2015年12月30日

日々の自動車論 〜Dセグメント編〜 その4

・マツダ・アテンザ(ワゴン・セダン)[日本]
〜広島が誇る欧州基準の上質Dセグワゴン/セダン〜

・価格帯 276〜397万(ワゴン)
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このシリーズも独断と偏見によるものなので、基本外車中心で
進めているが(Dセグのワゴン自体が日本には少ない)、ここで
日本車が登場する。勿論独自の道を行くマツダ車で。

独自のラインアップと日本の乗用車では珍しいディーゼル推しを貫き
誤解を恐れずに言えば「日本製の欧州車」を作っているのがマツダだろう。

車格もミニバンなどが無いわけではないが(先ほどマツダにおけるミニバンの
撤退が発表されたので今後は無くなるだろうが)、近年は特に欧州の対向車と
言えるような車格とラインアップに力を入れている。例えばこのアテンザは
サイズとワゴンやセダンを準備して"3シリーズ"や"ボルボ"辺りを意識してるし
アクセラは"ゴルフ"と、デミオは"ポロ"と主戦場で戦う事を前提としている。

デザインも"デカくて悪そうならOK"みたいなグリルや箱型で広々感重視の
ミニバンと一線を画したキャラクターラインや曲線を多用した優美なものが
多く、そこにはスペースだけはない"美しい自動車"に対する拘りも感じる。
それは最近リリースされた「ロードスター」でも改めて思わせる。

それでもマツダ独自を強く感じるのはやっぱりパワートレイン。
2012年位からSUVのCX-5に搭載して始まった国産の"クリーンディーゼル"
路線は、当時ドイツ車のBMW3シリーズ、X3、X5、若しくはメルセデスの
Eクラスなど比較的大型のセグメントに搭載されて始まったが
(ディーゼルはプレミアムなものというブランド戦略も有っただろうが)
いち早くCセグのアクセラに、そして遂にはモデルチェンジしたBセグ車の
デミオまでディーゼルを搭載してみせた。

また、これらのモデルの中でディーゼルは上位グレードやスポーツグレード
という扱いで、この路線がドイツ車の展開とシンクロしてディーゼルは決して
燃費や燃料費のための妥協グレードというイメージを払拭している現状に
一役買っている。

そんな訳でアテンザだが、サイズとしてはDセグでも大きめである。全長は
4.8mを少し超え、全幅は1.84m。これらはアウディA4やBMW3シリーズを超える。
強いて近い値を探すと、パサートが全長4.78m、全幅が1.83mなので近しいか。
FF横置きがベースというのも一緒であるので車内サイズも近いと思われる。

アテンザはモデルチェンジのたびにサイズが大きくなっていて、その辺りは
結構日本車としてデカくなりすぎと批判も受けているが、車格も欧州基準と
した上で、スペースや価格でも優位点を打ち出していかなくてはならないので
その辺りはグローバルカーと言う視点では致し方ないのか。

但し、そのデザインは先述の通り優美で秀逸である。特にマツダも国産車には
珍しく"デザイン言語"というコンセプトを持っており、全ての車種で共通の
デザインを感じるが、特に伸びやかさが似合うデザインだと思うのでアテンザが
最も美しいデザインだと思える。

エンジンは2L、2.5Lのガソリン自然吸気と2.2Lのディーゼル・ターボの三種を
用意するが、スペック、価格とも最も上位に位置するのはディーゼルグレードの
"XD"シリーズ。175ps/42.8kgmというディーゼルらしい高トルクに加えて
JC08モードでも19.6km/Lという優秀な値を叩き出すのは他のディーゼルモデルと
同様。特にマツダのそれは若干排気量も大きめ(他社のディーゼルは2Lが多い)
なので、トルクに関しては4Lガソリン車並のビッグトルクを誇る。

値段帯も200万後半から400万弱なので、パサートとはガチンコ、ボルボよりは
リーズナブルという国産ならではの利点も持ち合わせている。

外車に比べて値段の有利さに加えて、既に国産車でステーションワゴンが他に
ぱっと思いついくのがスバル・レヴォーグくらいなので、国産でしっかりとした
ステーションワゴンが欲しいというニーズにはぴったり当てはまると思う。

マツダは国内でも決して大きなメーカーではないが、クリーンディーゼルと
欧州車に勝るとも劣らない美しいデザインに磨きをかけて世界でも十分
勝負できる"良い車"を作っている、それを実感できる一台と言って良いだろう。

