2008年10月25日

雑感 その2

ライブが終わって、風邪で倒れて、それで今週も終わったけど。

会社に戻ったら更にイベントが待ってた。
しかもこの仕事を何年もしてる中で前例が無いくらい酷いイベントが。

あんまり書き様も無いけど、社内のエンジニアの中に
社内のリソースを意図的に改ざんする狂ったのが居るって事で。
まぁこういうのって無くもない話なんだけど、今回のは酷い。
用意周到、計画を練って、なるべく足跡をつけないようにって。

もう相手も管理者であり、エンジニアだからいたちごっこなんだよ。
同じ空間の中に平然と働いてる犯罪者が居るのかと思うと
心が折れる。

そんな話はいいけど、何か最近は、一つ書くほどではないが、
ふと色々思う。


-----この前のライブの曲順とか選曲

実は直前まで固まらず色々苦労したし、正直自分の歌った曲は
「アイム・オンリー〜」以外あんまり大好きとは言えない曲だったので
最初はもっとあれやこれや入れれば良かったとか思ったのだけど、
後にして思うと、実は今回が今まで一番会心の選曲だったと思う。
ヲタレンらしいけど、スノップ過ぎず、でも当日は誰とも被らずみたいな。

やっぱり選曲で起承転結と言うか、流れを作るには5曲とかよりも
8曲くらいないと、そういう風にはならないんだよなぁって。

今までは、色々てんこ盛りにしたいけど、曲数が足りないから
それを表現しきれないって言うか。いつだかなんて
「ウォーター・フォールズ」の完全にオリジナルのバラード雰囲気を
ひっくり返したパワーポップでやった後にもう「サージェント〜ア・デイ・イン・ザ・ライフ」
のクライマックスに行っちゃうんだから、何か無理有るんだよね。
曲数を増やすことによって出来ることってあるなと実感。

僕の考え方としては、出来るだけ、ジョン曲よりもポール曲で
スタートしたいって言うのが基本にある。ジョンの曲でスタートする
場合は、意表をついたテンポのもので始めたい。
だから「クライ・ベイビー・クライ」を多用していた。

「ハロー・グッバイ」はポールがこの前のツアーで最初にやってたし、
まぁおあつらえ向きかなぁと。でもビートルバンドはあんましこれを
1曲目に持ってこないから。

「ウェイト」2曲目は会心かな。マイナーだけどテンポ速いから
意外と畳み掛けられるなぁと思う。

「アナザー・ガール」はポールヲタにはたまらなくて、そうでもないと
何だかなって曲だろうけど、僕は大好きなので。
すごーく単調なんだけど、楽しいよ。最もリーダーがどう思ってるか。

「シット・ライト・ダウン」は僕がしくじったけど、選曲的には定番化しそう。
コリンゴのドラムが映えるなと。とってもパンキッシュに仕上がる。
この辺はMakiMakiさんのアイデアで、最初は正直こんな典型的かつ
本人達も愛着持ってるとは思えないマージービートB級バンド向けの
非オリジナルのカバー曲をやるのって意義はあるのかなって思ったけど、
これは楽しいね。30代前半くらいまでに雑でも勢い良くやってるのが
雰囲気出るんじゃないかな。パンクですよ、パンク。

「アイム・オンリー・スリーピング」はああいう風に一度はやりたかった。
まぁこれはヲタレンの伝統的な飛び道具系で、ちょっと完成度に
不満があるので、もう一度と言わず、何度もやって高めていきたいな。

今回は色々選曲で自分的にだけど収穫があったなと。
次はポールの曲をもう少し真ん中っぽいのも入れたほうがいいかな。
『ヘルプ』のヘボ2曲(僕は好きだが)を同時に入れたのは少し偏り。


-----次回以降にやりたいとか

「パーティはそのままに」のモータウン・アレンジは本当お気に入りなんで
いつかまたやりたいんだけど、今のヲタレンじゃもう難しいのかな。。。
カントリーもモータウン・ビートも2拍子なんだけど、一気に洗練されるのが
面白いんだよね。

結構泥臭いけど「アイム・ア・ルーザー」ってジョン役には楽しいんじゃない?
あ、ハーモニカか。もう10年くらいブルースハープ吹いてないなぁ。
あと、固定器具付けてで吹くのは苦手だったな。皆パリのライブが好き。

