2012年09月29日

高野寛 Live at VACANT Harajuku 2012.9.27

"肩肘を張らないことにこだわり続ける姿勢と裏原宿から聴こえた90年代の残り香"

さて、秋も少しづつ深まり始める中、そんな季節にふさわしいと
思えるような温かみの有るライブを行った高野寛さんの話を。

実は8月24日に吉祥寺キチムで行われた"高野寛+伊藤大助"のライブにも
行ったのでその時にレビューを書こうと思ったのだが、残業が思うよりも
長引いた上、当日飯田橋に居たのでそこから急いで吉祥寺まで向かったものの
残念ながら開演から1時間近く遅れてしまい、余り全貌までは捉えられなかった
のでそれで一回分を埋めるほどの情報を得れなかった。

その後、今度は彼のソロ名義でのライブが原宿VACANTにて有るのを知ったので
今回は地理的にも近いし、オフィスでの仕事だったので何とかデスクワークを
調整して平日の18:30という中々ストイックな開演時間にも間に合わせることが出来た。

僕はVACANTに行ったのは初めてだったのだが、相方によるとここは元々DEPTだった
所のようで、今はライブスペース+ギャラリーと言ったような、如何にも裏原宿や
表参道らしいアート・スペースといった趣の様子。

ミュージシャンのライブも時折開催されているものの、メインストリームからは
一歩も二歩も距離を置いたような、そんな一筋縄では行かない人たちが出演している。

高野寛さんの近年のスタンスというのは基本的にライブハウスやホールでライブを
演ると言うよりは、こういったギャラリーで有るとか、ライブも出来る洒落たカフェなど
が多くて、それは8月のキチムでもそうだったし、その間にゲストとして出演した時も
渋谷の伝説的ロック喫茶、『BYG』でのライブだったりした。

僕は彼を「虹の都へ」で知った典型的な世代なので、そういう意味では彼がアリーナで
やっていた時代も知っている訳だし、高橋幸宏に見出され、トッド・ラングレンに2枚も
プロデュースされているという経歴からも、ポップ・ミュージシャンとしては明らかに
エリートな彼とこんなに近くで気軽にふれあえるものなのかと
未だ良い意味で腑に落ちないで居る。

さておき、ライブはふらっとカリンバを手にしながら登場し95年の名作『Sorrow And Smile』
収録の「On And On」からスタートした。うーん、サブカルである。

その後アコギを持ち最近亡くなったバート・バカラックの作詞パートナー、ハル・デイビッド
の追悼として、「Me, Japanese Boy」を披露した。英語の曲が苦手なので余り歌わないと
言っていたが、十分に美しい発音だし、バカラックの難しいコードをさらりとギター一本で
弾き語ってしまう辺りに彼の器用さを感じるのである。ハーパーズ・ビザールで有名な
曲なのでこれもサブカル的である。

その後途中からパーカッションとして近年のアルバムでドラムを叩いている宮川剛さんも
加わり、引き続きカバー多めで進行していく。

途中カエターノ・ヴェローゾのカバーなんかも演る辺りはやっぱり90年代的サブカルチャー
を強く感じたし、僕もそんな時代を過ごしてきた人間なので何となく時が少し戻ったような
そんな感じを受けながら暖かい感じでライブは進行していった。

オリジナルでは現時点の新作『カメレオン・ポップ』から「君住む街へ」やFacebookでも
公開していた残暑の気怠さを表現したような新曲「ここでサヨナラまた明日」などの他に
過去の代表曲とも言える「Blue Period」「虹の都へ」やデビュー曲
「See You Again」なども演奏された。勿論?裏原宿サブカルチャーが良く似合う
アンニュイな「相変わらずさ」も演奏された。

「Blue Period」はオリジナルだとかなりキーボード主体の音作りなのだけど、
アコースティックにコードを鳴らすとまた響きも異なってくるし、やっぱり彼は
シンガー・ソング・ライターなんだなと思ったりもした。