サイズの大きさが多少懸念されているが、1サイズ下のアクセラに載る
ディーゼルも基本全く同じものである。後は恐らく今年中には発表される
ミニバン、プレマシーの新モデルにもこのエンジンは搭載されるのではないだろうか。
その辺りは日本のユーザにとっては待ち遠しい話だろう。
ここでも車格的に近いBMWアクティブ/グラン・ツアラーと勝負となるか。



・ジャガー XE(セダン)[イギリス]
〜英国伝統のプレミアム・カーはインドの資本を纏って一気にモダン路線へ〜

・価格帯 477〜769万(4ドアセダン)
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ここで非ワゴン車種登場である。持ち出してきた理由としては好みもあるが
やはりジャガーもXEの登場で再び主戦場の一つであるDセグメントで勝負に
出ていると感じたこと、そして、インドの資本を得て数年、フォードからの
売却当時はあの英国の名車の今後はどうなってしまうのだろうと不安に
なったが、同じくタタ・モーターズに買収されたランドローバーと共に
ここ数年で一気にプレミアム・カーとしてイメージを復活、いや昔以上の
ブランド感とモダンさで一気に御三家と本気の勝負に出ると見たので取り上げた。

元々ジャガーは中型車以上やスポーツカーが基本で、例えば自分のような世代だと
ナローでクラシカルで優美なデザインにブリティッシュ・グリーンが印象的な
"XJ"や"XJ-S"が印象深い。特にXJ-Sはデザインも大好きだった。
子供の頃から憧れの車の一つで、いつか程度の良い中古を手に入れたいと
夢見ていたのは結構最近までのことである。

さておき、XEだが、元を辿ればジャガーブランドでのDセグメントへの参入は
2000年代前半、フォード傘下の頃に発売されていた"Xタイプ"以来の事である。
そのXタイプはジャガー初のミドルセグメントへの参入や、初めてとなる
ステーションワゴンをラインナップに加えたことで話題になったが、基本的に
フォード・モンデオをベースとするFFプラットフォームで(当初は4WDだったが)
それまでFRを貫いてきたジャガーの伝統を覆すものであったので賛否が起こった。

今やBMWですら2シリーズ(アクティブ/グラン・ツアラー)やX1でもミニと
共通のFFプラットフォームを使う時代だから、過敏な反応も有ったような気が
するが、それらとの違いはそのFFプラットフォームが如何にもモンデオの流用で
パワートレイン等にジャガー独自の魅力を盛り込んでいたとは言い難く
更に電気系統などの故障も多かったようで
「クラシックジャガー風のパイクカー」とまで言われてしまっていた。

実際にアメ車よりも欧州車が受ける地域向けに、プラットフォームを
流用し、ジャガーのボディを載せた戦略的なモデルだったことは否めない。
結局セールス的にもXタイプは同車格のBMW3シリーズやメルセデスCクラス
アウディA4の後塵を拝するどころか、全く歯がたたない結果に終わり
ひっそりと2008年に終売している。

この失敗の背景はFF云々以前に激戦区とも言えるDセグのプレミアム・カー
競争に参入するにも関わらず、安易な上っ面の載せ替えだけで対応しようと
したフォードとジャガー自身に問題が有ったと思う。

個人的にはクラシカルなデザインは時を経ても一定の人気が有り
私自身もそう言った路線は嫌いではない。例えば、パイクカーらしい
パイクカーとしては、マーチをベースとした光岡のビュート辺りは日本でも
有名だろうが(良く考えたらビュートはオールド・ジャガーがモチーフだ)
考えようによってVWのザ・ビートルやミニ、そしてフィアット500だって
クラシカルな意匠をモチーフにしていると言える。但し、その中身は
パイクカーと言うには余りに充実している。

例えばミニは先代まで独自プラットフォームで、エンジンもBMWとは
異なる路線で開発されていた。それはBMWが決してB,Cセグメントの開発
ナレッジが高いメーカーではなかったので、プジョーなどと組むことにより
コンパクトサイズのエンジンやFFプラットフォームの開発を学んでいたとも
言える。実際それらを逆に持ち帰ったのが現行の1、2シリーズとも言える
わけだ。また、ミニはBセグでは最もスポーティな車種の一つとして性能も
単なるクラシカル路線の回顧では無い高いレベルを保ち、車好きにも
人気を博しているのは今の大ヒットが証明している。

つまり、C,Dセグメントのような激戦区に参入するにもかかわらず、安易な
ボディの載せ替えだけで敵うわけが無いのである。特にDセグのプレミアム・カーは
価格もそれなりに高価なので、性能(パワーだけでなく環境性能も含め)や質感は
重要なファクターであり、いくらジャガーの伝統的なデザインを持ち込んでも
基本が出来てなければ、切磋琢磨し続けているCクラスや3シリーズになんて
太刀打ちできるわけが無いと、イギリス贔屓の自分でもそう思う。

と、これだけ書いておきながら、Xタイプ、嫌いではなかった。程よいサイズ感
ステーションワゴンのような気の利いたグレード展開、英国車らしい内装
(モンデオベースでフォードが売ってる車に対して英国らしいというのも何だが)
一時期中古で程度が良いワゴンが欲しいなと思っていた。しかしながら
ワゴンのリアビューがクラシカルなフロントに比べて余りに凡庸で、本当に
高価なパイクカーという雰囲気が拭えず購入には至らなかった。やっぱり
3シリーズやA4ってコスト比で考えたら偉大なのである。

この事がジャガー経営陣のトラウマになったようだし、この直後
リーマン・ショックなども重なりジャガーはその経営権をフォードから
インドのタタ・モーターズに譲渡することになる。

最初これを聞いた時、あの英国の名車はどうなってしまうんだろうとかなり
不安になった記憶がある。ただでなくとも英国の自動車産業は90年代から
斜陽の一途を辿り、ローバー・グループはBMWに(その後更に売却)
ジャガー・ランドローバーはその当時からフォード傘下に、そして
英国自動車史上最もエポックメイキングだったミニは自動車史だけでなく
英国にとって最大のライバルとも言えたドイツのBMWの手に渡ってしまっていた。

そんな中でジャガーがタタ・モーターズに買収されたと聞いた時、もう
ジャガーらしいジャガーは無くなってしまうだろうなと思っていた。
実際クオリティという面でも大丈夫なのだろうかという思いもあったし
もうジャガーはお終いだとすら思っていた。

その杞憂はある意味で的中し、ある意味では間違いだったといえるだろう。
まずデザインだが、タタ傘下となり最初に登場したXFやXJを見た時
「これはジャガーではない」と率直に思ったクチである。
ボンネットの膨らみと合わせるように配置された丸目4灯のライトに
クラシカルなグリルは何処にも無くなり、ノーズマスコットなんて
乗るところすら見当たらない曲線的なフロントノーズ、現代的だけど
これの何処がジャガーなんだとすら思ってしばらくジャガー自体への
興味を失っていた。

だが、XF、XJとデザイン言語を変えることなく、またXJ辺りからそのデザインは
よりモダンに洗練されてその流れの中でXEも登場した。つまり経営陣は
強い意志でこの新しいデザイン言語をジャガーのスタイルに採用したという
訳だ。

勿論XEも従来有ったジャガーの姿を望むべきも無く、モダンで流線的で
ワイドアンドローなスタイルが印象に残るのだが、単に古いジャガーの様式に
囚われなければ近年のプレミアムカーとしては上品で控えめな部類に入ると
言えるだろう。

だいぶ時間が経ち、自分のような頭の硬いユーザーも見慣れてきたのかもしれない
と思うようになったのが最近のこと。冷静に見てみると、近年のジャガーらしい
曲線的なラインを保ちつつ、特にXEではアウディとBMWのデザインとも共通点を
見いだせるような気もする。また、先述のようにギラギラ感の強いメルセデスや
レクサスなどと比べればやっぱり優雅なスタイリングをしていると思う。
それが主張が足りないと言う人も居るだろうけど、僕はどちらかと言うと
ジャガー云々を抜きにしたらこちらの方が好みである。

そんな訳でデザインに関しては未だに賛否というか自分も肯定してるんだか
否定してるんだか良く分からない事になってしまうが、間違いだと言えるのは
メカニズムである。プラットフォームの確かさは既に日本でも同傘下の
ランドローバー・シリーズが既に証明してるだろう。心配された質感も
杞憂に過ぎず、インドという国はITにせよ自動車にせよ熱心に吸収して
学んでいるし、自国の常識にとらわれずしたたかにプレミアム・ラインにも
アジャストできている。それはイヴォークの大ヒットも然りである。

