2015年10月25日

日々の自動車論 〜Dセグメント ステーション・ワゴン編〜 その1

7月頃から書き始めていたが、忙しいのと相も変わらず
長くなったので時間もかかっている内にどんどんモデルサイクルが
起きたりしてるので加筆訂正してるとまた時間がかかる。

という訳でセグメント毎の話がようやく始まる。

-定義-

ミドル〜アッパー・クラスのセダン、ワゴンが中心だがグローバルには
SUVなども含むとされている。特に道路の狭い日本ではセグメント単位でも
大型化してきている中でのイメージとしては「中型高級車」車種でそれを
見ることが多いだろう。

今回はステーション・ワゴンと一部のセダンにスコープを当ててるので
諸説あるが、ひとまず大枠で以下のサイズをDセグメントと定義する。

全長:約4,600mm〜4,800mm

全幅:約1,700mm〜1,900mm
(セグメントの考えに全幅は通常含まないが、実際には上記値がDセグ・セダンやワゴンの範疇である)

排気量:2,000cc前後
(2.5Lや3Lのモデルも多いが、近年はダウンサイジング化でBMW328iでも2Lのエンジン、ベンツC180は1.6Lで有ることから大凡2,000cc前後のモデルとする)

Dセグメントは下位のCセグメントやEセグメントともオーバーラップ
することが多く、特にCセグメントのハッチバック車種がワゴンを
出した場合などは全長が伸びるのでほぼDセグメントに値することも多い。
これらは一部でCDセグメントとも言われたりする。

具体的には標準のハッチバックモデルで全長4.2m程度のCセグメントの
ど真ん中に位置するVWゴルフはワゴンモデルである"ゴルフ・ヴァリアント"があり
この場合4,575mmとなり、例えば1世代前のベンツ・Cクラス(W204)なら
全長は4,585mmから存在しほぼ同じサイズだし、現行のBMW3シリーズのワゴンである
"ツアラー"でも4,625mmとゴルフ・ヴァリアントとの差は5cm程度しかないのである。
(同車格のアウディA4は4,725mmあるのでこちらの差のほうが大きい)
なので、ここではCDセグメント言われるCセグのワゴンモデルも含むものとする。

また、ここでは主にヨーロッパのDセグメントかつワゴンを中心とし、
アメ車や日本での流通のない車種は基本含まない。


-総論-

2014年度(14年4月〜15年3月)メーカー別輸入乗用車登録台数

1.フォルクスワーゲン(62,439/22.26%) 前年度1位
2.メルセデス・ベンツ(61,827/22.04%) 前年度2位
3.BMW(43,339/15.45%) 前年度3位
4.アウディ(30,821/10.99%) 前年度4位
5.BMW MINI(18,831/6.71%) 前年度6位
6.ボルボ(12,380/4.41%) 前年度5位
7.Jeep(6,800/2.42%) 前年度9位
8.フィアット(6,171/2.20%) 前年度7位
9.プジョー(5,515/1.97%) 前年度8位
10.ポルシェ(5,408/1.93%) 前年度10位

上記はDセグメントだけではなく、純粋にブランド別の2014年の
登録台数を挙げたものになるが、初回なのでまずこの辺りの話から。

まず日本における輸入車の登録数で特徴的なのがドイツ勢の
強さだろう。勿論世界に自動車を輸出している国自体が
ドイツ、日本、フランス、イタリア、アメリカ、韓国
辺りに絞られるわけだけど、少なくとも日本においては
ベスト10中6ブランドがドイツのメーカー製だ。
(MINIはイギリスとも言えるが実質はBMWが作るドイツ車なので含んだ)

更にフォルクスワーゲンと御三家、そしてBMWのスモールセグメント
を担っているMINIを合わせるとそのシェア率は77.45%、つまり約8割を
占めることになる。

そしてこの内実はVWとアウディは同じグループ、BMWとMINIも同様
メルセデスはSmartを傘下に含むものの近年Smartは台数を著しく
落としているので(2014年は846台しか登録がなく20位)これは
ともかくとしても、三社で8割は偏りが有るだろう。

実は10位のポルシェもVWアウディグループなので、大雑把に言って
日本で買えるドイツ車はこの3グループの何れかだと言える。
(唯一GM系だったオペルはとっくに国内販売から撤退している)

例えば欧州ではフランスもかなり健闘していて、プジョーや
ルノーはメジャーなブランドの一つだし、実際世界での販売台数と
なると、熾烈な首位争いを繰り広げているトヨタとVWはともかく
ルノーニッサンは4位、PSA(プジョー・シトロエン)は9位で
BMWグループやメルセデスの居るダイムラーは世界販売では
11位以下で台数も200万台に達していない。

ただメーカーというのは台数だけでは測れないところが有る。
BMWやメルセデスは元々シェアや台数よりはプレミアム・ブランド
としての品質管理やブランドイメージの構築に腐心している。
それらは高価な故、成功すれば利益率は高いのである。
よってそれを非常に上手くコントロールしている二社は経営も
堅調である。

