度輸入車モデル別売上 2位(19,465台)
・2013〜2006年までの売上推移 5→3→4→6→5→3→4→8
・9年間平均順位 4.4位
・価格帯 539〜738万(ワゴン)

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Cクラスに限らずとにかく売上絶好調のメルセデス。
今年の半期はVWを3000台近く上回り32680台を記録、
何と15年連続輸入車の販売1位だったフォルクスワーゲンを
16年ぶりに抜いて首位に立った。

これは凄いことだと思うし明らかに経済状況も変化してるのだろう。
輸入車でも実用車が多いVWをプレミアム路線のメルセデスが抜いたのは
そういう事なんだろうと思う。それも単に景気回復とかそんな事ではなく
格差社会が一層進んでるのではないかと、そんな風にすら感じる。

昨年のモデルチェンジでこれまでのコンサバな印象からアグレッシブで
押し出しの強いデザインに。走りの方も"アジリティ"を全面に打ち出し
スポーティなセダン、ワゴンという方向性で売り出されている。

Cクラスに限らず近年のメルセデスはCセグのAクラス、その派生である
クーペスタイルのセダン、シューティングブレイク(ワゴン)のCLA
そして近年大人気のコンパクトSUVに属するGLA、Eセグのラグジュアリー
クーペと言えるCLSシリーズ辺りから押し出しの強い
ちょいワルオヤジ層やマイルドヤンキー的富裕層辺りに訴求しそうな
アクの強いセンスで勝負に出てきており、実際それは大きな成功を
収めているのは冒頭で書いたとおり。

そんな中でCクラスのモデルチェンジと相成った訳だが、元々は
同セグメントのライバルの中でも大人し目でともすればやや
「ダンナ仕様」感の漂う雰囲気だったのだが、一気に若返ったというか
上記クラスと同様に押し出しの強いデザインに。

それでもCクラスはCLAなどに比べればもう少し大人で普通のセダン
ワゴン的な方向性は残している。あとは質感の向上は著しい。
元々メルセデスはあくまでCクラスを「メルセデスのFRセダン入門編」的に
捉えてるフシが有り、前モデルまでは内装はライバルに比べて質素と
言われていたし、ちょうどこの10年位はアウディの躍進が目覚しいので
やや影に隠れている印象も有ったが、モデルチェンジを機に
派手さと押し出しの強さはA4や3シリーズを上回ったと言えるだろう。

値段設定は実質プレーンなC180は受注生産なのでラグジュアリーな
オプションを含むC180アバンギャルドの540万からと言ってよく
これはアウディA4 2.0TSIやBMW320iに内外装のラグジュアリー
パッケージを付加したモデルと大差はない。

だが、C180はエンジンが1.6Lの直噴ターボに対して、アウディ
BMWは2Lの直噴ターボ(A4、320i共に180馬力強のスペックを持つ)。
メルセデスはパワーも若干劣る(156ps/5,300rpm)。
一つ上のC200アバンギャルドならスペックも装備もほぼ同等になるが
値段は570万となりややライバルより高めの価格設定と見て良いだろう。
この2グレードの燃費は1.6LのC180、2LのC200の何れもJC08モードは
16.5km/Lと同じである。これは何れにしてもサイズからすれば優秀だが。

※ボルボの話の繰り返しになるが、これをだらだらと数ヶ月休み休み
書いている内に遂にCクラスにもクリーンディーゼルが投入された。
今回からEクラスのように"E220 Bluetec"と言う表現ではなく
"C220 d"とBMWのようにディーゼルとわかりやすいネーミングに変更。
(既にCLSでは上記と同じ命名規則になっているが)
遂にアッパーからミドルクラスに降りてきて、本気で3シリーズの
牙城を崩しにかかっている。

VWの排ガス不正問題の最中、ブレることなく堂々とディーゼルモデルを
発表したメルセデスの姿勢は評価に値するし、その強気は売上の好調さ
からも来ているのだろう。ここぞとばかりにネガを言う評論家やユーザも
居るし、それも一理は有るのかもしれないけど、高速巡航だけでなく
日本みたいなストップ・アンド・ゴーが多い社会でもエンジンを無駄に
回すことなく大トルクを生み出せるディーゼルは本当に使いやすいのである。
燃費も確実に良いし、何より軽油価格の安さはお金に困ってない人だって
ジワジワ効いてくると思う。

