2008年05月23日

My Sweet Lord

”神々しい程のゴスペルな名唱”

〜そしてビリーも旅立ちました〜

「マイ・スイート・ロード」と言えば、間違いなくジョージのソロワークの中で
最大のヒット曲であり、有名曲の一つであろう。

ジョージの宗教観をそのまま述べたかのような歌詞も含めて
”代表作”と呼ぶのに相応しい。

勿論、収録アルバムも最高傑作である1stアルバム『オール・シングス・マスト・パス』
(最近改めてこのアルバムを自分的には再評価している)な訳だから
有名でないわけも無い。むしろ、ビーヲタ以外の人に評価の高いアルバムと言うのも
この作品の特徴である。

当方、いつもジョージにはひねた意見を述べているが、それでも
「美しき人生」「オール・シングス・マスト・パス」「イズント・イット・ア・ピティ」
「愛は全ての人々へ」「FAB」辺りは大好きな曲である。

特に子供の頃、ポップでキャッチーな「美しき人生(ホワット・イズ・ライフ)」は
大好きな曲だった。

しかしながら、ここまで「マイ・スイート・ロード」が単調かつ宗教感が過ぎるよ!過ぎて
苦手であり、ここら辺が自分がジョージにのめり込めない原因であろうと思っていた。

好き嫌いは好みの問題だと思うので置いておくが、ジョージの歌唱、特にソロ以降と言うのは
音程などに重きをおくのではなく、独自のビブラートを唱法に取り込んで、”泣き”を表現する
と言うスタイルが基本線だと思う。

ジョージの場合、声の線がジョンやポールに比べて明らかに細いので、それが顕著に聴こえる。

恐らくはディランなどの影響も強いと思われるが、同じくディランの影響が見えるジョンが
トーキング調を取り入れても線の太さで力強くメロディがしなるのに比べて、ジョージのそれは
線の細さも相俟って、とても歌メロの輪郭を曖昧に見せているように感じる。

なので、ディランの多くの曲と同じように、本人以外が歌った時に初めて歌メロがおぼろげに
なるのが『コンサート・フォー・ジョージ』を観ていてとても感じたのである。

そんな好例の一つが盟友、ビリー・プレストンのいぶし銀のヴォーカルが冴え渡る
「マイ・スイート・ロード」である。


「My Sweet Lord」 by Billy Preston [Concert for George]

どうだろう、この原型を崩さずに強烈にゴスペルを感じる歌い上げ方は。
僕は感動せずにはいられなかった。

時折ソウル系のシンガーは、名曲を、アドリブで歌いまくり、それは自己満足のように
映ってしまう事がある。それに比べて、ビリーの酸いも甘いも知り尽くしたかのような
”ゴスペル感”は、観るものを虜にしてしまう。そしてこの曲が単なる宗教賛歌では
なく、聖歌のように聴こえてしまうのだ。そして合間に入るちょっとしたハモンドも最高である。

キーボード・プレイヤーとして、ビートルズやストーンズ、そして晩年はクラプトンと、
名脇役として素晴らしい演奏も残したが、彼自身もソウル・シンガーとして、
捨てがたいアルバムも残してくれた。



そして、この名演の数年後、彼もジョージの元に旅立っていった
それが腑に落ちるほどエモーショナルな「マイ・スイート・ロード」である。

諸行無常を情感豊かに歌ってメロディを拾い上げたポールの「オール・シングス・マスト・パス」

ある意味一番おいしい歌で、メランコリックな「イズント・イット・ア・ピティ」は
やっぱりエロオヤジなクラプトン(笑)

人それぞれ個性が出るもので。

興味深いのはクラプトンであれ、ポールであれ、このコンサートの後、ここで取り上げた曲を
自らのライブでも取り上げることである。演奏してみて改めて彼の曲の良さに気づくのかもしれない。
posted by cafebleu at 06:27| 東京 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | Billy Preston | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月08日

蒲田と言えばシビタスのホットケーキ

蒲田は元々山の手方面区域の中でも独特なカラーを持つ地区であったが、
近年では町自体がやや時代に取り残されていたような印象を受ける。

数年前目蒲線の再編により、目黒〜蒲田間の構成から、
目黒(都営三田・南北線に直通)〜日吉(今年6月に延伸)間を走る東横線の
複々線としての『目黒線』による再出発を遂げた事により、
多摩川〜蒲田間は『多摩川線』と言う完全なる短距離ローカル線になってしまった。

こう言った、山手線と言う、言わば都内の基幹線への直接のアクセスが
目蒲線の再編によって失われた事も多少なりとも影響を及ぼしているだろう。
(但し、池上線は五反田〜蒲田間を結んではいるが、こちらは旧目蒲線以上に
地元の人間で言うところの”山の手ローカル”と言える地域の住宅街向け電車である)
それでもJR側は京浜東北線の駅も有るにはあるのだが。