まだ日本モデルではフォード時代に開発されたエンジンが載っているが
(これ自体も悪いエンジンではないがショートストロークかつ燃費性能などは平均的)
間もなく"インジニウム・エンジン"と呼ばれるタタ体制以降新開発された
ディーゼル・モデルも登場する。
(この文をしたためているうち、2016年2月にようやく登場した)
このインジニウムは1シリンダー辺り500ccを基本とし、ロングストローク化
されて過給器をコントロールしながらパワーを調整して燃費も得ると言う
現時代的なパワーユニットで、しっかり欧州基準にアジャストしてきている。
ガソリン・モデルも順次このインジニウムに置き換え予定である。

このディーゼルはXEとジャガー初のSUV(ジャガーからSUVが出る日が来るなんて!)
で有るF-PACEのメインエンジンとして採用されていく。スペックも
180PS/43.8kgmと、BMWやボルボのエンジンに引けをとらないし、トルクでは
排気量の多いマツダのディーゼルすら上回る高トルクである。
これは最初からSUVなどの重量が嵩むモデルへの搭載や巡航を第一に意識して
開発してきた事を物語る。XEのディーゼル・モデルの燃費性能もJC08モードで
17.1km/LとBMWやボルボには及ばないまでもDセグメントとしては立派な数値である。

近くにジャガー・ランドローバーも有るので試乗したらレポートしようと思う。

現行の4ドア・セダンもクーペ・ライクで嫌いではないが、もし、今後XEを
本気で3、4シリーズやCクラス、A4、A5と戦わせるのならステーション・ワゴンや
コンバーチブル(カブリオレ)などバリエーションもぜひ期待したい。
レンジローバー・イヴォークなんか遂にSUV初?の自動開閉ソフトトップを
搭載したコンバーチブルが出たのだからXEでも有り得る話だろう。
(そもそも4WD/RVこそ幌付きのオープンモデルが設定されてるのが定番だったのだが)

今後もジャガー・ランドローバーの展開には期待している。
posted by cafebleu at 22:22| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | Automobile | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月26日

日々の自動車論 〜Dセグメント編〜 その3

・ボルボ V60(ワゴン)/S60(セダン)[スウェーデン]
〜長年スカンジナビアン・プレミアムで在り続けるボルボのデザイン・ライン〜

・2014年度輸入車モデル別売上 16位(4,781台)
・2013〜2006年までの売上推移 13→9→8(日本発売は2011年より)
・4年間平均順位 11.5位
・価格帯 449〜665万(ワゴン、Polestar含まず)
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古くは無骨なまでのスクエアさが逆に機能美を感じお洒落だった
240やその名残があるV70ワゴンで一時代を築いたのがスウェーデンの雄
ボルボである。ドイツ車ですらまだニッチだった時代に更に斜め上を
行く"スウェーデン"という国名をこの車から知った貴方はエンスーの類。
そういう自分もこの車で北欧を知った小学生時代。

一昔前まではSAAB(サーブ)とスウェーデン車二大巨頭だったのだが
サーブが親会社が変わりながら二度の経営破綻を辿り、現在では虫の息
なのが少し切ない。子供の頃父親がサーブに興味を示し、試乗に行ったこと
カブリオレのモデルに心惹かれた事を今でも覚えている。

一方のボルボは少なくとも日本国内では細く長く一定層の人気を維持
し続けていると言えるだろう。最もその長い年月の間にボルボも大きな
変化を遂げており、今ではワゴンやセダンだけでなく、ハッチバックや
SUVなど幅広いモデル展開を行っている。また、V40やV/S60、若しくは
SUVのXC60辺りはデザインもスポーティかつアグレッシブな印象だし
内装もスカンジナビアン・デザインと言われるモダンな印象に様変わり。

VWやドイツ御三家(メルセデス、BMW、アウディ)に次ぐプレミアム
ブランドとしての地位を確立し、ニッチな北欧ワゴンという印象を
大きく覆した。

とは言えボルボも決してここまで順風満帆だった訳ではなく90年代後半に
フォードに売却され、暫くはアメリカ資本の中、大きな変化なく販売を
続けていたが、2010年には中国の浙江吉利控股集団(ジーリー・グループ)に
売却され、今後がどうなるのかと思われたが、ここから寧ろ安定した資本を
得て次々新モデルや新コンセプトのエンジンを開発しており、むしろ
経営やラインアップはボルボのプレミアム感を損なうこと無く安定
してきたと言えるだろう。

V/C60は2011年に販売開始された比較的新しいモデルだが、プレミアム
ブランドではメインストリームといえるDセグメントに焦点を当てたもの。
それまでボルボではS40/V50が近いところに居たものの、CセグとDセグの
間にいるサイズ感だったことと、モデルチェンジしたV40がCセグの
ハッチバックと定義されたので、ここでサイズを仕切りなおし、
3シリーズ、Cクラス、A4辺りと主戦場で戦う体制を整えたと言えるだろう。

実際デザインも240、850、V70辺りに伺えるクラシカルなスクエアなものから
一気にクーペライクでスポーティなスタイルに豹変。それでありながら
下品さも無く、これだけ変化しても何処かボルボらしさがしっかり出ている
のは秀逸だと思う。個人的にはDセグのワゴンで最もスタイルが良いと思う。
内装も含め単に高級志向というよりはモダンなスカンジナビアン・スタイルだ。
ドイツ車に多く有るような無骨さはV40やV60では殆ど感じない。

パワーユニットも今年のマイナーチェンジで大きく変化した。
このクラスでBMWが先んじて展開していたクリーンディーゼルも
以前より準備を続けていたメルセデスやVWよりも先に登場させたのは
ついこの夏のこと。しかもほぼ全てのモデルである。

11月現在では追ってメルセデスがCクラスで9速ATと共に
ディーゼルを販売開始したが、VWが例の不正問題でパサートの
ディーゼルモデル発売に暗雲が立ち込めている中、これは大きな
アドバンテージになるだろう。

勿論ガソリンモデルもマイナーチェンジでブラッシュアップし
ディーゼルエンジンと共通のパーツ、シリンダー500ccで基本
2000ccまでのエンジンを加給器等でパワーをチューニングするという
ダウンサイジングの流れにもしっかり乗ってきている。

それでも注目はディーゼルだろう。このエンジンはツインターボを
搭載し、デンソーのコモンレール直噴システムを採用し、更には
ミッションにアイシンAWの最新8速ATを搭載している。

この日本の技術も活用して、同クラスのディーゼルエンジンでは
最もパワフルなパワーユニット(190ps/40.8kgm)となっている。
これは単純に2Lのガソリンモデルの直噴ターボ以上の馬力となり
(320i/184馬力、C200/184馬力)
トルクに至っては4000ccクラスの値を1750回転から引き出してしまう。
それでありながら燃費はJC08モードで20.2km/Lとエコ性能も相当優秀だ。

ディーゼル・モデルが登場したのが15年の夏からなので、実質は来年
以降になるだろうが、売上も巻き返してくるだろう。

個人的に試乗などはしていないが、ディーゼルモデルの力強さと鷹揚さは
ボルボにもベストマッチとの評も見受けられる。
逆にディーゼル特有の遮音対策はBMWやメルセデスに一歩譲るようで
結構ディーゼルらしいディーゼル車とも言われているが、そんな
エンジンが働く様をダイナミックに味わいながら燃費や環境性能も
優秀な「いきいきとした」クルマに乗るのも悪く無いと思う。

ボルボはサイズを問わず、元々駆動系は近年最もポピュラーな
「エンジン横置きFF」なので、BMWやメルセデスのようなFRへの
こだわり等は昔から持ってない。それが理由かは分からないが
コーナリング云々よりはゆったりと走るのがらしいとは言われてるので
ユルユル走っている時、少し中間加速が力強いと良いとか、高速巡航で
力を発揮するディーゼルはボルボとも相性が良いだろう。

とにかく近年のクリーンディーゼルは、1500〜3000回転くらいで
ほとんどの仕事をしてくれてしまうので、そこにはカタルシスがある。
「車は回さないと〜」って向きも有るのは分からなくも無いけど
ガソリンでも直噴ターボが主流の今、中低速やちょっとした加速の
楽しみだって確実に有るとは思うので、そこは考え方だと思う。
特にディーゼル・モデルは違う視点で楽しんでみれば良いのだと思う。
昔のディーゼルを知ってる人にほど一度体験して欲しい。

出足6〜70km位までの軽くアクセルを踏んだ時の加速感はディーゼル特有の
静かなる速さが有る。

ボルボは昔から何処かで心に引っかかる存在だが直接乗ったことが
無いので(親戚が昔乗っていたが)、近くディーゼルのモデルでも試乗
してみようと思う。

・フォルクスワーゲン・パサート[B8](ワゴン/セダン)[ドイツ]
〜ドイツ最大手の主軸モデルで在りながらも弟と従兄弟の傍らで慎ましやかな逸品〜

・2014年度輸入車モデル別売上 圏外(参考:2015年上半期 18位)
・2013〜2006年までの売上推移 外→17→12→外→外→14→14→12
・9年間平均順位 16.6位
・価格帯 349〜481万(ヴァリアント)
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VWの排ガス問題で最初に槍玉に上がった意味では最近話題になってるが
基本的には「地味で飾らない優等生」といった風情なのがパサートだろう。

弟分のゴルフは派手なモデルではないものの、Cセグメントというだけでなく
「自家用車のベンチマーク」として誉れ高い。FF横置きエンジンで
安定した操作性を確保し(ゴルフが出た当時はFF横置きエンジンは難しい技術だった)
ハッチバックで効率的なサイズと、そこから余りある室内の広さ。
機能的で無骨さもあるが、プライドも感じるデザイン。
必要にして十分以上の動力・燃費性能はエポックメイキングですら有った。

他にも一般的にVWと言えばここ10年位は"モダン・クラシック"のはしりと
言える「ザ(ニュー)・ビートル」や、誤解を恐れずに言えばつまらない
くらいコンパクトの中に「クルマに必要なもの」を詰め込んだ傑作Bセグ
「ポロ」や、もっと質素な「UP!」の方が余程知名度が高いだろう。

そういう欧州や日本のような地理的に広くない国々を中心にA〜Cセグメント
の車格で最もメジャーなメーカーの一つとなっているVWだが、パサートは
それらに比べると大分地味な存在だろう。

とは言っても近年のパサートはそのサイズ以上の広さから米国や中国を
中心に急激に売上を伸ばしている。欧州でもカンパニー・カーの枠を超え
質感の向上と共に存在感を増していると言って良いだろう。世界市場では
100万台を超える売上を毎年記録しているのだから。

しかしながら、質素さや、日常使いで程よい質感というキーワードは
日本車こそ得意とする所で、ドイツ車(外車)には明確なプレミアム感とか
アイコニックなものを求める日本ではパサートはやや立ち位置が弱い。
それでも都内では結構パサートって見かけるよなとか思っていたのだが
売上を見たら20位圏外もザラで、やっぱり地味な扱いだったのかなとは
思う。

特にパサートをぼやけさせているのはその歴史にもある。
元々はアウディ80の姉妹車としてファストバック・スタイルの
4ドアクーペ的なデザインだったし、エンジンもFFで縦置きだった。
(日本の日産でノックダウン生産していたサンタナもパサート、アウディの姉妹車)
但し、少なくとも日本では4ドアのファストバック・スタイルは
余り主流に成り得なかったので最初からアウディに比べても地味だった。

でも思えば近年ではアウディのA5やBMWの4シリーズは4ドア・クーペと
言われ、所謂ファストバック・スタイルを採用しており、これらは
"大人のクーペ"としてプレミアム・カーとしては人気が有るので
先進的だったのかもしれない。

所が途中でエンジンが横置きになってアウディと関係無くなったり
またアウディの姉妹車になったり、更にエンジン横置きに戻って
ゴルフと共通プラットフォームになったりと立ち位置が曖昧な
時期が続いていたのだ。

但し、2006年のモデルからは基本プラットフォームをゴルフと共通化し
エンジン横置きFF車でDセグメントでも大きめの車格を基本線としたので
非常に居住性の高い車として存在価値を見出していった。
その辺りはカムリがアメリカで受けていった経緯と似てるのでは
無いだろうか。その完成度は最新の7代目で一つの成果として現れて
おり、質感もデザインも高まっている。

そんな訳で話せば紆余曲折だが、車の基本部分の完成度はゴルフ譲りだし
ある意味機能美とも言えるデザインは本来のドイツ的バウハウスの
伝統とも言えると思う。

サイズはDセグメントの範疇だが、比較的大きめで、Eセグに
近い部類に入る、そこにエンジン横置きFFの効率性も有るので室内は
完全にアウディA4、BMW3シリーズ、メルセデスCクラスよりも広い。
少なくとも車内スペースはA6、5シリーズ等Eセグモデルと争える
レベルである。

日本導入モデルは近年環境性能重視で1.4Lのダウンサイジング・ユニット
のみである。この辺りは他のDセグに比べて割り切っている部分だろう。
但し、海外ではディーゼルを中心に各種モデルが有り、ツインターボに
240PS/51kgmなんて言うスポーティなモデルもある。
過去にはV6 3リッターで約300馬力の「R36」なんて言うスポーツ・モデルも
存在していた。

基本的にVWグループはファミリー・カーやカンパニー・カー
(欧州、特にドイツでは管理職になると企業が車を支給する制度がある)
を中心とした質実剛健な「フォルクスワーゲン」ブランドと
所謂"プレミアム・カー"と呼ばれる「アウディ」で使い分けがある。
これはトヨタとレクサス、若しくはニッサンとインフィニティの
関係に近いと言って良いだろう。

この境界は時に車種によっては曖昧になりつつも基本はそういう
コンセプトだ。例えばアウディA3とVWゴルフはプラットフォームを
共通とする姉妹車とも言えるが、価格帯はA3のほうが高めである。
よって性能比やコストパフォーマンスでは例えばGTIはA3より確実に
上だが、ラグジュアリーさや上質な装備においてはA3が上回る。
とは言え7代目になるゴルフの質感の高さは決して低いものではないが。

遡ってパサートだがゴルフとアウディA3の関係以上に
A4とパサートには社用車、私用車というすみ分けも
特にドイツでは元々有っただろう。

だが、そもそもカンパニーカーの概念自体が無い日本では
地味な立ち位置で「ゴルフを大きくしたもの」とか取り敢えず
都内でたまにクルマに乗る中間管理職が外車のほうが雰囲気があって
リーズナブルだから乗ってます的なダンナ仕様の車の一つ位に
思っている人も多いのではないだろうか。

実際にエンスーにはR36とかの動力性能が受けて「スーパー・ワゴン」
みたいな立ち位置で一部では受けていた時代も有るし、コスパの高さから
敢えてDセグならパサートって人も居なくは無かったと思う。

そもそも、先述の通りアウディA4とは姉妹関係にはなく、独自の
スペース効率や、機能的なデザイン、高級よりは上質と言える内装も
含めいやらしさの無いVWらしい優等生と言えるだろう。

それが七代目である今モデルから特にアメリカや中国で認められ始め
ファミリー・カーとしてもジワジワ売上を伸ばしていたところだった。
そして、その勢いに乗って日本でも今夏発表され、16年にはディーゼル
モデルも投入される予定だった所で、例のVW排ガス不正問題が起きた。

実際日本に投入予定だったディーゼル・モデルは不正対象のモデルでは
無かったのだが、それでも世界でもクリーンなイメージの強いVWでこの
会社ぐるみの不正が落とした影は大きいと思う。実際パサートはその
デザインも含めて、例えば近年のメルセデスとかの押し出しの強さには
違和感を持つ層にも訴えていくべき「クリーンで無駄のない」デザインや
ブランドコンセプトだった訳で、その心臓にあたるエンジンでの排ガス
不正は時代的にもハイブリットやPHEV、そして燃料電池車(FCV、所謂水素燃料EV)
など非エンジンに向かっている日本にとっては印象の悪い出来事だと思う。

個人的には、近年の自動車とコンピュータの関係は、特に排ガス対策や
燃費において切っても切り離せない関係だと思う。
自分の車もそうだけど、最近ではボタン一つで省燃費モードやもしくは
スポーティなモードに変わる車が殆どである。

ここで行われているのは、コンピュータ制御による加給器の制御だったり
ギア変速のタイミング変更などで、これによっても大きく燃費や排ガス量が
変わったりする。そういう意味では、大きくは殆どの車が燃費や排ガス
対策向きのコンピュータ制御がなされている。

特に近年の日本車なんかは余りにもJC08モード向けのコントロールが
効いていて、回転や変速特性には違和感が有るものも多い。
特に日本ではCVTが主流なのでその変速感の曖昧さに関しては
是非が有り、欧州では一時は採用されていたものの、近年ではDCTや
多段ATがオートマチックの主流である。

ただ、そういう特性が主流になるのは時代が心地よい走りよりも
「とにかく良い燃費」を記録でも求めているからに他ならない。
軽自動車や小型車なんて0.1km/L刻みでJC08モードの公称値を
争っているような時代だが、実際には普通に街で無頓着に走ったら
30km/Lなんて遠く届かないし、走り方で25km/Lの車も35km/Lも逆転できる
事だって有るだろう。それでも人は数値としてのエコや燃費を求めてしまう。

結果そういう争いの中で、今回の排ガス不正が発覚したわけだが、日本や
ドイツのように自動車産業が国の屋台骨を支えるレベルの割合を占める
国家では、ある意味そういう重荷を課している国やそれに相反するエコを
簡単に求めている民にも責任は有るのである。

今回の一番の問題は、排ガステスト時に実際にはユーザが選べないような
「隠しモード」を用意し、排ガスを抑えることで実際には得れないような
排ガス値を正式な値としていた事がクローズアップされている。それは
確かに簡単に許されるものではないし、VWも猛省しなければならないが
他のメーカーでも多かれ少なかれこの手の不正に近い問題は抱えてると思う。
つまり、ギリギリの所で戦いは続いてるし、お互いを蹴落とし合うような
状況は起きかねないのである。

特にアメリカでは、実際の自家用車の多くを日本やらドイツやらに頼っている
のが実情だが、アメリカ自体も自動車大国なので、時にアメリカから見た
外車に対して不当とも思えるようなバッシングが起こる時がある。それは
数年前のトヨタのリコール隠しなんかもそうである。あれも余りにも酷い
言いがかりも中には有った気がするが、やはりVWというドイツの、しかも
第二次大戦後に不要と判断したメーカーの自動車が北米で、世界で一番に
なりかねない状況に対するアレルギーみたいなものも感じざるを得ない。

要するに、どんなクリーンなディーゼルだろうがガソリンだろうが
公称値はあくまで一般的な加減速テストの状態における排出量でしかなく
エンジンをぶん回せば高い公害を撒き散らすことになるだろうし
CO2だって増えていく。それにNoXなどはディーゼルから排出されるが
CO2の排出量はガソリンのほうが随分と多いのである。

じゃあハイブリッドが単なるベストかといえば、結局ハイブリッドも
エンジンは付いている。高速になれば電気走行だけではとても走れないので
結局ガソリン車の状態になる。じゃあ電気自動車はといえば、確かに何も
排出しないという点ではその場では最もクリーンだけど、じゃあその電力は
何処から作られるのかといえば、火力発電所で有ったりそれこそ
原子力発電所なのである。そこには「電力が過剰に必要な事」に対する
現代社会の根源的問題も有るのだ。

だから、今回の問題で言いたいのは結局はバランスと、利用するユーザの
意識も大きく左右するのであって、別にVWとディーゼルだけの問題では
無いのである。ディーゼルの燃料である軽油はほぼ近いものが科学的に
生成可能(BTL)で、そういう意味でもエコに寄与できる。

それはガソリン車では現状出来ないことであり、今後ディーゼルがそういう
機能を強化していけば大きな意味でエコにもっと寄与できるのである。
それは考えようによって電力に依存しないもう一つのエコな側面と言えるので
是非メーカーにも様々な角度でエコと乗る楽しみを自動車には追求
してもらいたいと切に願う。

今の日本人は、トヨタより売れようなんて甘いとか下だとか
どうにも批判的な物の言い方しか出来ないけど、そもそもドイツ車と日本車は
長年売れ行きだけでなく「ベストな車」を巡ってしのぎを削ってきた良き
ライバル関係だと思う。未だに世界シェアを決して大国ではない2つの国の
車がこれまでもリードしてきたのだ。そして日本車は元々
「ドイツ車に追いつけ追い越せ」を大きな目標に、時に参考にしながらここまで
来たはずなのである。それは一部は実現出来たわけだけど、それはドイツ車が
有ったからではないのであろうか。実際に今でもドイツと日本のメーカーは
多くの技術提携をしている。ゴルフを超えたい、そういう想いが日本の
自動車を高みに持ち上げた事は忘れてはいけないと思う。

だからこんな時こそ、VWにはエールを送るべきだと思うし、
僕はこんなもんじゃ終わらないと思っている。
ぜひ悪いところはちゃんと改善してもらい、これからも
ゴルフのように世界にため息を付かせるような
「とんでもない普通の車」を作って欲しいのである。

話が大きく逸れたが、パサート自体は値段的にはこのセグメントで
最もコストパフォーマンスが高く、その上で上質なクオリティと
必要十分な動力性能を有している機能的でスマートで優秀な
VWらしいモデルと言えるだろう。後は押し出しの弱さをユーザが
どう考えるか、と言う好みの問題か。

個人的にVWのクリーンなデザインは嫌いではないけど、パサートでさえ
安価な車ではないので、どこかアイコニックさやわかりやすいブランド感は
自分でも欲しくなってしまうかもしれない。ゴルフのようにGTI的な
スポーツ仕様が有れば良いのだが、出来ればディーゼルで。
まぁそれは暫くVWには難しい注文かもしれない。

もう少し続きます。
posted by cafebleu at 13:06| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | Automobile | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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