さておき、メルセデスの場合、エンジン性能云々よりは近年「半自動運転」
ともうたわれている安全装備がBMWやAudiよりも優秀だろう。ステレオカメラ
とミリ波レーダーによる追尾クルーズは勿論、ステアリングも部分アシスト。
ステレオカメラならではの衝突軽減ブレーキの機能は高い評価を得ている。
他にも車線変更の死角検知や縦列駐車のサポートなども標準装備だ。
それを踏まえると、御三家の価格は大差なく、後はどこをユーザが
重視するかなのかもしれない。

噂では遠くないうちにEクラスにも近頃導入された2.2Lの
ディーゼルモデルも登場するという話も。そうなると
クリーンディーゼル人気を押し上げた320dへの大きな対向車と
なるだろうし、特にワゴンにはベスト・モデルと成り得るだろう。
(前述のとおり2015年9月にディーゼルモデルも発表された)

以前は「メルセデスはEクラスからがメルセデス」と言う評も有ったが
外観や内装はCクラスだけでなくCLAやAクラスでもグッと高まった感はある。
特にほぼ車格が同じで同社内モデルでの食い合いすら起きてるであろう
CLAシリーズとの境界はやや曖昧化してるが、FRと縦置きエンジンという
伝統はCクラスからなので(CLAはFFベース)そういう意味ではメルセデス
らしさを味わえるベーシック・グレードとしてより品質を磨いたのが
新しいCクラスと言えるし、そこはAや派生のCLAでは享受出来ない
プライオリティの一つだと思う。

今モデルから"アジリティ"を売りの一つにしていることは前述のとおりだが
ここは賛否ある模様。元々鷹揚さが1つの売りであったメルセデスがBMWに
近いアプローチをしているのだが、その辺りは好き好きか。
逆に3シリーズはややラグジュアリーなカラーを強めて、スポーティさは
1、2シリーズなどに譲っている印象も有るが。

何れにしても500万を超える価格帯でありながら、この10年モデル別ベスト10
から外れたことのない定番車種の一つであることは確か。


・BMW 3シリーズ[F30,31](セダン・ワゴン)[ドイツ]
〜BMWをメジャーに押し上げた02シリーズの系譜にして、BMWとDセグのベンチマーク〜

・2014年度輸入車モデル別売上 5位(13,533台)
・2013〜2006年までの売上推移 2→4→7→4→2→2→2→2
・9年間平均順位 3.3位
・価格帯 505〜796万(ワゴン)

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このクラスのベンチマーク的存在とも言えるのが3シリーズ。
BMWはこの車格からスタートしたブランド言って良いので
やはり完成度は高い。Dセグメントにもスペース効率の兼ね合いから
FFが増える中、FRと前後の荷重バランスの50/50にこだわり続ける姿勢は
車好きからも一定の支持を受け続けている。
(その不文律を遂に破ったのは昨年登場したアクティブ/グラン・ツアラー)

このF30世代で特に日本において話題となったのは数十年ぶりの
ディーゼルグレードの投入だろう。これまで燃費や燃料費等実用的な
面のみでしかチョイスする層が居なかった、と言うか8〜90年代の
ディーゼルで見受けられた環境への問題からディーゼル自体が
日本からは消えていた中での復活は話題となった。

そのディーゼルに対するイメージをマツダとともに大きく覆しつつ
有るのがBMWのディーゼル・ラインアップである。もちろん環境対策は
抜群で、欧州の排気ガス基準"EURO6"は勿論の事、世界でも厳しさは有数と
言われる日本のディーゼル基準にももちろん対応、CO2排出量は多くの
ガソリン車に勝る「クリーン」なディーゼルだ。

燃費も320dツーリングで19.4km/L(JC08モード)と、同セグのハイブリッドに
迫る値を叩き出し(レクサスHS250h→20.6km/L、IS300h→23.2km/L)
パワーやトルクではそれらを上回る動力性能を持っている。
特に高速巡航では20km/Lを超える燃費を記録する事があるのは雑誌や
WEBのレビューでも言われている通り。

このディーゼルの良い所は環境性能だけではない、スペックも
184ps/38.7kgmと馬力はガソリンモデルに劣らず、トルクに至っては
3.5Lエンジン並みの高トルクを1750回転から発生するパワフルさも受けて
今や3シリーズ・ツーリングの売上の8割はこの320dであるというから
その評判は高い。実際自分もこの320dのオーナーだが
素晴らしいエンジンだと思う。

前作のE90がその柔らかいデザインから日本でも人気が高く常にゴルフに
次ぐ売上2位が定位置だったが、F30世代以降はライバルの追撃や折からの
SUVブームなどの煽りを受けやや上下動が激しくなってきているものの
実際にはクーペやオープンモデルが3シリーズから独立して4シリーズと
なったことや、実売台数は相変わらず堅調に推移していて、5位になった
2014年でも4シリーズと合わせると17,790台売れておりモデルチェンジ
直後で有るCクラスとの差はそれほど大きくは無い。

とにかくBMWはプレミアム・クラスの中でも一番独自の道を行っていて
それがFRと50/50とか"シルキー・シックス"と言われた直6エンジンなんか
に集約されるわけだけど、好きな人はずっと乗り続けるし、嫌いな人
マッチしなかった人には敬遠される事が多い。

例えばF30のデザインなんかは癖は強いが近年の日本車や高級車に
見られるようなでかいグリルと大きなブランドマーク路線とは異なり
何というか爬虫類系的なデザインで、アウディのようなスムースさには
欠けるし、Cクラスのような如何にもゴージャスという雰囲気も無い。
それは安っぽくは無いけど取り立ててゴージャスという雰囲気も少ない
内装のデザインにも言えることだ。

元々BMWはスポーティさを売りにしていて、プレミアム・ブランドの中
では最も"見せる"事よりは"駆け抜ける"事に歓びを見出すブランド
だろう。それでも近年では足回りやシャーシも以前ほどガチガチでは
無くなったし、それこそ低回転でのトルクが売りであるディーゼル
モデルに乗っているとユルユルとトルクに身を任せて鷹揚な気持ちで
クルージングしているのが一番楽しかったりするのだが、そんな
ドライビングでも楽しく感じさせるマジックが有るのがBMWだと思う。

確かに長年の御三家ブームが築いてきたプレミアム感は有るけど
今となっては外観や内装において、メルセデスほどのこれでもか的
高級感や、アウディ辺りのスムースでわかりやすく上品な佇まいは
BMWでは望めない。やっぱり乗ってる本人が一番ほくそ笑んでるのが
BMW、特に3シリーズ位まではそうなんだと思う。

走りを大事にしながら、ガソリン、ディーゼル、ハイブリットと
知らぬ間にバリエーションも多様になってそういう所もしたたかだ。
唯一マニアが嘆いてるのが"シルキーシックス"こと直6エンジンが
かなり上の排気量モデルにしか積まれなくなりつつ有ることだろうか。

上位モデルと言える328iも以前のような直6ではなく2L4気筒直噴
ターボのハイチューン版だ。そこにはやはり時代を感じる。

ただ、E90世代でノンターボや6気筒にこだわりパワーや燃費で
明らかにVWアウディに遅れをとっていたBMWにしてみれば
近年アウディの猛追を受ける(一部モデルでは逆転されている)
身としては土俵に乗らないわけにもいかないのだと思う。
MINIのようなコンパクトカーも持っているわけだし。

ダウンサイジングも本気で開発した結果がF世代ではしっかり
実を結んでいる、そう考えて良いだろう。勿論BMWらしく
燃費や環境に配慮しながらも"駆け抜ける歓び"は失ってない
そう言って良いと思うのである。

そして、今でもCセグメントの基準がゴルフなら
Dセグメントのベンチマークは3シリーズで成り得ている。

・アウディ A4[B8](セダン・ワゴン)[ドイツ]
〜ゴルフと並ぶFFのパイオニアと縦置きエンジンの独自〜

・2014年度輸入車モデル別売上 15位(5,279台)
・2013〜2006年までの売上推移 12→12→11→8→7→7→11→14
・9年間平均順位 10.8位
・価格帯 467〜835万(ワゴン、S4含む)

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古くはアウディ80シリーズから続くミドルクラス・セダン、ワゴンの
定番モデルがA4シリーズだろう。アウディはFFベースだが、エンジンを
縦置きにすることに拘っており、それを味わえるのはこのA4からと言う
事になる。A3はゴルフのプラットフォームをベースとした横置きエンジン
のFFカーである。

モデル末期で既にニューモデルも公開され間もなく発売というタイミング
もあり(アウディ全体でライフスパンが長いと言うのもあるが)昨年は
15位まで後退しているものの、16年にはニューモデルも出るので
巻き返すだろう。

しかし、改めて順位だけ見ると思ったより3シリーズやCクラスに差を
付けられてる印象も。都内だと3シリーズより見かける時がある気が
するのだが。実際アウディはA3の方が売れているのだろうか
(こちらもA4以上によく見かける)と思い調べてみると
6→14→18→15→11→9→10→15→16位(2014〜2006年)
とA4と大きく変わらずやや下という感じ。これは意外な結果である。
少なくとも夏に軽井沢辺りにいくとアウディだらけなのだが。。
ウチの集合住宅にもアウディA4のオーナーさんは居る。

S4を含んでないのかもしれないが、それにしてもスポーツ・チューンで
一般向きでないS4は余り台数を稼がないだろうから全国ではこのくらい
なのかもしれない。むしろ全体での売上やSUV(Q3,Q5)の売上が
アウディ全体のイメージを高めていると言えるか。少なくとも
都内ではこの順位以上に見かけるのは確かである。

さておき、それでも500万以上の価格帯が実情のDセグで輸入車全体でも
ベスト10付近をモデル末期でキープする人気はスムースで美しいデザイン
と清潔感のあるブランド・イメージからだろう。過去にはやや大人しすぎる
と言われたデザインも"シングルフレームグリル"がついた辺りから強さも
見せ始め、このバンパーを横断するデザインはこの後各社のグリルに
大きな影響を与えた。
とは言えアクが強すぎない所も日本人に好まれた一因か。
(近年では余程日本車の方がアクが強いが)

一つ心配事は親会社であるVWの排ガス不正問題だ。基本同じパワートレインを
利用しているのでアウディでも問題になったエンジン系では同様の不正が
欧州では発覚している。アウディの場合、少なくとも国内販売において
今のところクリーンディーゼルの投入という話は聞かないが、恐らく年内に
予定されているVWパサートのクリーンディーゼル投入というのは大きく
考えればグループにとってディーゼル展開の試金石だったはずである。
これで成功すれば単にゴルフとかだけでなく、アウディでも展開のシナリオ
は有るはずである。特にA4辺りはBMWもメルセデスもボルボもジャガーも
同クラスにディーゼルモデルが有るわけだから余計である。

最もパサートの投入予定モデルは問題になったEURO5基準のディーゼルではなく
EURO6基準で最初から作られたエンジンなので中止にする予定は今のところ
無いというアナウンスは出ているが、イメージの低下は避けられないだろう。
ただ、日本ではアウディってVWグループだと知らない人も多いので先に
アウディで展開するなんて事も考えられなくないが。。

閑話休題、現在のA4のラインアップはざっくり言って2タイプで
FFのベーシックモデルとアウディの特徴の一つ、フルタイム4WDの
"クワトロ"に分かれる。何度かのマイナーチェンジで現在エンジンは
何れも2L直噴ターボだが、チューンが若干異なる。

FFモデルは180ps/32.6kgmでこれはBMW320iやメルセデスC200とほぼ近い。
値段帯もラグジュアリーやスポーティなものを付けていけばそう大きく
三者に差はないだろう。但しミッションはCVTで、この辺りはやや
前世代感であることが否めないところだろうか。VWアウディでDCTが
選択できない事は車好きとしてはどうにも惜しい感じがする。

クワトロモデルはエンジンもハイチューンとなり211ps/35.7kgmとなる。
これは大体メルセデスC250に近い。
(BMWは328iは245ps/35.7kgmでよりハイチューン)

これ以上のハイチューンはS4だが、これは価格もパワーも飛び抜けるので
マニア向けのモデルだろう。ライバルもC450や340iと極端になる。

何れにせよモデルチェンジで最新のパワートレインが乗るだろうから
そこで巻き返してくるだろう。それにこのクラスに乗るユーザは何も
スペックばかりを追っているわけではなく、相応の額にふさわしい上質さ
やデザインを求めてくるものである。そこに関してアウディはモデルを問わず
デザインの共通言語感が強く、一定の近似感がどのモデルにも存在する。

特にやや丸みを帯びたスムースで美しいデザインと、内装の上質な高級感は
御三家の中では最も高いと感じるので、アウディが良いという一定のファンは
常にいると思う。新型も最近公開されたが、アウディらしくコンサバティブな
モデルチェンジで、性能や軽量化には磨きをかけたものの、さらっと見た限り
では大きなスタイルの変更は感じられない。

VWアウディが誇る定番セダン/ワゴンの1つで有ることは確かだし
同クラスのVW版と言えるパサートと安易にアーキテクチャやコンセプトを
一緒にしてない所も含めて価値観を作り出していると言える。

続く
posted by cafebleu at 02:38| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | Automobile | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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