良く言えば昭和の薫りが残る町、悪く言えば・・・と言う蒲田であるが、
駅ビル自体も東急(蒲田東急プラザ)、JR側(パリオ又はサンカマタ)共に
やや古ぼけた感じで、それが大きな駅の割にすすけたような印象を
受ける一因で有ったかもしれない。

そんな蒲田ではあるが、大きなアーケードを擁する西口の商店街であるとか、
自分は行かないものの、本場仕込な韓国料理や焼肉店などもあったりするので
決して街に活気が無いと言う訳ではない。風俗的だが、パチンコなり、
キャバクラなども軒を連ねている。

ただ、JR側の駅ビル再開発により、ようやっとグランデュオもオープンして
それは今までの蒲田には無い洗練された佇まいを見せている。

ただ、最近は駅ビルは何処も洗練されたと言うか、基本的に共通のコンセプトによって
作られているので、ある意味ステレオタイプな感がしなくも無い。

大体においてユニクロと無印は大きなスペースで展開されて、雑貨の人気店として
PLAZA(旧ソニープラザ)がある、そんな感じではないだろうか。

西武や三越のようなデパート程のブランド・高級志向ではなく、あくまで生活レベルの目線で
使えるようなアパレルとかが中心となって、多少こ洒落た店舗もあったりすると言うのが
近年の駅ビルの基本線だろう。それは決してコンセプトとしても間違いとは言えない。

しかし今思うと、少しすすけて、垢抜けなくて、個人の店舗や喫茶があるような
駅ビルの風景と言うのが懐かしく感じるときもある。それが”昭和”の名残と言うやつか。

蒲田だけでなく、目黒駅のような都心でも、つい数年前まではそんな垢抜けない駅ビルは
残っていたのだが、さすがに少なくなった。

で、何が書きたかったと言うと、JR蒲田の駅ビルは先述した通り、グランデュオと言う
近年JRが展開している駅ビルに変身したのだが、もう一方の駅ビルである東急経営の
蒲田東急プラザは相変わらずの”古ぼけた”駅ビルのままである。

渋谷の東急プラザも現在では新しい感じとは言えないのだが、それにも増して
蒲田の東急プラザは古ぼけたと言うかとぼけたような店舗だらけである。

常に人もそんなに居なくて、まばらさはグランデュオが出来た事で拍車がかかっている。

そんな冴えない蒲田東急の中で、いつも席の半分以上が埋まっている喫茶店がある。
それが『シビタス』である。

自分も蒲田でお手洗いを探している偶然に見つけたのだが、売り文句に
「手作りホットケーキを注文されてから焼いて出します」と書いてあるのに
惹かれて思わず入ってしまった。

sivihot[1].jpg

これが本当においしい。写真でもそんな風情が伝わるかもしれないが、
甘党、ホットケーキ好きなら是非是非一度この店に足を運んでほしい。
シロップもお手製なのだが、ここのホットケーキはバターだけでも生地から
染み出る甘みとバターの相性が素晴らしく、一度はまるとたまに思い出したように
食べたくなるのだ。

昨今の喫茶店のように泡だったコーヒーが出るわけでもなく、店内が洒落ている
訳でも無い。正直テーブルが小さいし、アイスコーヒーのグラスが昔懐かしい
下が細くて上が広がってる倒れやすそうなグラスなので飲みにくいのだが、
そんな”昭和的”喫茶に懐かしさも感じつつ、ホットケーキに舌鼓と言うのも
たまには良いのではないか、そんな風に思う今日この頃である。

因みに「スナック・ホットケーキ」を頼むと、ソーセージ(又はハム)と少々のサラダ、フルーツが
ホットケーキと別添えされたセットになる。僕はこのソーセージとホットケーキの組合せが
大好きなので、これがシビタスでホットケーキを食べるときのデフォルトである。

蒲田は近所でありながら、その独特の雰囲気にのまれてしまう時が多いのだが、
ここは僕にとって心のオアシスである。
posted by cafebleu at 19:25| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | Days | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月02日

Coming Down Again

「ドラッグ漬けは完全に自分のせいだと思うが、それを良い曲に昇華するのは才能である」


いつだか書いたライブ・レポートでも余り良い事は書かなかったけど、
ストーンズ、やはり70年代においては、ルーツロックやニューソウル(ファンク)を
自己の中にどんどん取り込んでいきつつ、商業的にもそれらを広めたと言う点で
評価しているし、実際70年代のストーンズこそが彼らの黄金時代と僕も感じる。