「エブリー・リトル・シング」も良いね。『フォー・セール』は枯れてていい。

「ラブリー・リタ」は上質な”ブリット・ポップ”なので、次回は有力候補。
リーダーがピアノ弾いて歌って、ベースは僕だろうか。コリンゴにもぴったり。

「フィクシング・ア・ホール」はMakiMakiさんが”ルーシー(ジョージのLes-Paul)”
買ったら弾きたいとか昔言ってたけど、もうこの前MakiMakiさんが弾いてたレスポール
がルーシーなので、気持ちよくソロでも弾いてもらいたいな。

後、そろそろコリンゴタイムも準備しないとかな。
彼女がブログ書くとアクセスも一気に上がるし、うちの紅一点だし。
何かリンゴの曲が似合うとも思えないし、「アイ・ウィル」とか大好きだから、
ちょっとビートル的ではなく、違った視点で。ギター持って歌いたいとか
言ってたから、僕がドラム叩きますか。

どちらにせよ、今の考えが次のライブまで持つとは思わないけど。
posted by cafebleu at 04:25| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | Days | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月21日

雑感(ビーヲタ的)

風邪から気管支炎になってしまい、この数日寝たきりだった。

寝たきりと言うか、咳が止まらないときに横になると余計に咳が出るので
普通に寝ることが出来ない。だから畳んである布団に横たわって
座り寝くらいの体制でいないと意識を失うことも出来ないくらい酷かった。

その最中に休日出勤があって、それだけこなした後はひたすらに倒れてる感じ。

とにかく呼吸するのも苦しくて、そう感じると人間と言うのは凄く焦る様に
出来ているのか、必死に呼吸しようとしてしまう。結果咳を繰り返して非常に疲労する。

強い風邪薬を飲むと、気管支の痛みも多少和らぐと言うのと、
眠気を催すので、無理やりそれを飲み続けてようやっと月曜は一日寝込んでいた。
この間も会社からは休むと言ったのにも関わらず電話がひっきりなしになっていた。
お願いだから僕が居ないときくらいは自分達で解決してください。

で、ようやっと起きていられる位に回復してきたので、横になるとしんどいから
これを書いてる感じ。咳が通常よりかなり出るのでうつすといけないから
火曜までは寝込んでいる感じだった。

ヲタレンライブ以後も色々とあったので、その辺の日々を切り取ってみる。


---上野Doobie'sのビートルズイベントにてぷりぱろを観る

風邪の症状が進んでいたので悩んだが、聞いた事の無いハコでの
ビーヲタ・イベントだったのと、何せぷりぱろさんのライブだったので
(9月のキャバーンのイベントに行きたかったが合わなかった)
後半の方だけだけど顔を出した。

PAやらアンプやらドラムやらの設備に恵まれてると言えない環境の
ようだったけど、ぷりぱろさんが一番まとまってたな、やっぱり。
本人達は謙遜するけど、9年のグルーヴって一日(いちじつ)では
出来ない貴重なもので、それは伊達じゃないんだよね。

単にギターが上手いとか、歌が上手いってのは、世の中色々
突き詰めてる人が居るわけで、そういう人たちはきっとホントの
ビートルズの演奏力だって微塵にもかけてないわけだろうから。
敢えてロックのジャンルならそういう人たちはメタルとかでしょう。

で、そんなスキルはビートルズには大事なことではなくて、基礎さえ
各々が押えてるなら、そこから先バンドはグルーヴなんだなと。

大歓声と、超満員の会場内でも飄々とこなす姿は素敵です。
来年10周年らしいので、是非に頑張ってこのまま突き進んで。
もうビートルズがEMIからデビューして解散した8年を
超えちゃってるんだね、凄い。


---ビーヲタの輪の成せる業か、伊豆で出会った仲間達と再会

伊豆に『ビートルズ博物図館』という、別にゆかりがあるわけじゃないけど、
ビーヲタ話や即興セッションに華を咲かせながら貴重なコレクション
なども展示されてるので楽しみましょ的な施設がある。泊まりも可。

そこで知り合った仲間と今回のイベントで偶然再会、ぷりぱろまっきーさんの
前に既に席を陣取って居たので、僕もそこに座らせてもらう。

良かった・・・体調しんどくて立ってられないと思っていたので。

さて、席に座ってみると、いつものお仲間、ジャンポールさんとSantaさんは
ヲタレンのイベント等にも来てくれて何度か会っているのですんなりと言う
感じだけど、あれ?何か見たことある女性が??
あ、京都のビートルズ・カバー・バンド、P.S I Love Youの人じゃないですか。
2006年に僕等が博物図館に赴いた時、偶然ライブイベントがあったのだが、
その時ライブを行ったバンドが上記のP.Sさん。強行スケジュールの中
力強いステージを披露してくれ、その後朝までのビーヲタ・セッションに
雪崩れ込んだのは今でも良き思い出で。

気がつけばもう2年か・・・その後皆さんも博物図館には行かれてないとかで、
しかも、博物図館も大きく様変わりしていて、既に館長の岡本さんはいないとか。。
確か普段の生活拠点となっていたと思うのでびっくりしたが、まぁそこらは僕が余り
詮索するような事でも無いので。社長でナイスガイだった佐藤さんは居るのかな?
ヲタレンブログにも書き込みしてくれたな・・・。何か時間がどんどん経ってるんだなぁ。

ヲタレンも六本木アビーやらウェルカムバックやら国立のリバプール(予定)など
それなりにビートルズゆかりの所で演奏させてもらってるけど、P.Sさんみたいに
博物図館でもいつかライブできたらと思っていたけど、色々と変わってるみたい。。


---昨年偶然観たカバーバンド、Beataさん再び

後、ぷりぱろさんのフロントマン二人(しょうこさん、まきさん)による別の
ビートル・カバー・バンド、"Ocean Child"が去年六本木キャバーンに出た時に
出演していた"Beata"さんと偶然再会。再会って言うか、こっちが勝手に
観に行って覚えていたのだけど。ドラムが女性だった事とジョン役の方が印象に
残っていたので、すぐに思い出した。いや、選曲も素敵だし、いいバンドですね。
一見余り肩肘を張ってないようで、実はかなりこだわってるバンドさんかと。

ポール役の人のリッケン4001C64Sとかは勿論のこと、ジョン役の方が
敢えてポール・スタイルであるギブソンヘッドのカジノとか持ってる辺り、
マニアックなこだわりを感じずにはいられなかったです。

Doobie'sではキーボードが無かったので、演奏してなかったけど、Beataさんも
ジョン役の人がエレピとか弾いて「ザ・ナイト・ビフォア」とかやってたような気がする。
うちらも13日のライブのラストにやりました(笑)。

バンドのWEBとか無いのかな?探してみたけど見つからず・・・。


---今後の私的ビーヲタ活動予定とか

ようやっと4人ヲタレンでライブが出来たので先ずはひと段落。
これを推進するテンション使い切って倒れたからまぁ頑張ったよ、今回も。

でも、リーダーがWelcomebackの高橋さんに「ヲタレンはもう二捻りくらいないと」
と言われたようで・・・。

そりゃあ、昔は3人で「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」もやったし、「パーティはそのままに」を
勝手にモータウンの曲みたいにしちゃった事もあるけどさ。4人で同じことは出来ないし、
MakiMakiさんは生粋のジョージなんだから、それを生かして上げるような構成に
自然になっていくのもある訳で。

今回は確かに今までのヲタレンに比べれば、かなりストレートにカバーしたし、
遂にソロ曲もやらなくなったけど、ちゃんと枠を設けることで見えたものも個人的には
あったかな。スタイルはおとなしくなっても、バンドの色ってそうは変わらないから。

でも、高橋さんに「3人で”A Day In The Life”なんて有る意味パンクだよ」みたいな
事も当時言われたので、そんな気持ちも忘れずにヲタレンは行けば良いのでは。

まだ何も決まってないけど、今後また色々イベントとかありそうな予感も。
先ずはMakiMakiさん主導?予定の国立リバプールでのイベントかな。
場所とかまだ流動的だけど、お世話になった人たちとか呼べればいいなぁ。

後はアコースティック・ビートルがやりたいな、リーダーがいいマーチン持ってるし。
アコギだと大胆に編曲しやすいんだよね、逆に。

個人的にはビートルズバンドとは別にユニットを動かす予定もあったりで。
posted by cafebleu at 04:36| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | Days | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月17日

33 1/3

良く張り詰めたものが緩むと体調を崩すと言うけど、それは本当だなと。

練習をまとめて出来なかったので、直前に付け焼刃的なスタジオを繰り返し、
疲弊度は頂点の中でライブになってしまった。

今週は仕事に戻った辺りから急に体調が悪くなり始め、それでも
最初は大した事無いと油断していたら、どんどん体調が下り坂になり、
今日は気管支炎のごとく咳込み続けて、周りに迷惑だと思って
慌ててマスクを買いに行く始末であった。

そんなに日に限ってとんでもない障害が発生して、まぁつらい一日だった。

やれライブだ仕事だとか忙殺されているうちに僕も誕生日をまた越えて
33歳まで来たのかと、風邪薬でぼーっとしながら思っていた。

もう10日以上前の話だけど。

そう言えばジョージのアルバムで今日のタイトルみたいなの無かったかな?
レコードの回転数と年齢ですか、いいセンスだね。

・・・頑張ってヲタレンのライブ報告を書いたまでは良かったけど、
本当に辛くなって来た。もう止めよう。

メンタルに疲れを感じた後は、本当に体調も悪くて。。。

と言う訳で、今日はこんなゲイの素晴しいカバーでも。


「Somebody To Love」 George Michael with Queen('92)

有名な『フレディ追悼コンサート』時における、ジョージ・マイケルの名演である。
このライブ、皆フレディへの敬意は感じつつも、そもそもがかなりキーが高い
彼の楽曲を歌いこなせないミュージシャンが続出してしまい、逆にフレディの
不在を痛感するものが多かったが、ジョージ・マイケルはまるで乗り移ったかの
ようなパフォーマンスを披露。中間のブリッジ辺りからいよいよエンジンがかかり、
最後まで圧巻の歌声を聴かせる。普段R&B寄りの楽曲が多い人なので、
ここまでフレディの歌がはまるとは思わなかった。同志なんだなと、色々。
これの他に「39」「輝ける日々」をやってる辺り、この人はクイーン好きなんだね。
この人とやれば良かったのに、どうせ再結成するなら。昔より忙しくなさそうだし。
posted by cafebleu at 03:02| 東京 ☁| Comment(1) | TrackBack(0) | Days | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月10日

"SMiLE"とサブカルチャーと淡夢の終わり 07 〜Surf's Up〜

"唯一つの救いは、この曲が公に残ったこと"

今の目で見れば、その充実した内容や、彼らなりの70年代に対する
時代感への気配りも見事にこなしたと言え、何故チャート的にこれほどまでに
失敗したのか理解に苦しむ『サンフラワー』であるが、結局いくら峠を過ぎたとは
言え、ベスト100にも上れないアルバムを作ってしまったことにより、再度の
方向転換へと進むことになった。いや、進まざるを得なかったと言えば良いか。

第一にはジャック・ライリーの広報マネージャー登用である。

当方は彼に詳しい訳ではないが、元々NBCのようなTV業界界隈の
ジャーナリストとして活動しており、彼らの特番製作がきっかけで
ビーチ・ボーイズ、特にカールに近づいていった模様である。

ジャーナリズムの観点から、ライリーは政治的にもそれなりに精通しており、
当時の世情の一つであった”ヒッピー以降”のミュージシャンが持つ
ある種の左派的雰囲気をビーチ・ボーイズにも持ち込むようアドバイスしたと
される。それは確かに彼らに欠けていた”現代性”の一つではあった。

ここでこの時代の政治的な背景とミュージシャンの作品への反映などに
話してると長くなるので余り触れないが、マーヴィン・ゲイが単なるショービズで
あった(良い意味でもある)モータウンの中で、『ホワッツ・ゴーイング・オン』と言う
ソウルにおけるエポックメイキングなアルバムを出し、世に憂いを問うたり、
エコロジカルな提言を歌に込め始めたのもこの時期であるし、それは新しいソウルの
形として70年代以降のミュージシャンに大きな影響を与えていくことになる、
そんな時期であった。ジョン・レノンも政治的活動が活発になっていた時期である。

そう言った、娯楽以外の要素を強く打ち出して現代性を獲得しようと言うのが
一つである。この時期には各種のフェスティバルなどにも参加していたようだ。

もう一つは、小出しにしつつも何処かでパンドラの箱になっていた
『スマイル』への再接近である。

すでにここまでも『フレンズ』を除く大概のアルバムで『スマイル』のマテリアルを
小出しにし続けてきたのだが、ここに来ていよいよ彼らは『スマイル』の本当の
コアであった「サーフズ・アップ」を引っ張り出そうと言う話になっていく。

ここにもジャック・ライリーの商業的戦略が絡んでいることは想像に難くないのだが、
それにしても、いよいよをもって『スマイル』で最も輝きを放っていた「サーフズ・アップ」を
公にすることで、商業的な回復も目論んでいたのではないだろうか。

これを聞いたブライアンは当初大反対したようだが、彼の意図とは裏腹に、
この企画は進んでいくことになる。

そして、それらに当時の新曲などを加えたアルバムがタイトルも正に
『サーフズ・アップ』へとなっていく訳である。



正直に言って、そこにどんな理由があろうが、「サーフズ・アップ」がきちんと録音物として
世に残ったのは、当時のブライアンの状態などを鑑みると、奇跡と言って良く、
また、本当に良かったと個人的には思っている。この曲がもし残せなかったら
それはポピュラー・ミュージック史における大きな損失になっていただろう。

それくらい、これに勝る曲を見つけるのは至難だろうと思うし、
こんなに複雑で美しい曲を他に僕は知らない。
ビートルズやジョンやポールでも作り得なかった曲だと思っている。


「Surf's Up」(Brian's Solo Demo) Brian Wilson


「Surf's Up」(B.Wilson-V.D.Parks) The Beach Boys

「サーフズ・アップ」自体はバッキング・トラックに66年当時のものを利用し、
そこにカールが信じられないほど美しいヴォーカルを録音、後半のピアノ
弾き語り部分は、これも66年当時のブライアンが歌うものをそのまま流用し、
そこに最低限のオーバーダブを加えて完成させた。

言葉では説明できない曲である。難解な部分もある。
しかし、10年以上聴き続けて来た今でも心に響き続けるものがあるし、
聴けば聴くほど素晴しい曲だと思う。それは僕がそんな世代のせいもあるだろうか。

アルバムとしての『サーフズ・アップ』は、サウンド的には前作『サンフラワー』を
継承している部分もあるが、前作のように風通しの良い楽曲はほとんど見受けられず、
どちらかと言うと、どんよりとした輪郭のはっきりしない楽曲や暗い感じを受ける。
それはジャケットにも反映されている。

歌詞は一気に社会的、思想的に傾き、その辺にライリーの影響を感じさせる。
当時のシンガー・ソング・ライター達にもあった内面を浮き出すような、そんな手法が
前に出ている。しかし、楽曲そのものが前作より全体的に弱く、アルバムとしては
『サンフラワー』には完成度で遠く及ばないと僕は考えている。
これには、再びブライアンが衰え始めていることを示唆するものもある。

そもそも「サーフズ・アップ」は66年の『スマイル』のマテリアルをそのまま使用したもの。
新曲は「ティル・アイ・ダイ」と「ア・デイ・イン・ザ・ライフ・オブ・ザ・トゥリー」で、どちらも
深い楽曲であるが、この2曲がブライアンのメンタルがいよいよ限界に来ていることを
暗示、いや明示しているものなので、聴いていると切ない気持ちになってしまう。

「ア・デイ・イン・ザ・ライフ・オブ・ザ・トゥリー」は、何故かジャック・ライリーがヴォーカルを
取っているが、この辺りがブライアンのセンスの良さだろう。
本来歌手では無い彼の朴訥とした歌声が、逆にこの曲の良さを際立たせている。
良く言われているが、この曲が晩年のブライアンのヴォーカルによる世界観と
被る部分があり、その辺も含めて興味深い。後半に僅かだがヴァン・ダイク・パークスの
ヴォーカルも登場する。派手な曲ではないが個人的には名曲だと思う。
聴いていると、自然と意識を失ってしまいそうな、そんな幻想的な曲である。

「ティル・アイ・ダイ」はブライアンの当時における精神状態そのものを表した有名曲だろう。
タイトルからしてあからさまであるし、その歌詞は既に当時の鬱状態そのものにも
疲れ果ててしまったのではないかと思わせる節がある。それでも抜け出せないのだが。

この曲はブライアンがブライアンらしい歌声で歌った最期を捉えた楽曲としても重要で、
この後、アルコールやドラック漬けが更に進み、いよいよこの天使のファルセットを
失ってしまう直前の歌声でもあるので、その点でも重要作だろう。
この後のブライアン復帰作で、余りの歌声の変化に、ファンは愕然させられたのが事実だ。

淡々としたリズムボックス、不安定さを煽るようなヴィブラフォンの音色、重層的なコーラス。
そのどれもがシンプルなコードながらも見事な完成度を見せる。
自らが堕ちて行く様子すらこれ程美しく表現出来てしまうのが、彼の類まれなる才能でもあり、
そしてそれこそが悲劇でもあるのだが。


「'Til I Die」(Brian Wilson) The Beach Boys
『エンドレス・ハーモニー』に収録されたオリジナルとは異なる長いヴィブラフォンのイントロが
導入されている別ヴァージョン。絶望的ながらも美しく、耽美的な長めのイントロを切り裂くように
始まるコーラスが何度聴いても素晴しい。


「僕が死ぬまでこんな状態だ」と絶望するかのような内容の曲を、ここまで仕上げてしまうのは
上記で触れたとおり才能でしかないのだが、しかし、この後ブライアンはいよいよ深い闇に
向かい、この後の数作ではまともに楽曲を提供できない状態になり、更には録音そのものには
ほとんど参加できないようになってしまう。そして深酒とドラッグが彼の天賦の才である
歌声を奪っていってしまうのである。そう言った意味で、この曲はここまでの自分への
別れの曲のように個人的には感じている。結果的にそうなったと言えば良いのか。

他のメンバーの楽曲は基本的に前作のような結束力は感じられず、アルバムを通して聴くと
弱い曲が多い。そして、ブライアンの状態に足を引っ張られたかのように暗めの楽曲が
多いのも特徴だ。シンガーソングライター時代の流行を取り入れた面もあったのかも
知れないが、それが過ぎると余り彼らには似合わないのもまた事実である。

マイクの「スチューデント・デモンストレーション・タイム」などは左派的な政治歌のつもり
なのだろうが、なんとも中庸でどっちつかずな歌詞や、ジョンの「レボリューション」を
意識したものの、出来損ないのような意味不明なハードなアレンジなど、聴いていて呆れる。

その中でもカールがソングライターとしての成長を見せた「ロング・プロミスド・ロード」は
地味ながらも静と動の対比が聴き所の佳曲であるし、インテリジェンスを感じる。

また、ジャック・ライリーとの対立からこのアルバム後に脱退してしまったブルース・ジョンストン
の「ディズニー・ガールズ」はソフトロックとして文句無しの名曲である。
彼のビーチ・ボーイズ作品の最高傑作だろう。3拍子ながらかなり洗練されているのも特徴。

こんな風に楽曲単位ではそれなりに聴き所もある。何よりも「サーフズ・アップ」が収録
されている。そういう点でこのアルバムは重要作なので買って損する類のものでは無い。

結局「サーフズ・アップ」を持ち出した効果だったのか、このアルバムは彼らにとって
本当に久しぶり(67年作の『ワイルド・ハニー』以来)のベスト30内を記録する(29位)
アルバムとなり、セールス的には少なくともジャック・ライリーを起用したことが
吉と出たと言えるだろう。

しかし、毎度の事ではあるが、ブライアンの更なる不調、安定して優れた楽曲を提供出来る
ブルース・ジョンストンの脱退により、この後のBB5はカール頼りのバンドに傾き始める。
カールはこの後更にバンドに70年代色を強めて行き、ドラムとヴォーカルに黒人である
ブロンディ・チャップマンとリッキー・ファターを加えると言う大胆な改革?を行う。

それがビーチ・ボーイズとしての進むべき道なのかと問われると、カール贔屓の自分でも
首を傾げざるを得ないような方向性と言わざるを得ないし、この路線でも大きな成功には
程遠かった。

この後のアルバムについては余りレビューで触れるほど愛着があるものが少ないので、
(『M.I.Uアルバム』は秀逸だと思っているが)長く続いたレビューはここまでに。

次回編ではここまで『スマイル』を軸に、それらが散りばめられた時期のアルバムを
振り返ったが、そのまとめを自分なりに。どうしてこのようなタイトルにしたのかも含めて。
posted by cafebleu at 02:15| 東京 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | Brian Wilson[Beach Boys] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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