途中ヴァイオリン奏者の方も加わって名曲「夢の中で会えるでしょう」を披露した辺りで
観客の雰囲気はピークに達した感じだったかな。やっぱりこの曲は凄い曲。
何か100人に満たない会場でサラッと本人に披露されるにはある意味名曲すぎるような
感じがするのである。ここではヴァイオリンでリフのメロディを奏でていたのも良かった。

本編のラストはこちらも評価の高い『確かな光』収録の「美しい星」のアコースティックな
バージョンで終わった。その後アンコールではタイトル曲「確かな光」も披露された。
「美しい星」は8月の"高野寛+伊藤大助"でも演奏されていたのでやっぱりこの曲は
特別な曲なんだなと改めて思ったり。

アンコールでは定番「ベステン・ダンク」等を披露しつつオーラスにはファンに
「ガット・ギターも弾いてよ」と促されて
(当日ガット・ギターも置いてあったがここまで使っていなかった)
初期の名曲「夜の海を走って月を見た」を弾き語りで披露して終演。

他にもモンキーズ(むしろ忌野清志郎が率いたタイマーズかな)やボブ・ディランの
カバーも有ったけど、全体ではそんな感じの進行だったかなと。

個人的な感想だけど、カバーも勿論ミュージシャンの人となりと言うかルーツや
興味を知る上でとても大切だと思うのだけど、高野寛さん程活動歴も長いと
良質なオリジナルでありながらも中々陽の目を見なくなっている曲も少なくないので
もっとオリジナル中心でも良いかななんて思ってしまう。

「やがてふる」「友達について」「一喜一憂」「Our Voice」「Time and Again」
「迎えに行くよ」「君といたいな」「フルーツみたいな月の夜に」「Everlasting Blue」

ぱっと思いつくだけでシングルや有名曲でなくてもこれだけ素敵な曲が出てくる訳だし。

威光を発するようなスタイルではないし、先述の通り近年は会場もライブハウス的な
所よりはカフェやギャラリーのようなところでの演奏が多いので、特別な照明が有るとか
ステージが高いと言う訳ではなく、そのまま同じ目線で観るような感じだった。

事実ドラムセットなんかもなくて、近年彼の作品でドラムを叩いている宮川剛さんの
器用なパンデイロやキックシンバルとかがかなりのアクセントになっていたけど
基本は愛用のハミングバードを抱えたアコースティック形式だから距離も近かった。
(最も席の置き方は最悪で、高野寛さんが立ち上がったらPAスピーカーの死角になり
全く見えなかったのはいくら同性でヴィジュアルだけ追いかけている訳ではない僕でも
へこんだけど。こういう所はやっぱり市民ホールとかのほうが見易いなとか思ったり。。)

それでもやっぱり彼を間近に感じられるのは、90年代から彼を知っているものとしては
何だかおいしいような、有難いような気持ちにさせてくれる。

この日はサイン会も有ったので実際アルバムにサインもしてくれて、握手もしてくれた。
僕は普段は相手を遮ってでも口から屁理屈が出るタイプ、特に音楽の時は。
でもね、この握手の時に一杯質問してみたいことが有ったのだけど、本人を前したら
頭真っ白というか、中学生の時『CUE』で彼を知ってからの時間がフラッシュバックして
「20年ファンです」って言うのが精一杯だったわ。ファンってそういうもんなんだね。

でも若いし細いし、男が見ても良い歳の重ね方してるよ、高野さんは。

比較的リアルタイムで追っていた時期や、少し離れた時期も有るのだけど
せっかくの縁でまたここ2ヶ月で2度も観る機会に恵まれたので、これからも
ちょくちょく顔を出させてもらおうかなと思う。

またライブハウスでバンドなんかもやってほしいな。彼のエレキギターも
素晴らしいのだから。

あ、エレキといえばエレクトリックシタールの名手でも有るね。
これもいつか見てみたいな。


「僕が言えることすべて」 浜崎貴司・高野寛

フライングキッズの楽曲もさる事ながら、高野寛さんのシタールとコーラスも名演。


posted by cafebleu at 02:37| 東京 ☁ | TrackBack(0) | 高野寛 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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