60年代のストーンズと言うのは結局「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」や
「ストリート・ファイティング・マン」を収録したブルージーなアルバム
『ベガーズ・バンケット』を作り上げるまでの過程であり、特にサイケ期辺りの
音楽は(個人的には嫌いではない)、明らかにビートルズの後追い的な要素が
強く、更には『サタニック・マジェスティーズ』ではB級な匂いすら漂っていた。

ストーンズはロックらしいロックでやはり本領を発揮するし、その点でも
ブライアン・ジョーンズと言う象徴的ながらも、晩年は明らかにプレーそのものも
精彩を欠いていた彼を失うと言う言わば「不幸中の幸い」の中で、
ミック・テイラーと言う希代のギタリストを手に入れた70年代のストーンズは
明らかにパワーアップしていったのだと思う。



タイトルからしていかがわしい『山羊の頭のスープ』は個人的に70年代のストーンズの
アルバムでベスト3に入れたい。
(因みに他の2作は『スティッキー・フィンガーズ』と『ブラック・アンド・ブルー』)

70年代の名作と言えば荒々しくてスワンピーで、そして冗長で、そんな所が格好良い
『メインストリートのならず者』が定番だ。僕もそれに相違は無い。
しかし、思い入れと言う点で、このサイケをまがまがしい物に再構築しつつも
ソウル・フレイバーを盛り込み始めた『山羊の頭のスープ』は小粒ながらも良い曲が
揃っている。子供の頃、父の部屋にこのLPが置いてあったが、ジャケットが恐すぎて
しばらく聴く気になれなかったのが思い出である(笑)。

ストーンズと言えば「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」や「ブラウン・シュガー」のような
リフでグイグイ引っ張る王道的なロックこそ代表的な部分だが、僕はむしろ怠惰で
ドラッギーで不健康なストーンズこそ魅力を感じる。そしてそれこそが今のストーンズに
欠けてしまったものである。

その点で、1曲目の「ブラウン・シュガー」以外はとてもダークで怠惰な曲が続き、
これがレーベル独立後第一弾とは思えないほど”ブライアン・ショック”を引きずっている
『スティッキー・フィンガーズ』はこの時代のストーンズでなければ作りえなかった名作だし、
キースのドラッグ鍋による衰退が明らかになりつつあり、その中で流行り物好きの
ミックがイニシアティブを取って作られたと言う『ブラック・アンド・ブルー』における
ニューソウル〜ファンクへの傾倒っぷりも、僕の元々の趣味と合致していて心地良い。

話は戻って『山羊の頭のスープ』である。

このアルバムは「アンジー」が収録されていたこともあって、日本では人気が高かった
ようだ。他にも「ハート・ブレイカー」や「100年前」のようなソウルの影響下にある曲が
捨てがたい。

70年代辺りのアルバムからアルバム毎に一曲程度はキースがヴォーカルを取る曲が
収録されるようになる。そして近年のライブでもミックを休めるため、そして観客が
トイレ休憩を取るため?にキースが2曲ほどヴォーカルを取る時間が中盤に存在する。

キースのヴォーカル曲にも「ハッピー」や「スリッピング・アウェイ」のようなファンには
人気曲があるのだが、個人的にキースが歌った歌でベストと思っているのは
このアルバムに収録された「カミング・ダウン・アゲイン(夢からさめて)」である。

どうも、ドラッグでバッドトリップでもした事を悔いてるような内容の歌で、
それを「また落ち込んじまった」と歌うのには
”あんた、それは自分が100%いけないんじゃないの”
と突っ込みを入れたくなるのだが、そんな自分勝手な自己陶酔を美しい歌に
昇華させられるのは、やはり優れたミュージシャンの証なのかも知れない。

このアルバムでよく見られるソウル・フレイバーのあるバラードと言った風情なのだが、
後年のこの手の曲で見られるような芝居がかった役者の心のような歌い方ではなく、
線が細くて淡々としているところが、逆に好感を持てる。

近年はキースも「ハッピー」とか「ワースト」のような曲だけでなく、色々と
マニアックな曲も披露してくれているようだが、この曲はやっているのを聴いた事が
無いので、本人にはそれ程思い入れがある曲ではない様なのが少々残念である。
(もしかしたらやっているのかも知れないが、詳しい情報は僕にはわからない)

因みに子供の頃、父に数回ストーンズのライブに連れて行ってもらったが、
父はアメリカ人のように、キースが歌いだすと、本当にトイレに行ってしまったり、
煙草を吸いに席を離れてしまっていた。。
(日本人は行儀が良いのと、キースのファンが多いので普通あまりやらない)


「Coming Down Again」 The Rolling Stones

70年代のツアー移動映像と共に。
良くわからないがレアな映像のように思える。この褪せたカラーと
この曲がマッチして中々味わいのあるプロモに仕上がっている。
最近は投稿する人の質も高いYouTubeである。
posted by cafebleu at 01:04| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | The Rolling Stones | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする