2015年12月30日

日々の自動車論 〜Dセグメント編〜 その4

・マツダ・アテンザ(ワゴン・セダン)[日本]
〜広島が誇る欧州基準の上質Dセグワゴン/セダン〜

・価格帯 276〜397万(ワゴン)
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このシリーズも独断と偏見によるものなので、基本外車中心で
進めているが(Dセグのワゴン自体が日本には少ない)、ここで
日本車が登場する。勿論独自の道を行くマツダ車で。

独自のラインアップと日本の乗用車では珍しいディーゼル推しを貫き
誤解を恐れずに言えば「日本製の欧州車」を作っているのがマツダだろう。

車格もミニバンなどが無いわけではないが(先ほどマツダにおけるミニバンの
撤退が発表されたので今後は無くなるだろうが)、近年は特に欧州の対向車と
言えるような車格とラインアップに力を入れている。例えばこのアテンザは
サイズとワゴンやセダンを準備して"3シリーズ"や"ボルボ"辺りを意識してるし
アクセラは"ゴルフ"と、デミオは"ポロ"と主戦場で戦う事を前提としている。

デザインも"デカくて悪そうならOK"みたいなグリルや箱型で広々感重視の
ミニバンと一線を画したキャラクターラインや曲線を多用した優美なものが
多く、そこにはスペースだけはない"美しい自動車"に対する拘りも感じる。
それは最近リリースされた「ロードスター」でも改めて思わせる。

それでもマツダ独自を強く感じるのはやっぱりパワートレイン。
2012年位からSUVのCX-5に搭載して始まった国産の"クリーンディーゼル"
路線は、当時ドイツ車のBMW3シリーズ、X3、X5、若しくはメルセデスの
Eクラスなど比較的大型のセグメントに搭載されて始まったが
(ディーゼルはプレミアムなものというブランド戦略も有っただろうが)
いち早くCセグのアクセラに、そして遂にはモデルチェンジしたBセグ車の
デミオまでディーゼルを搭載してみせた。

また、これらのモデルの中でディーゼルは上位グレードやスポーツグレード
という扱いで、この路線がドイツ車の展開とシンクロしてディーゼルは決して
燃費や燃料費のための妥協グレードというイメージを払拭している現状に
一役買っている。

そんな訳でアテンザだが、サイズとしてはDセグでも大きめである。全長は
4.8mを少し超え、全幅は1.84m。これらはアウディA4やBMW3シリーズを超える。
強いて近い値を探すと、パサートが全長4.78m、全幅が1.83mなので近しいか。
FF横置きがベースというのも一緒であるので車内サイズも近いと思われる。

アテンザはモデルチェンジのたびにサイズが大きくなっていて、その辺りは
結構日本車としてデカくなりすぎと批判も受けているが、車格も欧州基準と
した上で、スペースや価格でも優位点を打ち出していかなくてはならないので
その辺りはグローバルカーと言う視点では致し方ないのか。

但し、そのデザインは先述の通り優美で秀逸である。特にマツダも国産車には
珍しく"デザイン言語"というコンセプトを持っており、全ての車種で共通の
デザインを感じるが、特に伸びやかさが似合うデザインだと思うのでアテンザが
最も美しいデザインだと思える。

エンジンは2L、2.5Lのガソリン自然吸気と2.2Lのディーゼル・ターボの三種を
用意するが、スペック、価格とも最も上位に位置するのはディーゼルグレードの
"XD"シリーズ。175ps/42.8kgmというディーゼルらしい高トルクに加えて
JC08モードでも19.6km/Lという優秀な値を叩き出すのは他のディーゼルモデルと
同様。特にマツダのそれは若干排気量も大きめ(他社のディーゼルは2Lが多い)
なので、トルクに関しては4Lガソリン車並のビッグトルクを誇る。

値段帯も200万後半から400万弱なので、パサートとはガチンコ、ボルボよりは
リーズナブルという国産ならではの利点も持ち合わせている。

外車に比べて値段の有利さに加えて、既に国産車でステーションワゴンが他に
ぱっと思いついくのがスバル・レヴォーグくらいなので、国産でしっかりとした
ステーションワゴンが欲しいというニーズにはぴったり当てはまると思う。

マツダは国内でも決して大きなメーカーではないが、クリーンディーゼルと
欧州車に勝るとも劣らない美しいデザインに磨きをかけて世界でも十分
勝負できる"良い車"を作っている、それを実感できる一台と言って良いだろう。

サイズの大きさが多少懸念されているが、1サイズ下のアクセラに載る
ディーゼルも基本全く同じものである。後は恐らく今年中には発表される
ミニバン、プレマシーの新モデルにもこのエンジンは搭載されるのではないだろうか。
その辺りは日本のユーザにとっては待ち遠しい話だろう。
ここでも車格的に近いBMWアクティブ/グラン・ツアラーと勝負となるか。



・ジャガー XE(セダン)[イギリス]
〜英国伝統のプレミアム・カーはインドの資本を纏って一気にモダン路線へ〜

・価格帯 477〜769万(4ドアセダン)
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ここで非ワゴン車種登場である。持ち出してきた理由としては好みもあるが
やはりジャガーもXEの登場で再び主戦場の一つであるDセグメントで勝負に
出ていると感じたこと、そして、インドの資本を得て数年、フォードからの
売却当時はあの英国の名車の今後はどうなってしまうのだろうと不安に
なったが、同じくタタ・モーターズに買収されたランドローバーと共に
ここ数年で一気にプレミアム・カーとしてイメージを復活、いや昔以上の
ブランド感とモダンさで一気に御三家と本気の勝負に出ると見たので取り上げた。

元々ジャガーは中型車以上やスポーツカーが基本で、例えば自分のような世代だと
ナローでクラシカルで優美なデザインにブリティッシュ・グリーンが印象的な
"XJ"や"XJ-S"が印象深い。特にXJ-Sはデザインも大好きだった。
子供の頃から憧れの車の一つで、いつか程度の良い中古を手に入れたいと
夢見ていたのは結構最近までのことである。

さておき、XEだが、元を辿ればジャガーブランドでのDセグメントへの参入は
2000年代前半、フォード傘下の頃に発売されていた"Xタイプ"以来の事である。
そのXタイプはジャガー初のミドルセグメントへの参入や、初めてとなる
ステーションワゴンをラインナップに加えたことで話題になったが、基本的に
フォード・モンデオをベースとするFFプラットフォームで(当初は4WDだったが)
それまでFRを貫いてきたジャガーの伝統を覆すものであったので賛否が起こった。

今やBMWですら2シリーズ(アクティブ/グラン・ツアラー)やX1でもミニと
共通のFFプラットフォームを使う時代だから、過敏な反応も有ったような気が
するが、それらとの違いはそのFFプラットフォームが如何にもモンデオの流用で
パワートレイン等にジャガー独自の魅力を盛り込んでいたとは言い難く
更に電気系統などの故障も多かったようで
「クラシックジャガー風のパイクカー」とまで言われてしまっていた。

実際にアメ車よりも欧州車が受ける地域向けに、プラットフォームを
流用し、ジャガーのボディを載せた戦略的なモデルだったことは否めない。
結局セールス的にもXタイプは同車格のBMW3シリーズやメルセデスCクラス
アウディA4の後塵を拝するどころか、全く歯がたたない結果に終わり
ひっそりと2008年に終売している。

この失敗の背景はFF云々以前に激戦区とも言えるDセグのプレミアム・カー
競争に参入するにも関わらず、安易な上っ面の載せ替えだけで対応しようと
したフォードとジャガー自身に問題が有ったと思う。

個人的にはクラシカルなデザインは時を経ても一定の人気が有り
私自身もそう言った路線は嫌いではない。例えば、パイクカーらしい
パイクカーとしては、マーチをベースとした光岡のビュート辺りは日本でも
有名だろうが(良く考えたらビュートはオールド・ジャガーがモチーフだ)
考えようによってVWのザ・ビートルやミニ、そしてフィアット500だって
クラシカルな意匠をモチーフにしていると言える。但し、その中身は
パイクカーと言うには余りに充実している。

例えばミニは先代まで独自プラットフォームで、エンジンもBMWとは
異なる路線で開発されていた。それはBMWが決してB,Cセグメントの開発
ナレッジが高いメーカーではなかったので、プジョーなどと組むことにより
コンパクトサイズのエンジンやFFプラットフォームの開発を学んでいたとも
言える。実際それらを逆に持ち帰ったのが現行の1、2シリーズとも言える
わけだ。また、ミニはBセグでは最もスポーティな車種の一つとして性能も
単なるクラシカル路線の回顧では無い高いレベルを保ち、車好きにも
人気を博しているのは今の大ヒットが証明している。

つまり、C,Dセグメントのような激戦区に参入するにもかかわらず、安易な
ボディの載せ替えだけで敵うわけが無いのである。特にDセグのプレミアム・カーは
価格もそれなりに高価なので、性能(パワーだけでなく環境性能も含め)や質感は
重要なファクターであり、いくらジャガーの伝統的なデザインを持ち込んでも
基本が出来てなければ、切磋琢磨し続けているCクラスや3シリーズになんて
太刀打ちできるわけが無いと、イギリス贔屓の自分でもそう思う。

と、これだけ書いておきながら、Xタイプ、嫌いではなかった。程よいサイズ感
ステーションワゴンのような気の利いたグレード展開、英国車らしい内装
(モンデオベースでフォードが売ってる車に対して英国らしいというのも何だが)
一時期中古で程度が良いワゴンが欲しいなと思っていた。しかしながら
ワゴンのリアビューがクラシカルなフロントに比べて余りに凡庸で、本当に
高価なパイクカーという雰囲気が拭えず購入には至らなかった。やっぱり
3シリーズやA4ってコスト比で考えたら偉大なのである。

この事がジャガー経営陣のトラウマになったようだし、この直後
リーマン・ショックなども重なりジャガーはその経営権をフォードから
インドのタタ・モーターズに譲渡することになる。

最初これを聞いた時、あの英国の名車はどうなってしまうんだろうとかなり
不安になった記憶がある。ただでなくとも英国の自動車産業は90年代から
斜陽の一途を辿り、ローバー・グループはBMWに(その後更に売却)
ジャガー・ランドローバーはその当時からフォード傘下に、そして
英国自動車史上最もエポックメイキングだったミニは自動車史だけでなく
英国にとって最大のライバルとも言えたドイツのBMWの手に渡ってしまっていた。

そんな中でジャガーがタタ・モーターズに買収されたと聞いた時、もう
ジャガーらしいジャガーは無くなってしまうだろうなと思っていた。
実際クオリティという面でも大丈夫なのだろうかという思いもあったし
もうジャガーはお終いだとすら思っていた。

その杞憂はある意味で的中し、ある意味では間違いだったといえるだろう。
まずデザインだが、タタ傘下となり最初に登場したXFやXJを見た時
「これはジャガーではない」と率直に思ったクチである。
ボンネットの膨らみと合わせるように配置された丸目4灯のライトに
クラシカルなグリルは何処にも無くなり、ノーズマスコットなんて
乗るところすら見当たらない曲線的なフロントノーズ、現代的だけど
これの何処がジャガーなんだとすら思ってしばらくジャガー自体への
興味を失っていた。

だが、XF、XJとデザイン言語を変えることなく、またXJ辺りからそのデザインは
よりモダンに洗練されてその流れの中でXEも登場した。つまり経営陣は
強い意志でこの新しいデザイン言語をジャガーのスタイルに採用したという
訳だ。

勿論XEも従来有ったジャガーの姿を望むべきも無く、モダンで流線的で
ワイドアンドローなスタイルが印象に残るのだが、単に古いジャガーの様式に
囚われなければ近年のプレミアムカーとしては上品で控えめな部類に入ると
言えるだろう。

だいぶ時間が経ち、自分のような頭の硬いユーザーも見慣れてきたのかもしれない
と思うようになったのが最近のこと。冷静に見てみると、近年のジャガーらしい
曲線的なラインを保ちつつ、特にXEではアウディとBMWのデザインとも共通点を
見いだせるような気もする。また、先述のようにギラギラ感の強いメルセデスや
レクサスなどと比べればやっぱり優雅なスタイリングをしていると思う。
それが主張が足りないと言う人も居るだろうけど、僕はどちらかと言うと
ジャガー云々を抜きにしたらこちらの方が好みである。

そんな訳でデザインに関しては未だに賛否というか自分も肯定してるんだか
否定してるんだか良く分からない事になってしまうが、間違いだと言えるのは
メカニズムである。プラットフォームの確かさは既に日本でも同傘下の
ランドローバー・シリーズが既に証明してるだろう。心配された質感も
杞憂に過ぎず、インドという国はITにせよ自動車にせよ熱心に吸収して
学んでいるし、自国の常識にとらわれずしたたかにプレミアム・ラインにも
アジャストできている。それはイヴォークの大ヒットも然りである。

まだ日本モデルではフォード時代に開発されたエンジンが載っているが
(これ自体も悪いエンジンではないがショートストロークかつ燃費性能などは平均的)
間もなく"インジニウム・エンジン"と呼ばれるタタ体制以降新開発された
ディーゼル・モデルも登場する。
(この文をしたためているうち、2016年2月にようやく登場した)
このインジニウムは1シリンダー辺り500ccを基本とし、ロングストローク化
されて過給器をコントロールしながらパワーを調整して燃費も得ると言う
現時代的なパワーユニットで、しっかり欧州基準にアジャストしてきている。
ガソリン・モデルも順次このインジニウムに置き換え予定である。

このディーゼルはXEとジャガー初のSUV(ジャガーからSUVが出る日が来るなんて!)
で有るF-PACEのメインエンジンとして採用されていく。スペックも
180PS/43.8kgmと、BMWやボルボのエンジンに引けをとらないし、トルクでは
排気量の多いマツダのディーゼルすら上回る高トルクである。
これは最初からSUVなどの重量が嵩むモデルへの搭載や巡航を第一に意識して
開発してきた事を物語る。XEのディーゼル・モデルの燃費性能もJC08モードで
17.1km/LとBMWやボルボには及ばないまでもDセグメントとしては立派な数値である。

近くにジャガー・ランドローバーも有るので試乗したらレポートしようと思う。

現行の4ドア・セダンもクーペ・ライクで嫌いではないが、もし、今後XEを
本気で3、4シリーズやCクラス、A4、A5と戦わせるのならステーション・ワゴンや
コンバーチブル(カブリオレ)などバリエーションもぜひ期待したい。
レンジローバー・イヴォークなんか遂にSUV初?の自動開閉ソフトトップを
搭載したコンバーチブルが出たのだからXEでも有り得る話だろう。
(そもそも4WD/RVこそ幌付きのオープンモデルが設定されてるのが定番だったのだが)

今後もジャガー・ランドローバーの展開には期待している。
posted by cafebleu at 22:22| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | Automobile | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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