逆に世界的には販売実績3位のGMは実質の倒産を経験している。

日本でもセダン中心時代の90年代前半くらいまではメインセグメントの
一つだったのがこのDセグメントである。但し現在ではSUVやミニバンを除くと
そもそもミニバンやトールワゴン(特に軽)大国の日本では決して車種の
多くないセグメントだし、欧州でも自動車の本命セグメントは一つ下の
Cセグメントが主流と言って良いだろう。

その理由の一つは大型化である。このセグメントの代表格
BMW3シリーズは70年代後半から今まで途切れること無く続いている
BMWの代表的モデルだが、例えば8〜90年代に日本でも流行って
「六本木のカローラ」なんて言われたE30世代の3シリーズは全長4.3m台
全幅1.6m台と、日本の5ナンバーの範疇にすっぽり収まるサイズだった。
(この取り回しの良さも日本で流行った理由の一つだろう)

それが今や全長は4.6m以上、全幅は同セグメントの派生である
4シリーズも含めて軽く1.8mを超えてしまう。30年の間に30cm×20cmも
大きくなってるのだ。このサイズは当時のセドリックやクラウンの
一部モデルより大きいくらいである。最近では全長4.8mを超えてるのに
「Dセグメント」と称されるモデルも増えておりC、Eセグメントの境界は
曖昧になりつつ有る。逆にE30は現在のCセグメントに収まってしまう
サイズで全幅なんかは現行のミニよりも小さいくらいである。

理由は衝突安全基準の強化でボディやフレーム、ピラーが大きくなっている事
そしてモデルチェンジを繰り返す毎にライバルとの熾烈な争いの中で高級感
居住性を少しでも高めようとしている内にこうなってしまうのだろう。
同車種の大型化はほぼ全ての車種で避けて通れない問題で、売れてるモデル
ほど直面する課題でも有る。

近年では特に欧州でデザイン的に"ワイド・アンド・ロー"が流行ってるので
全幅もこの10年ほどでどんどん幅広になっていってる。比較的コンパクトな
SUVとされるレンジローバー・イヴォークだが、確かに全長は4.3m台と
それ程でもないのだが全幅は1.9mまでに達していて、日本車では考えられない
ディメンションなのである。これはエルグランドやヴェルファイアのような
大型ミニバンの全幅すら遥かに超えている。

evoque01.jpg
「レンジローバー・イヴォーク」日本でも大ヒットしているコンパクトSUV

そんな訳で現在におけるDセグメントはプレミアム車種のベース・セグメントと
言っても良いと思う。特に日本ではそんな感じでその車種はかなり限定されるし
具体的にはマツダ・アテンザ、ニッサン・スカイライン、トヨタ・マークX辺りの
ややラグジュアリーとされる車種が挙がるが、これらは日本ではもはや
メインストリームとは言えない車種だろう。実際アテンザとスカイライン
(欧米ではインフィニティQ50)は欧米市場をメインターゲットとしているモデルだ。

P1J05532s.jpg
「マツダ・アテンザ・ワゴン」車格やディーゼルなどのラインアップはそのままBMW3シリーズやメルセデスCクラス、そしてボルボS/V60などと相対する。日本が作った欧州車と言っても良い。

世界的な代表格はメルセデス、BMW、アウディら"御三家"が要するCクラス
3シリーズ、A4と、ある意味プレミアム・セグメントの中型車の主軸モデルだ。
欧州ではこの辺りが今でもメインストリームの一つだし、大型化した結果
北米でもこのサイズはかなり見受けられるようになった。
(但し排気量の大きなグレードが主である)

プレミアム路線でこれらに追随するのは今年発表されたイギリスの
ジャガーXEだろう。新モデルにはまだワゴンは無いものの
FRという特徴、性能、サイズ共に特にBMW3シリーズとスポーティな
セダンとして真っ当なライバル関係に有るように思える。

特にインドのタタ・モーターズが買収して
"ジャガー・ランドローバー"を設立してから両車のクオリティ向上は
フォード時代に比べて著しいものがある。年末にはタタ・モーターズ
新体制後の純粋な新作エンジンであるインジニウム・コンセプトの
クリーンディーゼルも登場予定なので、その辺りも含めて3シリーズ
とはガチンコの関係だと言える。ワゴンもクーペも出そうな感じ。

jaguarxe.jpg
「ジャガーXE」クラシカルなデザインから一気にモダンに。何となくアウディとBMWを意識した感も。

フォード時代にDセグメントで勝負するために発表した"Xシリーズ"は
見た目こそクラシカルなデザインだったがフォード・モンデオのFF
プラットフォームをそのままにボディだけ載せ替えたやり方にジャガー
ファンからも批判が高く、当時の3シリーズやA4を脅かすほどの成功は
収められなかったが巻き返しなるか。実は当時のXシリーズもメカマニア
以外には手頃なサイズでクラシカルなジャガー風味が外観上味わえるので
隠れファンが居たりするのだが。
(自分も少し憧れていたが、いかんせんワゴンだとリアが普通なのだが)

jaguarxtype.jpg
「ジャガー Xタイプ」フォード時代に作られたFFベースのジャガー。クラシカルな見た目はややパイクカー的だが悪くない。

ここにスウェーデンのボルボV60/S60シリーズも切り込んでくるだろう。
特に近年のボルボはコンサバティブなスクエア・デザインを止め
ドイツ車以上にセクシーでスポーティなデザインを上記モデルで展開
しているし動力性能も高い。そう言えばボルボ・カーズも中国の
浙江吉利(ジーリー)が実質の親会社である。

この記事をしたためている内に何と、ボルボからもほぼ全車種に
クリーンディーゼルとダウンサイジングを施したモデルを発表した。
デンソーやアイシンAWなど日本の技術もふんだんに含まれるボルボの
最新スカンジナビアン・ディーゼルにも俄然注目は集まるだろう。

そして小型車の印象が近年強いイタリアからもアルファロメオが久々に
"ジュリア"のネーミングを復活させ、FRスポーツ・セダンを発表
したばかりである。逆にと言うのが適切か分からないが
アルファロメオの所属するフィアットグループはフェラーリや
ランチアを含むイタリアの主要車種を束ねる大企業だし、今やアメリカの
クライスラーすら実質の傘下に含める一大自動車企業の一つである。

他にはVWパサート、プジョー508やシトロエンC5なども含まれるが
これらメーカーだとこの辺りがセダン、ワゴンの最大サイズのモデルとなり
エンジンだけでなく車格のダウンサイジング化も進んでいる昨今、特に
ヨーロッパもイギリスのような小さい島国や国単位では決して大きな国土
ではない所も多いので、この辺りが落ち着きどころなのかも。

現代のDセグメントは基本的に日本と欧州においてだと
繰り返しだが"プレミアム・セグメントのベースライン"と
言って良いだろう。

御三家だけでなく、パサートだって贅沢な装備は付いてくるし
シトロエンなんて今やC5が最大サイズで、既に唯一の
ハイドロ・サスペンションを搭載した生き残りになってしまった。
間もなく終売してしまうようだが。。

タイプも様々で、典型的にはFR(フロントエンジン・リアドライブ)が
主流だったが今ではFF車種も多いし、エンジンも縦置き、横置き様々で
形もセダン、ワゴンだけでなく、マルチパーパス(ミニバン、トールワゴン系)
やSUVも含まれる。(SUVやミニバンは別であるという考えもある)

排気量も中心は2000ccだろう。過去には2500ccも3000ccも多く有ったが
それらはダウンサイジング化してるのは前述の通りで、今では一部の上位
モデルに限られ始めている。逆に1.6Lやそれ以下のエンジンでも十分に動く
時代になったので燃費やエコロジー対策も含めて小排気量化が進んでいる。

勿論クリーンディーゼルも多くの車種で搭載モデルが存在し、むしろ
欧州ではディーゼルがメインなくらいである。日本の販売グレードだと
BMW位しか積極的に見えないかもしれないが、特に欧州ではその傾向が顕著で
各社のUKサイトなんかを見ると、ディーゼルしか設定のない車種なんてのも
存在するくらいで、例えばVWパサート・ヴァリアント(UKではPassat Estate)
なんて全グレードでディーゼル・モデルしか存在しない。つまり日本で
売っているガソリン・モデルは無いのである。

これは燃費の良さ、CO2排出量の少なさ、トルクの大きさに起因する高速巡航の
良さが大きいだろう。既に振動や特有のディーゼル音のネガよりも享受出来る
メリットのほうが遥かに大きいのが実情だろうと思う。
最も日本人ほどそういう事に神経質ではないお国柄も有りそうだが。

日本だと代表格はレクサスのISシリーズだろう。FRとスポーティなセダンと
いうコンセプトはやはりBMW3シリーズを意識してると思われる。
レクサスHSやトヨタのSAI辺りもFFだがサイズとしてはこのセグメントだ。
後はニッサン・スカイライン。特に新型はISやBMW3シリーズ
ベンツCクラスに近い路線だ。

トヨタのマークXもISのトヨタ版的なスペックだが、佐藤浩市のCMにも
見受けられる通り、如何にも40代以上で中間管理職上位以上を意識した
プロモーションが展開される辺り中年向けラグジュアリー・セダンって
位置づけなんだろうと思う。
(SAIの真木よう子のCMも大人のアヴァンチュールを想起させるような演出だったような)

マツダ・アテンザは3シリーズとクリーン・ディーゼル・セダン
(ワゴン)としてよく比較対象にされるモデルだ。実際デザインも
スペックも欧州的。実際の価格帯としてはフォード・モンデオ
(日本では現在導入されてない)やトヨタ・アベンシス
(日本ではワゴンのみひっそり売られている)
そしてVWパサートあたりが競合か。

こんな風に値段もタイプもかなりバラエティ豊かなのが
Dセグメントでは有る。

長くなったので続く。
posted by cafebleu at 01:22| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | Automobile | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。